虚栄の魔王と闇落ち聖女と我儘な令嬢
リハビリ中
「魔王様。危機的状況です。」
ドサッ!!!ドサドサッドサッ!
メイドの恰好をした金髪碧眼美少女が持ってきた大量の羊皮紙が派手な音を立てて我の机に置かれた。
メイドの名はセラフィア。
彼女は故あって、神より愛されし身でありながら、人族の怨敵たる我に忠誠を誓った元聖女だ。
「フッ。
このような物を持ち込んで何を言うかと思えばセラフィアよ。
魔王たる我がここにおるのだ。
何も危険な事などない。そうであろう。」
机に片肘をつき、頬を片方だけあげて大胆不敵に言い放つ。
決まった!!!!!!!
我、かっこよくね???
これ、次のカッコいい魔族No1は絶対我であろう!それどころか全世界の愚民共からの熱く燃えるような声援が「まぁ!魔王様には耳が付いていらっしゃらないのかしら?」
我の横に立った妖艶な雰囲気を放つ妙齢の美女から耳を疑う言葉が放たれた。
魔王はステラに口撃こうげきを受けた!
魔王の心に10のダメージ!
かっ・・・
彼女の...
ステラの口が悪い事など知ったことではないか!そう!!
我は魔王ぞ!この程度で我を口撃こうげきしようなど片腹痛いぞ!!
フッハハハハ!
ステラよ!
我の寛大さにむせび泣き感謝するのだぞ!!!
「ステラよ。
我には皆みなの声が聞こえるように大きな耳が付いておるのだぞ。」
我、魔王ぞ!傷ついてなんかいないもんね!!
「まぁ!左様ですの?
では、魔王様は、物事を、全く、考えられない、頭の足りないお方という事ですのね。」
魔王はステラに口撃こうげきを受けた。
魔王の心に100のダメージ
「そんなことないもん!僕、超絶頭いいもん!!」
おっ!
落ち着け!僕!いや、我!
大丈夫。まだ慌てる時じゃない。
「...『もん』って。
魔王様、今、『もん』って仰られました?」
僕の目を覗き込むようにステラが悪魔みたいな顔をして聞いてきた。
「言ってない!言ってないからね!!
僕は絶対、ぜっっったいに言ってないからね!!」
「ステラ様。あまり魔王様で遊ばないでください。
そろそろ本題に戻りましょう。
今回はお試しの短編ですので、グダグダと漫才は出来ませんから。」
ちょ!メタ発言ヤメテ!!!
「簡単にご説明いたしますと。
各地で侵略や強奪、殺人等の被害が拡大しております。犯人と思われる人族の集団は勇者を自称しており、治安維持部隊が犯人の逮捕にむけ総力を挙げて追跡しております。。が、まだ逮捕にはいたっておりません。魔王様におかれましては、いつ何時なんどき、犯人が王城に現れないとも限りません。決してお一人で行動をしないようお願い申し上げます。」
「えっ...っと?」
「怖い人がお外で暴れています。危ないので皆と一緒に行動しましょうね♪」
「セラフィア!我だってもう1000歳なのだぞ!
人族の勇者くらいd...」
「しましょうね(^^♪」
ひぇ!こわっ!
「・・・はい。」
えっーと。
つまり、要する何を言いたいかというと!
ここ魔王城には、魔族ヒトも設備も金も何もないという事。
何故か!
魔族が純然たる実力主義だから。父からの遺言で魔王となった我を認めておらんのだ。
「皆に我の強くて、カッコいい所を見せればよいという事ではないか!!!
ふっはははは!!!
なんだ簡単な事ではないか」
セラフィアが何かを言おうとするが、我はマントを翻しひるがえ颯爽さっそうと一人で部屋を出て行く。
我、かっこいぃぃぃぃ
さて、どうしよう。
僕はお外を一人で歩いたことがないしなぁ。
とりあえず門の方に行ってみようかな
出来れば頭が良くて強くてカッコよくて優しい魔族ヒトがいいんだけど・・・
そうだ!首なし騎士デュラハンとかかっこいいよね。それとも鬼族オーガとか巨人族もいいなぁ。
僕が配下の者達と勇者を倒す想像をしながらテコテコと歩いていけば、たどり着いたのは壊されてもう閉まることのない扉。
「あっ。そうだった。
お城の正面の扉この間、強盗勇者に壊されちゃってたんだ。」
これ直そうにもお金ないしなぁ~
魔族ヒトもいないしなぁ~
...
・・・
・・・
本当に誰もいないな
今からおよそ一年前。パパが勇者に殺された。
もともと僕達、魔族と人族は気が遠くなるほど昔から争い合っていた。
ー燃やされる村
ー戻らない家族
血で血を洗う戦いが幾度も繰り返され、あまたの悲しみがあった。
それを終わらせる為に先代魔王は、パパは人族の国に旅立った。
憎しみの連鎖を終わらせるために何度も人族の代表たちと何度も話し合いの末、ようやく合意の目途がたった後のパーティの最中の出来事だったらしい。
血にまみれて戻ってきた護衛の者が涙をこらえながら必死になって教えてくれた。
そうだ。だから僕は
顔を上げて辺りを見回しても、先程と変わらず壊れた扉があるだけ
「・・・なくちゃ」
呟いた言葉は自分でも驚くほど小さく、弱く、
それがまるで今の僕、自身の様でまた泣きたくなった。
「僕がパパの代わりに皆を守らなくちゃ」
下を向いて呟いた言葉はやっぱり小さく、弱くて
「はい。守らねばなりません。」
顔を上げて、滲んていた涙を拭い急いで言葉の主を探すと僕の立ってたすぐ後ろにセラフィアとステラがいた。
「魔王様。泣かないでください。私共がいつでも魔王様の御側におります。」
「そうよ。
魔王様はいつもみたいにニコニコ笑って、勇者ごっこでもして遊んでいればいいんだからね。」
2人は困った様な顔をして笑っていた。
「泣いてないもん!!
僕は強くてカッコイイ魔王様だからね!子供じゃないもん!!!」
「へぇー。子供じゃないんだ。
なら、今日のおやつはいらないね。おやつのドーナツは代わりに私が食べてあげるね!」
「なんでそうなるのさ!!!」
ステラの意地悪
「はいはい。
坊ちゃま用のドーナツはいっぱい用意してありますから慌てなくても大丈夫ですよ。」
「坊ちゃまって呼ばないで!」
「はいはい。魔王様。
さぁ、おててをキレイキレイしましょうね。」
「それじゃ、おっさきーーー」
「あっ!まってよーーーー」
これは我がバラバラになった魔族を再び統一し、魔王として君臨する英雄伝説である!!!
といいなぁ
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