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choice01  作者: 陽芹 孝介
第五章 新たなる悲劇と共に時間が動く
18/27


……午後九時三十分……



葵の部屋をノックし、少しドアを開けた……チェーンは架かってない。

部屋の中は薄暗い、机の電気スタンドは光を発していた。

葵は………座っている。

中にいた葵は誰か来たことに気がついたが、振り向く事なく言った。

「早いですね……どうぞ入ってきて下さい……まだ作業中なので、少し待っていただかないと…」

中に入りドアを閉めた瞬間だった。


……パンッパンッ!


葵を目掛けて二発の銃弾が、葵を捉えた。

葵はそのまま机に座ったまま、机に倒れた。

「な、ぜ…?鍵を…か、けて…ないのは…犯人は…しらな、い…はず…」

言葉はそこで途絶えた。

葵は犯人に撃たれてしまった。

しかしその時だった。部屋のドアがいきなり開き、歩が犯人を取り押さえた。

歩は叫んだ。

「有紀っ!葵君をっ!」

隙をつかれた犯人は抵抗する間もなく、歩が用意していた手錠で拘束された。

美夢は勢いよく入ってきた。

「葵っ!葵!……」

有紀は美夢に言った。

「来るなっ!美夢っ!」

有紀は静かに首を横に振って言った。

「出血が多すぎる……もう…」

歩は壁を力一杯殴った。

「くそっ!やっぱり間に合わなかったっ!」

美夢その場で泣き崩れた。

「葵っ!あ、葵っ!……いやぁぁぁぁっ!」

有紀は葵の遺体にベッドのシーツを被せ美夢に見えないようにした。

すると、九条達がやって来た。

九条はその光景を見るなり言った。

「これは?……いったいどういう事だっ!?」

有紀が部屋の明かりをつけると、犯人の顔が明らかになる。

九条は言った。

「君が犯人?」

歩が言った。

「葵君は……囮になったんだ…」

九条が言った。

「囮に?」

「ああ、脱出方法と犯人がわかったと…」

有紀が言った。

「自分が囮になるから、犯人を拘束してくれと…」

九条が言った。

「だからって……どうして葵君がっ!見損なったぞっ!歩っ!」

九条はそう言うと、歩の胸ぐらをつかみかかった。九条の表情は怒りに満ちていた。

歩は抵抗する事はせず、素直に胸ぐらをつかませた。

有紀は言った。

「もし自分に何かあった時は……脱出方法をメモにして残しておくと…」

九条が言った。

「それで僕たちだけで、ノコノコ脱出しろと?冗談じゃないっ!」

有紀は力強く言った。

「葵はっ!…葵はたとえ脱出方法を見つけたとしても…犯人……すなわち『X』に妨害されるのを見越して、この計画を提案した…」

歩は九条に言った。

「葵君を生かすも殺すも……俺たち次第だ…」

九条は歩の胸ぐらを離して言った。

「ずるいよ……君達も、この僕も…」

九条は犯人を見て言った。

「しかし、どうして君が…?」

犯人はニヤニヤしながら答えた。

「帰りたくなかったんだ……必要とされてる…帰っても居場所はないっ!」

歩は言った。

「だからって、殺していいのか?」

犯人は言った。

「与えられたんだ…力を…この島を支配出来る力を…」

九条は言った。

「力を?支配?……なにをバカな……」

犯人は続けた。

「あんた達のような頼りない連中を……無能だと証明したかったんだっ!彼女らに…」

歩は言った。

「彼女ら?…」

「そうだっ!与えられたんだっ!神にっ!…『アマツカ』にっ…」


……パンッパァーンッ!!……。


そこで銃声が鳴った……犯人に目掛けて……。

犯人は頭と胸を撃ち抜かれ…おそらく即死だろう…。

「余計な事をベラベラと…見苦しいですね…実に…」

一同は発砲した人物を見て、それぞれ目を疑った。

九条は驚きを隠せない。

「どういう事…だ?」

発砲した人物が言った。

「逆転の逆転ですねぇ…」

さらにその人物は続けた。

「犯人を拘束し…そして月島葵の残したメモを頼りに、脱出…。実に惜しかったですね……しかしゲームオーバーです」

歩は目を丸くして言った。

「どういう事だ?」

「フフフ……このゲームは月島葵が死んだ事によって、とっくに終わっているんですよ…現にあなた方は、この私に銃口を突きつけられ、絶体絶命の状況です…」

九条が言った。

「僕たちを殺すのか?」

「そうなります……ただ最後にあなた方の敗因をあげるとすれば……月島葵が『犯人』=『X』と思ってしまった事ですね」

有紀が言った。

「別けて考えねばならなかった…」

「その通り……なかなか楽しかったですよ……しかしもうさよならです……私の勝ちでね」


「誰が誰に…勝ったのですか?」


聞き覚えのある声に『X』はおもわず振り向いた。


皆が驚くその先にいたのは……。


美夢は泣きながら強く言った。

「……あっ、葵っ!……」

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