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DTのまま40を超えた僕が魔法使いから○○になった話  作者: 矢車 兎月(矢の字)
第三章

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ロイドの告白

 その日の晩、僕が自室に戻りいざ寝ようという頃合い、部屋のドアを控え目に叩く音に僕は首を傾げた。確かにノックの音はしたと思うのだが、それは本当に控え目で人の動く気配もしない。


「誰?」

「俺、だけど、ちょっといいか?」


 声の主は僕の部屋の向かいに部屋があるロイドだ。ちなみにルーファウスは僕の隣。然程広さはないけれど、各個人に個室があるのはシェアハウスを経験した身としてはとても贅沢に感じる。

 僕が部屋の扉を開けると少しソワソワとした様子のロイドはしきりにルーファウスの部屋を気にしている。まぁ、こんな密会現場を目撃したらルーファウスが何を言い出すか分かったものじゃないからね。


「どうしたの? 何かあった?」

「少し話をしたくて……」


 やはり落ち着かない様子のロイドに僕は首を傾げて部屋に彼を招き入れる。瞬間、ぴりっと肌に僅かな魔力を感じたけれど僕は敢えてそれをスルーした。

 ロイドは完全に気付いていないし、相手も気付かれているとは思っていないと思うのだけど魔力の正体は分かってる、たぶんルーファウスが僕たちを覗いている。だけど、何もやましい事がないのだから堂々としていれば問題はない。

 部屋と部屋の壁は普通の板壁なのであまり厚くはない、けれど魔術によって防音対策がしてあるので聞き耳を立てても音は聞こえないようになっているのだ。けれど、こうやって覗こうと思えば覗けてしまう。

 ってか最近ちょっとルーファウスがストーカーじみてきていて困ってしまう、また少し注意しないとだよなぁ。

 部屋に入ってきたロイドはいつまで経っても落ち着かない様子で、僕と視線を合わせない。僕はロイドに机の前の椅子を勧め、自分はベッドの端に腰掛けた。

 一体何の用事なのだろう? と思ったけれど、そういえばアランとルーファウスが帰ってくる前に僕に何か言いたい事があると言っていた事も思い出す。


「ロイド君は僕に何か言いたい事があるんだっけ?」

「え、ああ、まぁ、そう……だな」


 言いたい事があると言うわりに歯切れの悪い口ぶりだ、言いずらい事でもあるのだろうか?


「僕、ロイド君に何かしちゃったかな?」

「え!? いや、そうじゃない!」


 そうじゃないと言いながらもなかなか口を開こうとしないロイドの耳元が僅かに赤く火照って見える。


「俺、お前にちゃんと言っとこうと思って!」

「ん? 何かな?」

「俺は、お前の事が好きなんだ!」


 ん?


「分かってる、俺なんかお前の眼中に全く入ってないのは重々承知の上だ、そもそもライバルがルーファウスさんとアランさんって時点でほぼ負け確定なのも分かってる、それでもちゃんと言いもせずに諦めるのは違うと思って……」


 え? 待って、僕、今、ロイドに告白された!? これはちょっと予想外の展開だぞ!?


「え? 好きって、それって仲間としてって意味だよね……?」

「違う」


 この世界、わりと同性愛には寛容で、冒険者の中にはそういう性的志向の人が多いと聞く。それというのも冒険の中で苦楽を共にして、中にはつり橋効果も手伝ってパーティ内でくっつく事がよくあるからなのだそう。

 それでも多数派は異性愛者な訳だけど、相棒バディとなって数十年、まるで夫婦のように暮らす冒険者達もいるこの業界では差別はほぼないと言っていい。

 実際、奥さんの事もあって恋人を作る気がなかったアランは僕と出会う前まではルーファウスを盾にして告白を断る事が何度かあったと笑い話のように話してくれた事がある。まぁ、確かにルーファウス相手なら男女どちらに言い寄られたとしても断る口実にはうってつけだよな。

 だけど、まさか、ロイドがそういう志向の持ち主だとは全く思ってなかったよ!

 困惑する僕を前に「やっぱり迷惑か?」とロイドは瞳を伏せる。


「迷惑って言うか、驚いてる。だって僕、ロイド君は僕のこと弟みたいに思ってるんだと思ってたし……」

「俺も最初は色々迷ったさ、ルーファウスさんは最初から俺の事明らかに敵視してくるし、アランさんもアランさんで最初は面白がってけしかけてきたくせに何故か途中で掌返すしで、どうしていいか分からなくて考えて考えて出した結論がこれだ」


 ちょっと待て、なんか今不穏な言葉を聞いた気がするぞ。ルーファウスはともかくとしてアランが何だって……?

 「タケルは気付いてないかもしれないが、ルーファウスさんなんて俺と出会ってから三年、まだ一度も俺の名前呼んだ事ないんだぜ」と溜息を吐くように言われてしまって僕はそれにも驚いてしまう。

 確かに僕はルーファウスに好意を向けられているし、それは言葉でも態度でも示されているから分かっていたけど、だけどそこまで? それにアランが掌返しって、それ本当に??


「アランは奥さんがいるだろう? 僕をどうこうとかあり得ないよ」

「お前無自覚か! 今日だって普通に口説かれてただろう!?」


 え? いつ?

 僕はアランとルーファウスが帰ってきてからの記憶を反芻するが全く思い当たる節がなくて戸惑う。


「飯の時に嫁に来いって言われてただろ、気付けよ!」

「あ……」


 そういえば確かにそれは言われたな。でもあんなのはアランのただの軽口だろう?


「でもアランは今でも別れた奥さんの事好きだと思うよ?」

「それはそうかもしれないけど、少なくともお前の事は好いてるはずだ、といか真正面から自分も参戦するわって宣言されてる」


 !?


「タケルはまだ子供だし今すぐどうこうするつもりはないってのも言ってた、それはルーファウスさんも同じ、だけど歳が近いからって有利になると思うなよって、あの時はマジで怖かった……」


 それって一体いつの話? 僕の知らない所で三人でなんの話合いしてんのさ!?


「という訳で、言うだけは言ったから! お前が誰を選ぼうと俺達は文句は言わない、だけど最初から対象外ってのもアレだからこれからは俺の事も少しはそういう選択肢の中に加えておいてくれよな! じゃあ、おやすみ!」


 勢いをつけて椅子から立ち上がったロイドは言うだけ言って部屋を後にする。僕はそんな彼の背をぽかんと見送る事しかできない。

 ええっと、誰がどうして何だって?

 突然のロイドの爆弾発言、いやいや情報量が多すぎるよ。僕はどうしたものかと頭を抱える。

 神様にはチートでハーレムなのは好きじゃないって言っておいたはずなのに、これでは別の意味でハーレム状態じゃないか!! ねぇ、そこに僕の意志は!? 選択肢は!? 攻略対象が男性でヒロイン役がおじさんとかちょっとふざけ過ぎなんじゃないのかな!? 


「あああああ………………今日は寝よ、そうしよう」


 僕は早々に現実逃避を決めこみ、ベッドに倒れ込んで布団をかぶった。



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