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DTのまま40を超えた僕が魔法使いから○○になった話  作者: 矢車 兎月(矢の字)
第一章

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危機一髪

「っ……」


 慌てて背後を見やれば数体のゴブリンがキーキー騒いでいる。

 お前等、まだいたのか……もうとっくにライムが全部倒したと思ってたよ。オークの咆哮が頭に響いていてゴブリンの気配に気付けなかった僕はゴブリンの奇襲に成す術がない。

 そもそも僕は近接戦が得意ではない上に、アランに教わっていたのは一対一での戦闘訓練のみ、これは完全に分が悪い。

 ゴブリン達は僕ににじり寄り、キーキーと奇声を吐く。火球一発で倒せるはずだが、標的が近すぎてここで火球を放てば自分まで巻き込まれてしまう。

 ゴブリンの腕が伸びてきて僕の腕を掴むと引き倒された。腐った生ごみのような嫌な臭いがする。


「はな、せっ!」


 圧しかかってくるゴブリンを蹴り飛ばそうと足をあげたら、その足を掴まれ生足に噛みつかれた。なにせ僕の履いているズボンはハーフパンツで防御力が限りなく低い。

 耳障りなキーキーという声が、まるで歓喜の声をあげているような声に聞こえる。僕が嫌な予感に顔を上げると一匹に腕を抑え込まれ、もう一匹に足を抑えられて簡単にズボンを脱がされてしまった。


「なあぁぁっぁ!」


 そういえばゴブリンの習性は人を見付けたら男は嬲り殺し、女は犯し孕ませるだった。もしかしてこいつら僕のこと女だと思ってる!?

 皮の胴着も乱暴に脱がされて、半袖のワイシャツなんてなんの防御力もなく簡単に破り捨てられた。だから、こんな装備で大丈夫なのかって何度も確認したのに! そんな事を言っても今更何もかもが遅すぎる。

 最後の砦である残された下着パンツにゴブリンの手がかかったその時、僕の腕を掴んでいたゴブリンの頭が吹き飛んだ。


「!?」


 驚いて見上げた先にいたのは先程のオーク、そうだよな、まだ倒していないんだからいるに決まってる。

 ゴブリンが抗議するようにキーキー喚いているが、オークはそんな声には聞く耳を持たず僕の片足を掴み持ち上げた。これは獲物を取り合っての仲間割れか? 全く状況的には好転していないし、パンツ一丁では何をどうしても格好はつかないけど、最後の砦は死守された!

 片足を掴まれ持ち上げられた僕は吊るされたような格好で頭に血が上る。しかもそのままの態勢でオークがゴブリンを踏みつぶそうと暴れているので、振り回されて気持ちが悪い。

 あ、もう駄目……僕、このままここでオークに食べられて死ぬのかな? せっかく転生させてもらえたのにあっさり過ぎない?

 でも、捕まってた人達は助けられたと思うからそこだけは良かったな、ライムも動いてたから無事なはずだし、被害は最小限で食い止められた、よね?

 しばらく振り回されて、気が付くと周りは静かになっていた。

 オークが僕を持ち上げ大きな口を開ける、口の中にはずらりと並んだ牙が見えてとても痛そう。

 長い舌が僕の身体を舐め上げる。そういえばさっきゴブリンの血が身体についたから綺麗にしようとしてるのかな? 気持ち悪い。

 いっそ一口で丸呑みにしてくれたらいいのに、オークは執拗に僕の身体を舐め回して、身体中べたべただ。オークは僕の足を掴んでいたのを腕に持ち替えぎょろりとした瞳で僕の顔を覗き込む。

 呼気が生臭くて気分が悪くなる、いっそ気を失えたらいいのに……

 顔を背けたら僕の最後の砦にオークの指がかかった。嘘だろ!? もういっそ丸呑みでいいじゃないか、皮は剥いて食べるって? グルメか!

 オークの視線が僕の下肢をまじまじと眺めている。ゴブリンが襲ってたから女の子かと思ったか? 残念でした、僕は男です。

 そんな事を思っていたら僕の下肢にオークの長い舌が伸びてきて僕のそれを舐め上げた。


「ひっ」


 男にとってそこは急所だ、やっぱり嬲り殺しなのか!? 一思いに殺してはくれないのか!? どうせそこを舐められるならさっきのお姉さん達みたいな美人にしてほしかった……

 完全なる現実逃避、しかも執拗に舐められて変に感じてしまう。僕のこの現在の身体は10歳、確認していないけれどたぶんまだ未精通、よもやこんなオーク相手に精通とか絶対嫌だ!


「んうっ、はな、っせ……いやぁぁぁ」


 けれど、いくら暴れた所でオークの力は弱まらない。僕はもういっそ死ぬならと覚悟を決める。


火球ファイアーボール


 標的の距離が近すぎて自分も熱にやられながら僕は火球を放つ。


「ぐわあぁぁぁっ!」


 火球は見事にオークの頭を焦がす事に成功して、オークは僕の腕を放し、僕は地面に落下した。


「っ……」

 放り出されてどうにかオークの腕から逃れられたのはいいのだが、先程片足だけ掴まれて振り回されていたせいで股関節がおかしくてうまく立ちあがれない。身体のあちこちが痛いし、べとべとで気持ちが悪い。

 ほうほうの体で這いずって逃げようとするのだが、身体に力が入らない。そんな僕の足をオークが掴む。

 下から振り仰いで見たオークの下肢が異様なほどに膨らんでいる、オークの衣装はゴブリンと同じ腰蓑だけで、そそり立つイチモツが天を衝くその姿に血の気が引いた。

 こいつは僕を嬲って興奮しているのか? 気色が悪くて吐き気がする。これが魔物、か……


「タケルっ!!」


 その時響いた聞き覚えのある声。


「!!」


 もう死ぬしかないのかと諦めかけていた心に希望の光が灯る。


「てめぇぇぇ、うちの子に何してやがるっっ!!!」


 そんな叫びと共にアランがオークへと突っ込んできた。オークの巨体はアランの二倍ほどもある、けれどアランはその巨体を一撃で吹き飛ばした。


「アランさんだぁぁぁ……」

「大丈夫か、タケル!」

「大丈夫じゃないです、怖かったぁぁぁぁ」


 思わず泣きそうになった所で僕の身体の上にふわりとローブがかけられた。


「君を守ると誓ったのに、遅くなって申し訳なかった」

「ルーファウスさん……」


 あれ? なんで? ルーファウスは王都に行ってるんじゃなかったっけ?

 ローブで包むようにして僕を抱き上げ、ルーファウスが倒れ込んだままのオークを睨む。


「お前には死の報いを……紅蓮陣クリムゾンサークル!」


 ルーファウスが術式を唱えると同時にオークが炎陣に包まれ一気に燃え上がる、それはまるで反撃の隙を与えずあっという間にオークは消し炭と化し、それも灰になって風に飛ばされ跡形もない。


「紅蓮陣とかお前、容赦ないな……もっと別の術でも充分倒せただろうに」

「タケルを害する魔物など骨のひとつも残す必要はありません、魂ごと消えてなくなればいいのですよ」


 おお? 今の技は初めて見たけど相当威力のある魔術だったみたいだな。それにしてもなんでルーファウスはここに居るのだろう?

 今度あの技教えてもらわないと……なんて、そんな事を考えた所で僕の意識はぷつりと途切れた。



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