1 ダークヒロイン爆誕!
「この政府の犬ども!」
<パンパンパン>
AK47の三連射で正規軍の兵士が倒れた
「何人倒した?」
仲間のカシムに聞かれたので
「5人」
と答えたら
「オレは4人だ」
との返事が返って来た
政府軍の1個小隊は20人なので残りは丘の向こうにいる計算になる
丘の向こうに味方は5人いるので多分大丈夫だろう
そう思ったのが悪かった
周辺への注意を怠ったために反応が遅れた
<パン!>
藪に隠れていた政府軍の兵士からの狙撃がオレの胸に当たった
「この野郎!」
<パンパン!>
カシムが銃を撃つのが聞こえた
だが胸の痛みと瞼が重くなってきたせいでもう見ることができない
こうしてオレは9歳で死ぬこととなった
「はっはっはっ」
規則正しい呼吸が聞こえる
もちろん発しているのは俺だ
正確には私になる
なにせ女だからな
銃で撃たれて死んだはずなのになぜだか平和な日本で女子小学生をしている
いやだって気が付いたら赤ちゃんだったんだよ
あれ、オレ撃たれたんじゃね?
そう思った
いや確かに撃たれたはずだ
なのになぜ赤ちゃんなんだ?
まったく訳がわからん
そして訳がわからんものがもう一つある
この国だ
日本とか言うらしい
実に平和だ
パンがあればとりあえず手を伸ばして確保するだろ?
でも誰もしないんだ
逆に
「どうぞどうぞ」
と差し出す始末
・・・よくも今まで生き残ってこれたものだと思う
まあ今ではそんなことをしないがな
やったら母親ってのが悲しむからな
・・・長年の習慣というのは恐ろしいもので小さい時山盛りに盛られたパンを両手でつかんでガツガツ食べたことがあったっけな(汗)
とまあ平和な時代とやらにあった生活とやらをしている
・・・ストレスがたまりまくったけどな
そんなストレス発散を兼ねてオレ、いや私は走っている
女の身体というのと、まったく運動しない環境のため全然動けないんだ
将来正規軍が攻めてきたらひとたまりもないことだろう
せめて最初の攻撃を避けて逃げれるくらいには身体を戻しておきたいというものだ
そんなことはない?
いいんだよ
自己満足だから
・・・もっとも結構早く出番が来たけどな