とある王子のラストチャンス〜ハッピーエンドになる為に⑥
俺はダメな男だ。
全世界ダメ男選手権があったらかなり上位にランクインするだろう。
なんたって好きな子を振り向かせるために空回りをし続け2度も不幸にさせた挙句自分も不幸になるなんて偉業をなり遂げているーー死にたい!
(死んでいる、しかも2度も!)
そんな俺だが、もう間違えられない三度目の正直に挑んでいる。
1回目はナチュラルにバカ野郎だった。
2回目は焦るばかりで行動を起こすタイミングを間違えた。
そして泣きの3回目……俺はラストチャンスに全てを掛けて生きる為、助力を申し出た。
2回目の失敗で俺は学んだ。
1人でグズグズしていたのが敗因だと。
わからない、判断をくだせない事象が起きた時は正しい判断を下せる者に意見を求めれば良かったんだ。
時間があるうちに……なるべく早くに!
今回、俺は早期に問題提起を行い、対策案を練り始めた。
ご本人と共にーーー
「お願いだから!後生ですから!婚約破棄だけは……!何卒、何卒お願いします!絶対にしないてください!大好きなんです!ラフィしかいらないんです!」
「わかった!!わかりましたから!もうそれは理解しましたから。十分ですから!!」
「ほんとにホント……?」
「しつこいですよ?!」
「……わかった。今日はもう言わない……」
ふぅ、しつこいくらいに言っておかないと安心出来ないよね、本当に。
あぁ赤ら顔が可愛い!尊すぎる!!
「今日はじゃなくて、、もう結構です。婚約破棄はいたしません。私だって……殿下のことは別に……」
「別に……!?別に何なんだい!ラフィ!」
「〜〜!!もう言いです!この話は終わりですわ!」
あ、なんかいい感じだったのに!
悔しいなぁ。
ラフィが扇子で顔をパタパタを仰ぎながら話を続ける。
「私、考えましたの。殿下が見た夢のお話を……殿下と私が仲違いをし婚約破棄に至る際の鍵となる人物……それはあの子と彼ではないでしょうか?」
あの子……それは間違いなく彼女のことだろう、リリーティア・コルビー男爵令嬢。
天真爛漫を盾に俺にまとわりつく少女。
では……もう1人は……?
「彼はいつも落ち込む私に近寄ってきては大丈夫かと優しい声を掛けてくれました。『殿下は酷い、君がいるのにあの子ばかり気にかけて…彼女にも殿下ばかりに頼るのでは無いと、気をつけるように言うからもう少し我慢して欲しい』なんて仰るのです。」
「アイツ……君にそんな事をいうのか。俺にはそんな事何も……」
アイツは俺に、無作法なあの子を『無邪気で可愛いと思いませんか?』なんて言って笑っていたのに。
アイツの事がわからなくなってきた。
なんで、なんで掻き回すような真似を……?
困惑する俺をみて蠱惑的に彼女が笑う。
「殿下?人は皆、1つや2つ暗い気持ちを抱えているものですわ。彼もまた、あの笑顔の下に醜いモノを飼っているのでしょう。ふふっねぇ?殿下、楽しみですね?その暗い気持ちを暴かれたらーー彼はどんなお顔をするのでしょうか?」
あぁ……ホントだね。
人にはいろんな気持ちがあるのだろう。
繰り返した数十年で初めて見る顔だ。
ラフィ、俺は毎日が新しい発見でゾクゾクするよ。
そんな顔の君も、愛しいって思うのだから。
愛しいその顔は、人目みたら虜にするような
小悪魔的な笑顔だった。
そして彼女はこう呟くのだ。
「私、決して許しませんわ。」




