7話
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蒼は大丈夫だろうか。
最近の成長を見てると、大丈夫だと思うけど、地域によって戦闘スタイルが全然違うこともある。
まあ蒼なら、危険な時は撤退するだろうし。
信じてる。
でも、妙な胸騒ぎがする。
一緒に遠出をしたことがないからかな?
今日まで順調すぎたから?
考えても仕方ない。
それに、私が不安になってたら、光ちゃんも不安になっちゃう。
今は信じるしかない。
それで、蒼からの連絡を待とう。
それが一番だ。
「蒼さん、大丈夫ですかね?」
やっぱり、光ちゃんも不安なんだ。
まだ初日。ここで不安にさせちゃいけない。
「大丈夫。蒼は強いし、戦うたびに強くなってるから。それに、
ちゃんと状況を見て判断できる子だから。」
光ちゃんの表情が明るくなる。
「そうですよね。私が信じないとだめですよね。もう仲間なんだから。」
強いこだなあ。この子も。
「それに、約束しましたし。」
笑顔になっている。よかった。
「そうだね。」
信じて待つ。
だから、早くこっちに来てね。蒼。
町中では何もなく、無事にこっちの支部についた。そもそも治安が悪いからか、
町には警察もたくさんいた。
私たちはロビーで受付をし、支部長室へ進む。
「新明基地、特殊刑事課、月班です。ただいま到着しました。」
「遠路はるばるお疲れ様。お待ちしていました。」
ここの支部長は結構お爺さんだ。でも、体はムキムキで、まだまだ現役のようだ。
「もう一人別件で遅れていますが、到着次第、またご報告します。」
支部長の眉が動く。
「蒼くんだね。今噂の。私含め、皆楽しみにしているよ。」
「恐縮です。」
やっぱり、今警察で話題になっている。あっちじゃ蒼も私と二人ぼっちだったけど、
きっとみんな見る目が変わっただろうなあ。
嬉しい。だから、早く来なさい。蒼。
「じゃあ先にお二人諸々手続きして休んでください。また後ほど。」
「了解。」
挨拶を終え、端末の転送変更や諸々の手続きも終えた。
疲れた。それに、蒼が心配で気が休まらない。
まだ蒼から連絡も無い。また何かあったのかな?
充電が切れた。
それはないな。
蒼、意外としっかりしてるから。
壊れた?
それはあり得る。戦闘スタイル的にも可能性は高い。
でも、今は待とう。
もしまだ戦闘中で、邪魔になったらいけないから。
光ちゃんも眠そうだ。
「先、宿に行って少し休もっか。」
「はい。でも、蒼さん置いて先に行くの申し訳ないなって。」
ほんと。やさしすぎるなあ。そこまで気にしなくていいのに。
「蒼は全然良いって言うよ。逆に、外で待ってたら怒るから。」
えっ、という顔をしている。
「そうなんですか。じゃあ、先に行きましょうか。」
「うん。」
宿はこっちの人が手配してくれた。支部からも近く、大きくて綺麗なホテルだ。
ありがたい。
「すごい綺麗ですね!ここにしばらく泊まれるなんて!」
「太っ腹だね。期間も一応無期限だし。」
「はい!少し楽しみです!」
今の所、元気そうでよかった。
部屋は最上階。一人一部屋でみんな隣の部屋だ。助かる。これなら何かあった時、
すぐ連携が取れる。
「お部屋、すごいです!一人じゃ広すぎます!」
確かに。みんなで一部屋でいいかも。
蒼にあとで聞いてみよう。
まだ蒼からの連絡は無い。しょうがないよね。
私たちは少し寝て夕方に起きた。
端末を見るが、まだ連絡が来ていない。
おかしい。ここまで遅くなるとは考えられない。
でも、蒼は。
わからない。
どうしたらいいか。
光ちゃんに相談。
でも、それじゃ心配かけちゃうよね。
夜まで待とう。
それでも来なかったら、探しに行こう。
コンコンッ。
ドアをノックする音が聞こえる。
蒼?
「月姫さん?起きました?」
光ちゃんだ。
そうだよね。蒼はここの場所も知らないし。
「はーい。」
私はドアを開ける。
「お待たせしました。」
「ううん。全然。」
キョロキョロしている。
蒼がいないからかな。
「蒼、まだ帰ってこないから、何か買い出しに行こうか。お酒あったら蒼も喜ぶだろうし。」
不安そうだ。そうだよね。でも、まだ待とう。
「そうですね。サプライズしましょう!」
「うん。」
そう言って、私たちは買い出しに向かった。
蒼が好きなお酒と食べ物。
ウイスキーやチョコ、ほかにも色々買った。
少しは喜んでくれるかな?
蒼は無愛想だけど、慣れてきた人にはいろんな表情や感情をみせる。
蒼のことだから、少し笑いながら喜んでくれるよね。
端末を見るが、未だ連絡は無い。
自分に言い聞かせてた。
蒼なら大丈夫だって。
絶対無事に来るって。
でも、さすがにもうだめだ。
なにかあったに違いない。
こんなに遅くなるなんて、なにかあったとしか考えられない。
班長として見過ごせない。動くなら早い方がいい。
「光ちゃん。」
「はい?」
光ちゃんも、ほんとは気づいてる。でも、私の意見を尊重してくれたんだよね。
「蒼を探そう。」
「っはい!」
光ちゃんの目が潤んでいた。
きっと、ずっと心配してたんだ。
ほんとはすぐに探しに行きたかったんだろうけど、
信じて、我慢して、こらえて。
ごめんね。ちゃんと光ちゃんの思いを聞くべきだったね。
私たちは荷物を置きに帰り、すぐにここの支部に向かった。
支部に捜索願を出した。すぐに対応してくれた。人員もかなり割いてくれるって。
私と光ちゃんは別々に別れ、ここの支部の人たちと蒼を探しに出た。
それらしき目撃情報は無い。町を回って聞き込みをしても、みんな知らないって。
まさか、町にすら到着していない?
だとしたら、可能性が高いのは光ちゃんが向かった郊外だ。
そのまま郊外でまだ戦ってるのか、倒れてるか、最悪は、、、。
お願い。
無事でいて。蒼。
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大丈夫、大丈夫。
蒼さんは強い。だから大丈夫。
そのへんの悪い奴らになんか負けない。絶対。
何回も自分に言い聞かせた。今でも信じてる。
お昼に見たあの笑顔。
約束してくれたんだ。だから、必ず後から来る。
でも、もう待てない。
こんなに遅くなるわけない。
ずっと頭のなかでぐるぐるして、ほかの事が入ってこない。
もし、もし蒼さんがいなくなったら、、、。
そう思うと、目の奥が熱くなる。
まだ出会ったばかり。
でも、時間なんか関係ない。
蒼さんは素敵な人。
もっとたくさん話したい。
もっとたくさん蒼さんのことが知りたい。
もっと、もっと一緒にいたい。
一緒にこの事件を解決して、一緒に帰るんだ。
きっとそのとき、頑張ったねって。
あの優しい笑顔でいってくれる。
やだっ。
やだよ。
蒼さん。
今すぐ会いたいです。
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あれからかなり時間が経った。
気づいたらもう明け方近い。
なのに、蒼は来ない。
どこにもいなかった。
誰もみていなかった。
情報なんて何もえられなかった。
私たちはホテルに帰ってきた。
光ちゃんは泣いてしまった。立つこともできないほどに。
私も、どうしたらいいかわからない。
今までひとりだったから。
蒼がいなきゃだめ。
この事件の解決も、これからのわたしたちも。
今だけは、なにも考えたくない。
私は袖で瞳を拭った。
何回も。何時間も。




