2.桜の木の下で
「天子ーっ!おりてきなよ~っっ」
雅が、校庭の大きな桜の木にのぼる天子にむかってさけぶ。
「はぁ・・・やっぱいつみてもカッコイーな・・流衣クン・・・♥」
春咲天子、今日から桜城学園中等部2年生。
今は、両親をなくして1人暮らし中。
そんな天子が、木の上で何をしているかというと・・。
学園一のイケメンで、勉強もスポーツもできて、それでもって超優しい・・
『学園の王子』とよばれるモテ男、
"水月流衣"のいる教室を、朝からのぞき見。
「もぉ~ 私しらないから!!」
夏南雅とは、天子の親友。
雅は、あきれ顔でそう言うと、走って行ってしまった。
「それに・・流衣くんってあの時の男のコに似て・・」
天子が言いかけたそのとき!
「ひゃっ!?」
天子は足をふみ外し、まっさかさま。
「ほげぇ~~~~~~~~ッッ!?」
・・ドサッッ!!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ? そんなにいたくな・・・」
「・・・・・・あ゛ー・・せっかくいい夢みてたのに・・・」
「・・・・・・え」
(お・男のコーーーーーー!!?)
木からおちてきた天子の下には ナゼか、
髪は金髪、耳にはピアス、それから きくずした制服・・・の、
パッと見 チャラい、男のコが・・・。。
そして、男のコはむくっとおきあがると、天子の顔をじぃっとみつめた。
「ゆ・・夢って・・こんなとこでねてたの?」
「・・・・・・重い、どけ。」
「なっ・・・!!」
天子はその言葉にムカッときたが、すぐにどいた。
「・・・つーかアンタ、木なんかのぼってナニしてんだよ」
ギクッッ・・・!!
「べ・べつにっなんでもいいじゃんっっ!!」
天子はすくっと立ち上がり、走ってにげ出した。
「・・・なんだアイツ・・・・・ん?」
キラッ・・+。・
男のコは、何か光っているものがおちているのに気づき、ひろった。
「・・コレ・・・」
----------------- ・・・
「もぉ~~っ さっきの男のコなんだったのっ!!
なんだか朝からつかれちゃったぁ・・・って始業式ぃ!!!」
天子はいそいで体育館へむかった。