表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/16

15話

「蒼さーん?」

名前を呼ばれ、俺は目を覚ます。

目を開けると、目の前に光がいた。昨日と違う服を着ている。

もう支度を済ませたのか。早いな。

そういえば、俺は気づいたら寝てしまっていたようだ。

制服のままだが、きちんと布団が掛けられている。

寝る前の記憶があまりない。光と話していたことは覚えているが、

そのまま寝たのか。

「おはよう、光。」

「おはようございます!朝ごはん出来てますよ!」

ベッドの枕元の窓からは眩しいほどに朝日が差し込んでいる。

白く光っている街並みを見ると、昨日の戦闘が夢のようで、ここにただ旅行に来たように感じる。制服で寝たからか、少し暑く感じる。

体を起こしてリビングらしき部屋の方を見ると、テーブルにご飯が並べられている。

「おはよう、蒼。」

「おはようございます。」

「よく眠れたみたいだね。体は大丈夫そう?」

「はい。ありがとうございます。二人は大丈夫ですか?」

「私も光ちゃんも大丈夫だよ。無事治って無傷だね。」

良かった。俺の方も少し体が痛むが、問題ないだろう。

俺はベッドから出てリビングの椅子に座る。

マグカップに入ったコーヒー。俺のだけブラックで、二人のはカフェラテみたいだ。

さらにはスクランブルエッグにベーコン、サラダも添えられていて、

別のさらにはクロワッサンがある。

「理想の朝ごはんすぎる。」

俺がそう言うと、月姫さんは笑い、光は不思議そうな顔をしている。

「蒼、寝ぼけてるの?そんな、あほそうなこと言う人だったっけ?」

あれ?変だったかな?俺は思ったこと言っただけのつもりなんだけど。

俺のいない間に用意してくれたマグカップ、俺の好きなブラックコーヒー、

ご飯はたまたまかも知れないが、俺の好物ばかりだ。

「朝からこんなに作ってくれたんですか?」

「月姫さんと一緒に作ったんです!事前に蒼さんが好きそうなものは買っておいたので!」

「ほとんど光ちゃんが作ったんだけどね。私はパン焼いてコーヒー入れただけ。」

光は朝から元気そうで、月姫さんはあくびをしながら話している。

俺が寝てる間に申し訳ないと思うけど、なぜか喜んでいる自分がいる。

「ありがとうございます。いただきます。」

『いただきます。』

コーヒーはホットだが、熱すぎず、ぬるくもなく、猫舌の俺でも飲めるちょうどいい温度だ。クロワッサンはサクサクでパリパリ。パン屋で買ったみたいにちゃんとしている。スクランブルエッグも柔らかく、ベーコンもちょうどいい。

朝から幸せな気分になる。そういえば、女の人の手料理とかいつぶりだ?

全部うまい。おかわりしたいくらいだ。

「光って料理できるんだね。」

何気なく思ったことを言う。

「ああー!まさか、また子供扱いしてるんですか?」

光は頬を膨らませている。

「いや、なんとなくイメージで。」

「言っておきますけど、家事は全般できますからね!だからお二人のお世話は私に任せてください!」

「この朝ご飯も美味しいし、頼もしいね。」

「そうですね。これなら毎食楽しみだ。」

俺と月姫さんが素直に褒めると、光は顔を赤くして俯いている。

『あ、照れてる。』

俺と月姫さんが同時に言う。

すると、光の顔がますます赤くなる。

「急に褒めるのは、ずるです。」

光は褒められるのが苦手なのか。なんだか可愛いな。


俺はご飯を食べた後、急いで風呂に入り、制服に着替え、二人と一緒にホテルを出た。


西地区の支部に着いた。今日は昨日の任務の表彰式があるらしい。

俺たちは受付の人に案内され、奥の講堂で待機していた。

講堂はところどころ飾り付けがされており、壇上には花も置かれている。

俺らは壇上の下のすぐ横に座っている。訓練学校の卒業式みたいだ。

続々とここの警察官が入ってくる。そのままそれぞれの席に座るかと思いきや、

次々に俺らの方へ来て、握手や挨拶をされた。どうやら、俺が今回の任務の

ヒーロー的な話になっているらしい。それに、俺らがこの西地区のためにわざわざ

助っ人に来たというような感じで話が広がっているようだ。

「蒼、モテモテだね。」

「茶化さないでくださいよ。二人だってちやほやされてたじゃないですか。」

月姫さんが悪い顔をしている。相変わらずだ。

「なんだか疲れちゃいました。」

光はぐったりしている。気持ちはわかるぞ。

俺らが談笑していると、式が始まった。

内容は今回の任務の結果報告。無事、西地区にいた奴らを全員確保し、こちらは怪我人はいたが、死者がゼロということだった。そして怪我人も月姫さんをはじめ、医療班のおかげで皆軽傷で済んだとのこと。

そして、俺の活躍が掻い摘んで話され、俺らを表彰するとのことで、式は終わった。

しっかり表彰状も俺ら月班と、個人全員に贈られた。

光は明らかに嬉しそうだ。

「声でまず一つ、地元に報告できる結果が残せたな。」

「はい!私、とても嬉しいです!次はもっと活躍できるように頑張ります!」

「一緒にな。」

「はい!」

そう話す俺と光を見て、月姫さんも笑っている。結果としては大成功だしな。



式を終え、ロビーに着いた。そこで月姫さんが真剣な表情で口を開く。

「今回は二人のおかげで予定よりも早く、無事成功できたよ。ありがとう。」

月姫さんはこういうとこちゃんとしている。でも、俺らだけの力で成功できた訳じゃない。先を見据えないと。

「月姫さんを含め、いろんな方の力があったからです。ありがとうございました。」

俺がそう言うと、一緒に光もお礼を言い、頭を下げる。

「実はね、次の目標の前に寄りたいところがあるの。ここの地区の隣なんだけど。」

「まあ予定より早く終えたんで、いいんじゃないですか?俺は賛成ですよ。」

「私も、お二人に賛成です!」

「ありがとう。念の為、長居はしないつもりだから。」

確かに。次々と奴らの拠点を潰しているのは良いが、相手もどこかで仕掛けてくるかも知れない。油断はできない。

「行くのは京地区。もともと寄るつもりだったの。」

京地区。聞いたことがある。

京地区は昔ながらの和の歴史を重んじていて、今もそれが中心だと。

特に刀を使う侍文化が特徴で、かなり強いらしい。

そして、その侍が強いこともあり、警察は居なく、自分たちで地区の秩序を守り、自警団のような組織で地区を守っているらしい。

その強さは本物で、よそからの悪者はすぐに成敗されるため、そもそもよそからの悪者は近寄らず、治安はすごい良いらしい。

実際、今回俺らが狙っている薬物の被害も京地区だけは被害が無い。

「寄る理由は、協力関係を築くためですか。」

月姫さんの眉毛が上に動く。察しが良いな、という意味だろう。

「そう。もともとは私と蒼二人の予定だったしね。蒼がここまで強くなったのは嬉しい誤算だったけど、相手はそれ以上に強い可能性が高い。」

確かに。未だ奴らの底は見えない。

「京地区に歴代最強と言われている剣士がいるの。その人に会って、話をするのが目的。さすがに仲間になって常に一緒には来てくれないだろうけど、この人が味方なら戦力としては十分になる可能性がある。」

そんなに強い人がいるのか。それに剣士。侍とか刀を使う強い人は周りにいなかったから興味がある。どんな人なんだろう。

「出発は明日。今日はこの後予定もないからゆっくりしよう。明日からもそこまで

カツカツなスケジュールじゃないから安心してね。」

俺と光は返事をし、三人で西支部を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ