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プロローグ

春。

春と言えば、よく小説には満開の桜の中、入学式があることが書かれているのだが、現実はそうでもなく、大抵、花弁の淋しい桜になっているのが常である。

しかし、今年はもうそれを通り越して葉桜と言っても差し支えない程、花弁は散ってしまった。何故なら、桜の開花日と言うのは、例年は三月の二十三日なのだが、何を間違えたか、四日早い十九日だった。

そして、今日はとても暑い。天気予報じゃあ、今年初めての夏日になる、と言っていた。加えて、昨晩の雨で湿度が高くなっているようだった。

地球温暖化、かぁ。

余りに途方もない話なので、俺には全く想像がつかなかった。因みに、地球温暖化という名前もかなり有名になったが、国連ではこの名前を使用していないらしい。

と、ふと、顔を空に向けたら、朧気な虹が空にアーチを描いていた。

新緑の学校が見えてきた。雨に濡れた葉桜が校内一周、外との交流を遮るかの様に植えてある普通(?)の高校が今年の新入生を迎えていた。

俺はちゃんと折り目の入った新品の制服を身に纏い、いつもどおりに飯を食い、受験の時以来となる家から学校までのルートを通り、首尾よく学校に来た(とは言っても、時間的にはぎりぎりだったりする)のだが、


――眠い。


うん、まぁ、昨日の夜、少しばかり夜更かししたのだから、当然と言えば当然ではある。

しかし、たった、数日間寝てないだけで強い睡魔に襲われるのは、ほんっと、困るんだけど。

などと、叶う筈のない生理現象に対して文句を垂らしながら、玄関に張ってあった自分のクラスを確認した。そして、先生たちの指示で本校舎の中を突き進み、体育館へ向かった。

が、この学校には、どうも、体育館が三つあり、第一、第二、第三、と呼ばれている。大きさは第一、第二、第三の順に小さくなっていた。で、俺が何を言いたいのかと言うと、当然、一番大きな第一体育館に行ってみるが……椅子や垂れ幕はともかく、ステージすらないのである。所謂、代○木体育館みたいな、体育館……だった。俺は、仕切り直して、第二体育館へ行こうとした。が、これが遠い。第二は第一体育館から、校舎と道路を挟んで向かい側に在った。正直、これが違ってて、第三だとしたら……うわーやる気失せるー、とか思ったので、そこら辺にあった遅れてきた先輩共、二人に聞いた。

「あのーすいません。入学式の会場ってどこですか?」

「ん? あぁ、それなら……」

俺の方を向いて、答えてくれた男子生徒Aは、言い淀む。言い換えれば、彼は冷や汗をかいていた。そこに、助け舟を出すように男子生徒Bが答えた。

「第二だろ。お前、関係ないからって、忘れることねえだろ」

「わははは。だそうだ、新入生君」

「ありがとーございまーす。じゃっ」

俺は踵を返して、行こうとするが、体が重い。当然だろう。睡眠不足に、疲労。これで眠れる条件が揃ってしまった。さっきより、更に瞼が重い。

何はともあれ、どうにか、第二体育館へ着いたところで、クラス、番号の順に並ぶよう指示された。

そして、このまま数分が過ぎ、会場が静かになってきた。

新入生入場、と初老で頭頂部がミラーボールにように輝いている先生(校長とか教頭の顔すら知らない)が言った。俺は前が動き始めたのに続いて入場する。

拍手が四方八方から聞こえてくるが、両親はいない。この場所にはいないのだ。憐れなもんだな。存在自体を忘れられる兄の入学式って。

まぁ、仕方ないか。あんなこともあったし。

そんなことを考えながらパイプ椅子に座った。


――そのまま数分後

「これより、入学式を挙行します」

 あぁ、何か聞こえる。

「……えー、とりあえず新入生たち、おめでとー」

 いい声だな、あの人。

 俺は朦朧とした意識の中で思った。

「……この学校では、人に迷惑さえ掛けなければ、何をやってもいい無茶苦茶な『自由』があるよー。と言うよりここ、これしかないんだけどね。その『自由』を自分のため、人のために使ってね。そうして楽しい三年間を送れることを期待して式辞としましたー」

やば、これって寝てんじゃね?

にしても、ここの理事長、何で、入学式でタメ口なんだ?

理事長は裏でひそひそと校長らしき人に頭を下げていた。大方、あんな式辞をやったからだろう。

起立と言う号令で、ボーっとしていた意識を戻したら、みんな立っていたので慌てて立つ俺。

「礼」

しかし、形式上は礼をしていた俺だが、脳内では、理性と本能が戦争を起こしていた。

ねむ。いや、起きてなければ。あぁ、くぅっそ、眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。眠―――――――い!

戦争の結果、

――本能が勝った。


そう言うことで、寝てしまった。Zzz。

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