とある王子のラストチャンス〜ハッピーエンドになる為に③
兄上はストーカースキルだなんて言ってたけど、違うとここに宣言する。
俺の【依依恋恋】はストーカースキルじゃなくて一途な男の愛のスキルだから!
1回目の巻き戻しの時、もしかしたらこのスキルが発動してたのかもしれないよね。
でも俺バカだから気が付かなくて、で後発的に出来たスキルの【最終好機】で2度目の巻き戻し、泣きの1回が起きたと!ほらこんな感じじゃない?そーすればこの不思議現象にも説明がつくよ!
と巻き戻しの事はねもうぶっちゃけいいんだよ。
世の中は摩訶不思議アドベンチャーってことだろ?
そんなことよりラフィとの今後だよ!
俺は自由に愛を紡ぐことが出来るようになったこの口でラフィに愛を伝えて、伝えて、伝えまくるつもりだ!
あぁ、俺の可憐な妖精姫…今日も素敵だ…
今まで俺はこうやって、妃教育にくるラフィをこっそり見てるだけしか出来なかった…が!
今日からは違う!
「おはよう、ラフィ!今日もとっても可愛いね」
「…おはようございます殿下。」
「あ、徐々にで構わないんだけどさ、殿下って言うのを辞めて…ノルドかノルンって愛称で呼んで欲しいな!お願いっ…ダメかなぁ?」
「…では、その…ノルド殿「殿下いらないよぉ…」…ノルド様」
よしよし、今日の1つ目の目標クリアと。
早いなー目標達成。
俺、通算32年もラフィから愛称で呼んで欲しい!って思ってたけどクリア出来ない高い壁のような目標だったのに。
あーほんと32年も俺は何してたんだろうね。
バカだったんだろーね。
はぁ…
「いや、馬鹿なのはしょうがない。切り替えてけ自分!ねえラフィ?お願い事がもう1つあるんだけど…」
「はい、何でしょうか?」
「ラフィがさ今日受ける勉強の中に王国史が入ってたでしょ?俺さ、苦手で王国史。ラフィと一緒に勉強出来たらなぁ…って。ダメかな?」
学校にはいるまでのラフィは分単位でのスケジュールだった。
学校に入ると妃教育がストップするからである。
勉強漬けの毎日の中に義務の様に入っている俺との面会日…それもツンケンしてくる可愛くない俺。
さぞや彼女のストレスになったであろう。
あの当時は俺もちょっと弄れちゃってて…
「あれでしょ?会いたくもないけど義務で会ってるんでしょ?どーせ会いたいのは俺だけで君はそうじゃないんだっ!」
なんて考えて一人で拗ねてたんだよね。
苦手な授業もあっただろうに…そんなことを噯にも出さずに黙々と日々をこなしていた。
そこに現れる拗ねた俺…もうね最悪だよね。
…彼女が沢山頑張らなきゃ行けない原因の1つが、俺のせいである…またも俺。
頭パラッパーな俺のサポートが出来るようにと、俺が苦手とする科目を彼女が頑張るはめになったのだ。
周辺諸国の言語…最低でも3カ国。
俺は自国の言葉しか話せない…そんな俺の為に彼女は必死で外国語の習得に励んでいた。
そこに追加で、俺の苦手とする王国史や算術なんかも追加されて…あぁああぁあ!!
もうこれ以上言いたくない!
どこのクズの話なのかな?!
自分が出来ないからと他人に任せて、尚且つそのせいで時間の余裕が消えた彼女を可愛くないなどといって拗ねた果てに詰ったやつは!
誰だ!俺だ!!うぉおおおお!!
殺してくれ!俺を!誰か殺してくれっっ!
…
……反省タイム終了と。。
ふた皮剥けた俺は更生を誓っている。
頭は馬鹿なままだが、捻れた心は比較的に真っ直ぐとなり、出来ない事を
「出来ないから教えて!」
と言えるようになった。
そしてそこに新たなスパイスを入れることにした。
いや…うん、クズの戯言なのは分かってるけど独りだとね?
こう、サボる可能性あるから。
どうせならラフィの傍で彼女を感じることで過去の過ちを即座に思い出す事により勉強をより効果的に進められたらなと―――
いや、すみません、ただ彼女の傍で勉強したいだけです、ごめんなさい。
俺の姑息なお願いは、当たり前だがすんなり許可が出た。
勉強嫌いな王太子が大好きな婚約者となら勉強に積極的に取り組むようになったのである。
「ラフィ、ここ、このさ数式のとこ、ちょっとどうやって解いてるのかわからなくて。あとここの王国史の…195年のベルタットの戦いで敵将のモーフィラスはなんで南側からこちらに攻めて来たのかがわからないんだよね。」
俺は30〜40分に一度彼女に質問した。彼女に質問出来るように必死に勉強して分からないところを洗い出した。
声をかける度に彼女の勉強の方が止まってしまうのだが、彼女は少し困った顔をした後に時折ふっと笑いながら「ここの数式はですねーー」と教えてくれるのだ!
そう!彼女に変化があった!
もうね、ほんのちょびっとコンマ何秒ってな瞬きしたら見逃しちゃう、レベルで…笑ってくれるようになったのだ!!