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そらみみの絵空事  作者: あき
本編
2/5

無人島にもっていくなら



「あき君、それなんだい?」


顔を上げると久しく見かけなかった人物と目が合った。


「あ、絡繰サン。久しぶり」

「やっほー」

「久しぶり、蜻蛉君。羊君。あき君は、何を広げているんだい?」


不思議そうに示すのは、机の上に広げた数々の缶詰。

非常食かい?。きょとんとした絡繰に、肩を竦めてみせる。


「お昼御飯だけど」

「え?」

「食べる?これなんかおすすめ」


逆さになったぽんかんの缶詰を指さすと、不意に絡繰が眉を顰めた。


「あき君、大変だ」

「何?」

「缶詰はあっても、缶切りがないじゃないか」


食べられないよ。困ったような絡繰を見て、蜻蛉と羊に視線を投げる。

一瞬ぽかんとした羊が、我に返って慌ててぽんかんの缶詰を手に取った。


「缶切りいらないの。カラクリちゃん、ほら。手であけられるの」

「絡繰サン、知らないの?ツナ缶とか食べない?」


きょとんと上向きの缶詰を手に取って、絡繰は不思議そうにプルトップを眺める。

なるほど。それからぱちぱちと目を瞬いた。


「高技術。無人島に持って行っても缶切りがなくて困らないなぁ」


唐突な言葉に、蜻蛉と羊が声を上げる。


「あったね。そんな質問」

「良くやったよね。無人島に一つだけ持っていくなら何にする?っていうの」

「因みに。何持ってく?羊サン」

「うーん。なんだろ。蜻蛉ちゃんは?」

「やっぱ、水。かな」


まともな答えだね。くすくす笑う羊に、小さく唇を尖らせて蜻蛉が振り向いた。


「あきサンは?」

「何?」

「無人島に一つだけ持って行けるなら?」

「クルーザー」


ぽんかんを突きながらあっさりと口にする。

それ、横暴。蜻蛉の抗議を聞きながして、羊を見遣った。


「決まった?」

「うん。じゃあ、何でもできる執事にする」

「それはまた。流行りものだねぇ、羊君」

「もしくは、猫型ロボットでも可」

「羊サンも横暴」


呆れたような蜻蛉に、絡繰がくすりと笑う。


「では、蜻蛉君。そらみみごと移動しようか、無人島」

「絡繰サンまで」

「いいじゃないか。夢持ちで」

「そうそう。物書きだもん。みんなでなら、無人島楽しそうだね」


羊の言葉に、ふと気づいて最後のぽんかんを口に放り込む。

無人島に持っていくものはひとつだけ。

でも、一つだけを持っていく人が何人もいるのなら。

結局は一つではなくなる。


「(水にクルーザー。万能召使いと、『この場所』か。ありすぎ。多過ぎ)」


肩を竦めて、次の八朔の缶詰に手を伸ばした。




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