3.始業式
「うーわぁー・・もうはじまってるよ・・・よ・よぉーし・・・」
天子は先生たちにみつからないよう、そろそろと体育館に入った。
「あっ!天子、こっち!」
雅が天子に気づき、声をかけた。
ガチャッ、ドンッッ!!
「どあっ」
天子は、開いたドアで、うしろからつきとばされ、声をあげた。
「・・ん? おまえ、なんでこんなとこでねてんの?」
「・・あんたのせいでしょあんたのっ あんたがそのドアであたしをつきとばしたのっ!
あ~っっ!すりむいてるしっ いったーい!!」
天子はそう言って、きずぐちをふーふーとふいた。
「・・・ぷっ おまえドジだな~ ったくホラ!」
男のコは、天子をだきあげた。・・しかも、お姫様だっこで。
「っ!? ちょ・ちょっとっ おろしてよッ///」
「あばれんな!オレが席までつれてってやる」
「大丈夫だからおろし・・・」
天子が言いかけた時だった。
「・・・そこのチコクのお2人さん 大変ロマンチックな光景ですが
そろそろ席についてもらえるかな?」
先生の怒りをガマンしたような声に、みんながこっちをふりかえる・・・。
『きゃぁぁああぁあああぁぁあッ///』
ざわざわ・・・
「ちっ・ちがうんですっ!! 誤解です~~ッ!!!」
『 どっ 』 わははは・・・
「おろせー そういえばどこさわってんだー」
---------------・・・
「チコクしてラッキーだったね 天子」
雅がニヤニヤ。
「えー どこが? サイアクだよ」
天子はムスッとして言った。
「どーして?よかったじゃない!
彼の名前は"水月聖夜"。1年月組、といっても今日から2年だけどね。
水月流衣という双子の兄を持ち、その兄弟は2人とも 『学園の王子』。
そして、超ー超ー超~~~モテてるらしいよ!なんと、学園内じゃ知らない人は
いないってウ・ワ・サ♥ 天子しらないのーー?」
雅の言葉に、天子は目を丸くした。
「え~~~~~~ッ!!? あの流衣くんと双子?学園の王子が2人~~~!?」
「うんうん♪ もー天子ってばホント流衣くんしかみてないのねー
でも王子様に"お姫様だっこ"してもらうなんてうらやましーーーー♥」
「なーにが王子よあんなの!」
・・そんな会話をしているうちに、教室についた。
今年も天子と雅はおなじ、星組。
「・・・・・ん? 天子、いつもつけてるネックレスは? ほら、リングの」
教室に入ろうとした時、雅が気づいた。
「え・・? わっホントだ! うそっ おとした? いつ? どこでどこで!?
どうしよぅ・・・・・」
天子はどんどん青ざめる・・・・。
「おちついて 天子! いっしょに探そ!!」
「うん・・ありがと・・!」
----------------ずうぅぅん・・・
「はあぁぁー・・ みつかんなぃ・・・↴ 」
天子は机でぐったり。雅はそんな天子を見て、優しく言った。
「天子、またあとで探そ? 私も手伝うよっ」
キーンコーンカーンコーン・・・
ガラッ
チャイムがなって、先生が入ってきた。
「・・ゴホン。私がこのクラスの担任の谷原だ。これからよろし・・・」
先生が言いかけた時。
ガラッ!
なぜかもう1度なったドアの開く音。
「コラッ、水月!始業そうそうチコクだぞ!!」
先生の声とともに、今朝の男のコ、"水月聖夜" が入ってきた。
「センセ スイマセーン! で、オレの席どこ?」
「・・そこだ。早く席につきなさい」
そう言って、先生が指さしたのは・・・
(あ・あたしのとなり!!?)
天子のすぐとなりの席。
聖夜はスタスタと自分の席についた。
そして、ポカンとする天子に気づき、ふきだした。
「・・ぷっ、オレのとなりがそんなにうれしい?」
「なっ・・/// だ、だれがっ!!」
(ムッ・ムカツクーーーーーーーーーーーーッ!!!)