5.『学園の王子』?
--------------次の日。
「おっはよー! 天子!!」
登校中。雅の声に、天子はふりむいた。
「おはよっ 雅!」
「あっ!ネックレスみつかったんだぁ よかったねッ」
「うんっ!!」
・・・ポトッ
「あっ、君! これ落としたよ?」
「 へっ? 」
さしだされた手には、天子のスクバのストラップ。
「あ!ありが・・・」
そして、手をさしだしているのは・・・
「るっ・・流衣くん!?」
そう、あの "水月流衣" だった。
「あれ、春咲さん?」
「え!? ど・どーしてあたしの名前・・・」
天子は ほっぺを赤くしておどろく。
そんな天子に、雅はニヤニヤ。
「小等部のときから一緒だったからね。同じクラスにはなれなかったけど・・」
「お・おぼえててくれたの!?」
「 あたりまえだよ 」
流衣が、ニッコリ笑って言った。
(きゃ~~~~~~~~~!! 流衣クンの王子様スマイルだぁ・・♥
てゆーかっ、おぼえててくれたなんて・・・うれしいッッ)
天子が1人、うかれていると・・・
ドドドドドドドドドォォオォ・・・・ッ
すごい足音とともに、20人ほどの女子が流衣にかけよる。
「おはよぉーーーーーーッ 流衣く~んっ♡」
「水月くーんっ おはよ~~~っっ♡」
ポイッ
雪崩れのような女子たちに、天子と雅は流衣のとなりからおいだされた。
「・・・やっぱすごい人気だね。」
「うん・・・。」
雅の言葉に、天子はうなずいた。
・・キーンコーンカーンコーン
その時、ちょうどチャイムがなった。
「やばっ、行こっ 天子!」
2人は、校舎へと急いだ。
-------------------------- ・・・
「あーあーー・・・もうちょっと流衣くんといたかったなぁ・・・・・↴」
全授業がおわり、家に帰る天子。
「 ニャ~ 」
「 んっ? 」
天子の目の前を、ネコが通る。・・しかも、黒ネコ。
( んぎゃっ うっそぉ黒ネコ!? サイアクー!! )
天子はもっとテンションDOWN・・・↴
つんっ
「 わっ 」
ドテッ!!
天子は石につまづき、ころんでしまった。
「・・いった~い・・・・」
天子は、よろめきながら立ち上がる。
「あー もぉ!!」
そう言って、おとしたスクバをひろう。
「イヤーン パンツみえちゃったぁ」
「ぎゃあぁッ!?///」
天子はうしろからきこえた声におどろき、スカートをおさえてふりむいた。
・・・そこには、舌をベーッとだした男子が1人。
「せ・聖夜!!?/// サッ、サイテーー!!」
聖夜はクックッと笑っている。
天子は顔を赤くして怒る。
「ばかっ あほっ ヘンタイ~~~ッ!!」
「っあははは・・・・」
すると、聖夜はもっと笑いだす。
(きぃぃいぃいいぃぃ!! むかつく~~~っ///)
「こんのムッツリエロ王子!!」
天子は最後に一言、さけんだ。
「ハァ? 王子?」
「知らないの?学園で王子って言われてるのっ」
「あー・・そゆこと。」
(あーもー こんなヤツが『学園の王子』なんてっ、モテるなんて、信じらんない!!)
「・・・・バカはおまえだろ」
「はあっ!!?」
急にそんなことを言い出す聖夜に、目を見開く天子。
「そのくつ下、ねふだついてっぞ」
「 え゛」
(ぎゃ~っ かっこわるい!!///)
「~~~~~~~~~~~っばか!!」
天子はそれだけ言うと、逃げるように帰って行った。
「・・・いや、だからバカはおまえだって。」