幕間② その1
緑ヶ丘美鈴は帝場中学の屋上に一人立ち、眼下の光景を見つめている。
そこでは、緩い音楽に合わせて、帝場中学の三年生たちがオクラホマミキサーを踊って━━いなかった。
何やら不穏な空気が、輪になった生徒たちの間に広がっている。
男子は背中を丸めた格好でオドオドと女子の前に立ち、対する女子は腕を組んで仁王立ちしている。誰もオクラホマミキサーなど踊っていない。いったい何があったのか? 開始前のゴタゴタを知らない緑ヶ丘美鈴は首を捻ったが、すぐに「まあどうでもいいか」と、欠伸をする。何があったのか知らないが、どうせくだらないことに決まっているのだ。その推測は当たっていた。
緑ヶ丘美鈴は、おかしな空気の漂う生徒たちから目を逸らし、次いで校庭の真ん中に目を向けた。
そこには、四方を囲む角材に安物のイルミネーションケーブルをぐるぐると巻きつけた、何かのステージに見えなくもない代物が設置されていた。
その真ん中で、みかん畑三郎と月島のの子は、二人きりでオクラホマミキサーを踊っている。
月島のの子は、思ったよりも不満そうな顔をしていた。
相手のみかん畑三郎が不服なのではない。周りの様子が明らかにおかしいので、そんな表情を浮かべているのだろう。みかん畑三郎も、似たような表情を浮かべている。
しばらくして、みかん畑三郎が肩をすくめて笑い、何事かを呟いた。
それを聞いた途端、月島のの子はぷっと吹き出し、可笑しくてたまらないといった表情で笑い始めた。
本当に、幸せそうな笑顔だった。
それを見た緑ヶ丘美鈴の頬が、自然と緩む。
初めて月島のの子と会った時━━正確には二度目だが━━に見た、あの虐待され尽くして育った獣のような眼光を浮かべる幼い女の子の姿は、もはや影も形もなかった。
「・・・サブちゃんに足向けて寝れなくなっちまったな・・」
緑ヶ丘美鈴は満足げな顔でそう呟くと、懐からタバコを取り出し、火をつけようとした。
が、その手が途中で止まる。
「・・・」
タバコを咥えたまま、緑ヶ丘美鈴はみかん畑三郎や安西春香奈には決して見せない表情で後ろに目を向けた。
「ひいっ」
彼女に睨まれた黒いスーツの女は、小動物のように身体を震わせ、情けない悲鳴を漏らした。それを見た緑ヶ丘美鈴は「ちっ」と舌打ちする。
「何だ、オメェかよ・・。気配殺して私の後ろに立つのやめろって、何度言ったら分かんだ、コラっ!!」
緑ヶ丘美鈴が昭和のヤンキーような鋭いガンを垂れると、女━━下北沢円香は身体を庇うような仕草をし、「ひいっ! す、すいません!!」と、またもや情けない悲鳴を漏らした。
「だ、だって、癖になってるんだもん。音消して歩くの」
「漫画か、テメェは? そんなにハンターになりてぇんなら、テメェの額に『語尾に「〜もん」はつけません』って書いた針ぶっ刺してやろうか? 五寸釘みたいなデケェ奴」
「そ、そんなの刺したら死んじゃうよぉ・・。わ、私、額に針刺すプレイは未経験だから、は、初めては、ち、小さいのがい、いいかなぁ・・うぇへへ・・」
「殺すぞ」
下北沢円香はまたもや「ひぃ」と、情けない悲鳴を上げる。緑ヶ丘美鈴はうんざりしてため息を吐いた。
「・・・で? 何の用なんだよ、下北沢。お前、今日は確か『あの女』のお付きだろ? 何だってこんなところにいんだよ? 何か変更でもあったのか?」
下北沢円香は首を横に振る。
「ううん、変更はないよ。今日の私のお役目は、予定通り『ご頭首様』のお付き」
それを聞いて、緑ヶ丘美鈴は「はあ?」と顔を歪める。
「ってことは、あのアル中女━━『マモン』がここに来てるってのかよ? アイツがこんなガキの運動会に何の用があるんだ? お嬢絡みか?」
「うーん・・それもあるんだけど、もっと大事なことがあるとかないとか・・」
下北沢円香は自分の指をつんつんしながら、曖昧な笑みを浮かべて言葉を濁す。
その顔を見て、緑ヶ丘美鈴は舌打ちをする。
「相変わらずオメェらは裏でコソコソ何かやってんな? オメェといいあのアル中女といい、一体何企んでやがんだ?」
詰め寄られた下北沢円香は「うーん・・」と困った風な笑みを浮かべ、
「な、内緒、ということで・・」
と言い、おずおずと媚を売るような仕草を見せた。緑ヶ丘美鈴が無言で胸倉を掴んでくる。苛立ちが極まったその表情を見て、下北沢円香は「ひぃ」と悲鳴を上げ、命乞いをするようにあたふたと両手を振った。
「そ、そんな睨まないでよぉ・・。だって、仕方ないじゃない? 私は、こう見えても『冥道』の頭首代行なんだよ? 美鈴ちゃんにも言えないことの一つや二つはあるんだって!」
「・・・」
下北沢円香の情けない態度とは裏腹に、彼女の目にはある種の強靭な頑なさが宿っていた。それを見た緑ヶ丘美鈴は彼女の胸倉から手を離し、「ちっ」と舌打ちした。
━━━この女がこういう目をする時は、絶対に何も喋らない時だ。
長年の付き合いから、緑ヶ丘美鈴はそのことを嫌というほど知っている。緑ヶ丘美鈴の得意技である『たのしいおしゃべり(力技)』は、下北沢円香相手には通用しないのだ。いや━━
不可能だ、といった方が正しいだろう。
この女を力ずくでどうこうできる人間など、世界中を見ても数えるくらいしかいないのだから。
緑ヶ丘美鈴は、かったるそうにため息を吐くと、頭をガシガシと掻きながら背を向けた。彼女が矛を収めたのを確認し、下北沢円香はほっと息を吐く。
今度は、「ひぃ」と悲鳴を上げなかった。
※
屋上のフェンス前に戻った緑ヶ丘美鈴はジッポを擦り、先程吸い損ねたタバコに火をつけた。
その表情は、うまそうでもまずそうでもない。
どこかぼうっとした表情で紫煙を吐く彼女の隣に、下北沢円香が並んできた。その姿を横目で見つつ、
「・・・お前、『マモン』の護衛はいいのかよ」
と、訊ねる。
「うん、大丈夫。『ご頭首様』には美音ちゃんがついてるから」
美音、という名を聞き、緑ヶ丘美鈴は不機嫌そうに顔を歪めた。
「・・・そりゃあ、『マモン』がいるならアイツもいるわな・・」
吐き捨てるようにそう言って、「ちっ」と舌打ちする。
その様子を見て、下北沢円香は悲しそうに眉を下げた。
「・・・美音ちゃんとは、ちゃんと和解したんでしょ? まだあの子のことが許せないの?」
「和解したってだけだ。・・・アイツと仲直りしたわけじゃねぇよ」
緑ヶ丘美鈴はろくに吸っていないタバコを乱暴に地面へ投げ捨てると、苛立ちをぶつけるかのようにそれを思い切り踏み躙った。
下北沢円香は眉根を寄せる。
「『あの時』のことは、美音ちゃんなりに考えがあってやったことだって、美鈴ちゃんも分かったんでしょ? もうそろそろ、許してあげたら?」
「・・・」
緑ヶ丘美鈴は何も答えない。
険しい眼差しをしたまま、まるで何かから追い立てられるように慌ただしく二本目に火をつける。
その頑な様を見て、下北沢円香は諦めのため息を吐いた。
━━━やっぱり、私では無理なのかもしれない。
『あの日』━━致命的に壊れてしまった緑ヶ丘美鈴と緑ヶ丘美音の姉妹の絆。二人の仲を修復することは、下北沢円香のいくつかある悲願の中でも、上位に位置する命題だった。
これまで双方を━━といっても美鈴の方ばかりなのだが、刺激しないよう注意しつつ、下北沢円香はゆっくりと時間をかけ、姉妹の仲をかつてのように戻すべく奮闘してきた。その甲斐あって━━と、大して役に立っていない自分が言ってしまっていいのか甚だ疑問だが、一応は二人を『和解』に導くことに成功した。これを足場に、一気に二人の仲を修復させることが出来るかもしれない。下北沢円香は淡い期待を抱いていたのだが、結果はご覧の有り様だった。
小さくため息を吐く。
緑ヶ丘美音の方に問題はない。そもそも彼女には、最初から姉に対する溝のようなものはなかったのだ。
しかし、緑ヶ丘美鈴の側には、どこまでも続く奈落のような深い溝が存在する。
去年の夏の『アレ』をきっかけに、その溝に蜘蛛の糸のように細くて脆い橋を架けることに成功したのだが、そこから先に、どうやっても進むことが出来ない。
(・・・やはり私ではなく、神楽野がいなきゃダメなのかな・・)
今度は心の中で、下北沢円香は大きなため息を吐いた。先とは異なり、うんざりした気持ちが過分に混ざっている。
自分に何もかもを押し付けて逃げ続けているあのクソゴミカスサイコパス野郎を頼りにするなど業腹にも程があるのだが、こと緑ヶ丘姉妹に関することだけは、あのカス以上の適任は存在しないのだ━━。
横からゆるりと流れる紫煙の軌跡を辿るように、下北沢円香は眼下の光景に目を向ける。緩やかなオクラホマミキサーの音楽と、それに合わせて踊る眉目秀麗な二人の男女。
━━━それを見て、ひどく懐かしいことを思い出した。
まだ私の『班』が普通の任務をやっていた頃、とある廃村寸前の限界集落で『狩り』をやった。
『的』は隠れるのがうまく、逃げ足も速い奴だったので、『狩り』は長期戦になると予想されたが、薫が偶然『的』の巣を見つけてくれたおかげで、思っていたよりもあっさりと片がついてしまった。そのまま撤収してもよかったのだが、早く『舎』に戻ったところで何があるわけでもなかったので、しばらく羽を伸ばしてから帰ろうという話になった。
しかし、羽を伸ばすといっても、現場は限界集落である。遊ぶような場所どころか、コンビニすらない。時刻は午前二時をとっくに回っていて、数えるほどしかない住宅の灯りはすべて消えていた。驚くべきことに、その集落には街灯がなく、周りは完全な夜の闇に包まれていた。私たちはみんな夜目が効くし、その日は雲一つない星の綺麗な夜だったから、歩くのに苦労はしなかったが、みんなの意見は「やっぱり帰るか」という方向に傾きかけていた。その時だった。
ふと、小高い丘の上に、廃校になった小学校があるのに気がついた。
誰が言い出したのかは憶えていない。何となく、本当に何となく、ちょっと行ってみるかという話になった。
※※※
※※
※
廃校は意外と綺麗に保存されていた。
明らかに誰かがメンテナンスをしている様子だったので、定期的に何らかのイベントや集まりに使用されているのだろう。
校舎の窓を軽く覗き込んで『異物』がないかどうかそれとなくチェックしていると、「みんなー、ちょっと来てー」と、みーこの声がした。目を向けると、みーこは体育倉庫らしきものの前に立ち、私たちを手招きしていた。神楽野がポケットに手を突っ込みながら近づき、「声量抑えろや、バカ。通報されたらどうすんだ」と毒づいた。みーこは「うるせぇバカ、死ね」と言って中指を立て、唾を吐いた。神楽野は舌打ちし、
「で? どうしたんだよ? バナナでも落ちてたんか?」
と、半笑いで訊ねてくる。みーこは無言で神楽野のケツを蹴り飛ばし、心底鬱陶しそうな表情をしながら親指で倉庫を指差した。
「この体育倉庫、鍵かかってないのよ」
「あん?」
神楽野が引き戸に手をかけると、みーこの言う通り鍵はかかっておらず、キリキリと甲高い音をさせながら扉が開いた。そのまま中に首を突っ込み、しばらくしてから顔を出すと、
「別段変わったものはねーな。盗まれるようなもんなんて何も置いちゃいねぇから、単にほったらかしにしてるだけだろ」
と言って、閉めようとする。
その手をガッと掴み、みーこが待ったをかけた。神楽野は眉根を寄せる。みーこは歯を見せて笑い、「お宝がないかチェックしてくる!」と言って、中に入っていった。何人かの女子が、「私も見るー!」と言ってみーこに続く。神楽野は「お好きにどうぞ」と言わんばかりの顔で頭を振り、きゃーきゃーと騒がしくなった倉庫から離れて行った。すれ違い様、私は神楽野に「ここ、何が入ってんの?」と訊くと、「古い遊具とか運動会の小道具とか、そんなんばっかだよ。おかしなモノは何も無かった」と答え、欠伸をした。そして、
「アイツら脳が猿だからな。ああいうの見るとテンションが爆上がりするんだろ」
と、いつものように暴言を吐いた。コイツはどうしようもないクズのノンデリで、女の子を女の子として全く扱わない奴なのである。
私は神楽野に無言で中指を立てつつ、体育倉庫の中に入っていった。
中では、ガタ子とはっちが竹馬と綱引きの綱を使って『ハード系の薄い本のモノマネ』をして、みーこと一緒にゲラゲラと笑っていた。それを華麗にスルーしつつ倉庫の中をチェックしたが、神楽野の言う通り目を引くようなものは何も無かった。一通り確認が終わり、サッカーボールを使って異種間交配がどうのこうの言い始めたガタ子とはっちを華麗にスルーしつつ外に出ようとすると、ちょいちょいと服を引っ張られた。振り向くと、
「班長っ!」
ぽんずが、赤と白のお手玉みたいなやつが満杯に入った古い籠を持ち、「いいもの見つけたよ!!」と言って、笑顔を浮かべていた。
その横で、ガタ子がはっちの服の中にサッカーボールを突っ込み、「腹パンパンにしてよがってんじゃねぇぞ、このスキモノがよぉ!!」「らめぇ!! もう入んらいっ!! 入んらいろぉ!!」と、訳の分からん小芝居をしていた。みーこは笑いすぎて呼吸困難を起こしたらしく、打ち上げられた魚のようにビックンビックンしていた。
※※※
※※
※
元々カタギだった神楽野とリンちゃんオトちゃんの三人を除き、私たちはほぼ全員が『草』の出身である。
『草』はとにかく『数』が命なので、兄弟姉妹は大量にいるのだが、私はほとんどの顔も名前も知らない。興味もない。それは私だけでなく『班』の大半━━『草』の家系に生まれた者全員がそうだった。肉親にも他人にも興味が薄い。そういう人間同士を掛け合わせ、そういう人間になるよう幼い頃から教育されるのだから当然だった。
私は『草』の家系とはいえ、代々『草』のまとめ役を勤める家の生まれだったので、流石に両親と、長兄を筆頭とした世継ぎ候補たちとは面識があったのだが、私の『班』の中には、両親に会ったこともなければ、顔と名前すら知らない子もいた。信じられないだろうが、そういう子は『草』の中では別に珍しくも何ともなかった。『草』の使い道など、使い捨ての道具か子を産む機械の二択しかなく、そんなものに端から人間としての扱いなど不要━━そう、考えられてきたからだ。そういう扱いを、私たちは生まれた時からずっとされてきた。私がいたのは、そういう世界だった。
そんな生まれなのだから、『草』の出身者の中にカタギの学校へ通っていた者などいるはずがなかった。
一応、『探り』を入れる任務の都合で一時的にカタギの学校に通ったことがある者なら私を含めて何人かいたのだが、その中に『運動会』というイベントを経験をした者はいなかった。
リンちゃんオトちゃんはカタギの出身ではあるものの、幼稚園を含め学校に通ったことは一度もなく、唯一小学校に通った経験のある神楽野は小学校中退という輝かしい学歴の持ち主で、自主退学する前から授業をサボりまくっていたという、どうしようもないクズだった。運動会については、
「知らん。参加したことがあったような気もするけど、なんも覚えてねぇ」
という答えが返ってきた。神楽野はみんなから石を投げられ、「使えねぇなぁ、このゴミがよぉ!!」と、ブーブーされた。
・・・さて、何で運動会の話などしているのかというと、事の発端は先程ぽんずが見つけてきた籠である。
「・・・」
私はぽんずが持ってきた籠をしばらく眺め、これのいったいどこが『良いもの』なのだろうと内心で首を捻っていた。土なのか埃なのか分からないものが沢山こびりついた小汚い籠と、その中に満杯に詰め込まれた同じくらい小汚い紅白の玉。私はその中の一つを手に取り、軽く手の平で遊ばせてみた。ぽんっぽんっと、玉の中身が弾む音がした。恐らく豆か何かが入っているのだろう。まるで、大きめのお手玉のようである。
「これ、何?」
私が訊ねると、ぽんずは「班長知らないの?」と、何故か得意げに笑い、
「これはね、運動会の玉入れに使う道具だよ」
と、ちょっとだけムカつくドヤ顔で答えた。
「いや、それは流石に知ってるけど、そうじゃなくて、コレのどこが『良いもの』なの? ただのゴミじゃん」
私がそう言って眉根を寄せると、ぽんずはニッと笑って顔を寄せ、
「これ使って、みんなで『運動会ごっこ』しよっ!!」
と、言った。
※※※
※※
※
私は「え、ヤダ」と言ったのだけど、ガタ子とはっちが「あっ、それオモロそう!」「やろうやろう!」と何故かやる気を見せてきたので、私は三人に押し切られる形で『運動会ごっこ』を許可する羽目になってしまった。私は、ルンルンと外へ飛び出していく三人の背中をため息を吐きながら眺めつつ、「そういえば一人足りないな」と思い倉庫を見回した。みーこは倉庫の隅の方で笑い転げた姿勢のまま白目を剥いてくたばっていた。それを冷凍マグロのように放り投げつつ外に出ると、ぽんずが紅白の玉が入った籠をワールドカップのトロフィーのように掲げて他の子たちに『運動会ごっこ』の開催を宣言しているところだった。神楽野はめんどくさそうな顔をしていた。他の子たちもそんな顔をしているのだろうなと思ったのだが、予想に反し、みんなは「やろうやろう」と大乗り気だった。神楽野と意見が一致したのが何か気持ち悪くて、私は地面に唾を吐いた。唾はみーこの口に綺麗にホールインワンした。
かくして『運動会ごっこ』が始まった訳だが、先に述べた通り、本物の運動会がどういう進行で進むのかを知っている者は誰もいなかった。
みんなであれこれ意見を出し合った結果、とりあえず一発目は、ぽんずが持ってる籠を使って『玉入れ』をやることに決定した。
籠を固定する棒は、先程ガタ子とはっちが『ハード系の薄い本のモノマネ』に使用した竹馬を使うことになったのだが、これが非常に短い。こんなものに籠をくくりつけたところで仕方ねぇぞということで、もっと長いやつはないものかと探してみたのだが、都合がよさそうなやつは見つからなかった。仕方ないので玉入れは見送るかという話になりかけた時、いつのまにか蘇生していたみーこが待ったをかけた。
「つーか、別に棒なんてなくてもいいっしょ」
そう言うと、みーこは何故か神楽野の方を見た。
悪い顔をしていた。




