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蠢く街の独裁者

作者: 安永祐二




アドルフに告ぐ







しかし、人間っていうのは何故こんなにも争いや戦争を好むんですかねぇ~っ。


なんだい藪から棒に?


それに、お前は誰だって?


俺か? 俺はこの物語の狂言回し、ストーリーテラーといったところかな。


すまねぇなぁ。いやなに、こんな梅雨時なもんでつい気分も滅入っちまってな。


誰も戦争なんてしたくはないし好まない?


仕方なく、正義のために人を殺してるって?


そうかい。それは済まなかったなぁ。


好んで戦争をしてるもんと思ってたさ。


ところで、正義ってなんだい?


結局は自分達の物差しだろ?


正義ってのは絶対的なものであるはずなのに、結局は相対的なもんなのさ。


食べたことの無い懐かしい味。


見たことの無い懐かしい風景。


聞いた事のない懐かしいメロディ。


世の中は矛盾に満ち溢れてるのさ。


戦争なんかやめちまえばいいのに。


言うのは簡単さ。


でも、自分の愛する人を殺されたらどうするって?


そうだな。それとこれとは話は別だな。


客観的な綺麗事はいくらでも言えるが、自分のこと、主観的に物事を見ると話は違ってくる。


そう簡単には事は進まない、解決はしないってことだな。


戦争に大義名分は必要であろう。


しかし、そもそも、何故、第二次世界大戦が始まったのか、大義名分は何だったのか、単一的でなく複合的であったにせよ正確に言える人は数少ないであろう。


当時の若者も、何で戦争が始まったのか、何のために戦争をしてるのか分からなかったんじゃないかな。


皆が兵隊に志願するから志願する。


御国のためとだけ聞かされてたのであろう。



***



おっと、いかんいかん。つい飲み過ぎちまった。


男はグラスの残りの安ウィスキーを飲み干し、立ち上がった。



男は帰りしな、足にまとわりついてくるやせ細った野良犬を足蹴にして、勝ち誇ったように意気揚々と家路へ着いた。





挿絵(By みてみん)





どんなに綺麗事を並べても、所詮、「人間」のやることだからな。


聖人君主は居ないさ。



今夏の平和の祭典「パリオリンピック・パラリンピック」が成功裡に終わることを祈っています。




手塚治虫先生に捧ぐ。





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