第40話 グレアムVSフロイド
この回はバトル回。
派手なようで頭脳を駆使するフロイドをご覧ください。
フロイドとグレアムは、互いに魔法を放っていく。
側から見ればグレアムはフロイドにとって格上だったが、それでも怯む気はなく、全力を以て魔法を打ち続けていく。
「テメエ………この俺様を嵌めたことは誉めてやるぜ。だがテメエ如きに負けるような、そんな俺ではねえ!!」
グレアムは闇の魔法陣を生成していく。
6連続生成が、掌の前に突き出されていた。
(6連続……!? ヤバいな、ここまで出来る魔法師は世界的にも少ない………!! アムールより格下と思ってた僕が少し甘かったな………!!)
フロイドは流石に危険だと感じ、地属性の魔法で防壁を展開した。
「闇魔法『厄災の闇渦』!!」
弾丸のように放たれた闇魔法、フロイドはなんとか受け止めたが、手が休まらないグレアムの魔法に対して止めることで精一杯だった。
しかしフロイドも負けてはいない。
得意のコンビネーション魔法、雷属性と炎属性の魔法を合体させて魔法陣を作り出した。
「! へえ………テメエ面白いな………複数属性を組み合わせるのは俺ぁ初めて見た………!!」
「余裕かましてるのも今のうちだ!! 合技!! 『火花着火』!!」
静電気がフロイドから放たれたと同時に、火の矢が音速でグレアムの肩を貫いた。
速すぎたが故、一見ダメージはないように思えたが_____。
「そんなもんか………興醒めだぜ………」
「それはどうかな? 『漏洩放電』!!」
フロイドが指を鳴らすと、貫いた肩から電気が迸った。
「ぐアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!」
「この魔法は………人体を体内から破壊する!!」
グレアムはチッ、と舌打ちをし、更に別の闇魔法を放った。
「『闇蛇』!!」
畝り唸る、闇の魔法がフロイドを襲う。
「『溶岩の鳳凰』!!」
フロイドもすぐさま強大な炎魔法で迎え撃ち、これで相殺した。
更にフロイドは風魔法を放っていった。
「『鎌鼬』!!!」
風の斬撃がグレアムに襲い掛かる。
しかし、闇魔法の盾を張り、これを防いだ。
「元首席を舐めてんじゃねえ!! テメエのチャチな魔法で倒れる俺じゃねえぞ、この野郎!!」
「君に負けることなど………!! 僕のプライドが許さない!! 炎魔法『火球・炎龍の逆鱗』!!!!」
「上等だ、ゴラ……!! 飲み込め! 『絶望の怪鳥』!!!!」
ぶつかりあって、相殺された両者の魔法。
だがここでフロイドに異変が。
吐血して膝を突いたのである。
「………やっと効いたか………まったく、しぶてえガキだぜ………」
「くっ………!! 何をした………!! グレアム!!」
「毒だよ、毒。それも………気体の毒を、な。神経毒に出血毒を調合した魔法だ、簡単にゃ解けねえぞ………?? クハハハハ、どっちが嵌めていたんだ、って話だ!! こんな密室、毒殺には最高の舞台だぜ、なあ!?!?」
高らかに笑うグレアム、勝利を確信していたように、目を見開いていた。
「そうやって………罪を重ねていたんだな、グレアム………!!」
「………なにか悪ぃかよ………?? 勝ったやつが正義、テメエは弱者、それだけのことだろうがよ?」
グレアムは呆れた目でトドメをフロイドに刺すべく、特大の闇魔法を作り上げる。
「じゃーな………クソガキが…………ったく、女じゃねえのが惜しいぜ………」
グレアムが冷たく言い放った、次の瞬間だった。
突如として炎の槍がグレアムの右脚を貫いた。
「!?!?!?!? なっ………!! テメエ、まだ動けたのか………!!! 何をしやがった………!!」
「………全部僕の想定内だったよ、グレアム………!! 悪いけど、君の魔法は事前に聞いてた、そうじゃなきゃ解毒は出来ていなかったさ………!! さっきの魔法は解毒が完了したと同時に放たれる時限式魔法だ!!」
「げ、解毒だと………!? どうやってやりやがった………!?」
フロイドは血を吐きながらも立ち上がった。
そして、グレアムの毒を破った種明かしをする。
「簡単な話さ、まず出血毒………!! 魔法で僕の体内を燃やして、毒を殺した………!!」
「なっ………!!」
「そして二つ目、神経毒………雷魔法で神経系の動きを予め麻痺させた!! そして阻害した毒を呼気と一緒に風魔法で吹き飛ばした!! あとは気付かれないかどうかの勝負………この賭けは、僕の勝ちだ!!」
(まさかあの時女装したのが………その“演技”が違う形で役に立つなんてね………まったく、女の子になりきってみるのも悪いことばかりじゃないな………ザプリェット!!)
フロイドはニヤッと笑う。
勝ちを確信したかのように。
「………ちと見直したぜ、右大臣の倅よぉ………ただの七光りじゃねえみてえだな、恐ろしい頭脳をしてやがる………」
グレアムは開き直ったのか、虚勢なのか、フッ、と笑う。
「僕は………“世界最強の魔法師の右腕“だからね………君如きで手間取っていちゃあ、アイツの相棒なんて名乗れないよ!! それに君の弱点、もう見抜いたし僕に毒はもう効かないよ………??」
「あぁ………??」
「単純に抗体の話さ。もしまた効いたとしてもすぐに解毒は出来るし………君には重大な欠点がある。」
欠点、という言葉を聞き、眉を顰めたグレアム。
ハッタリか、と一瞬彼の脳に浮かんだが、先ほどの華麗な解毒にハッタリと思わせられないものをフロイドに感じていた。
しかも自覚があるのはグレアム自身もよく分かっていたからこそ、内心で焦っていた。
「今からそれを証明してあげるよ。君はただでは死なせない、君を壊して………絶望を与えてあげるよ…………」
あどけなさが抜けないフロイドの目が据わったトーンを帯び、一気に決着へと持っていくのであった。
次回はグレアムの断末魔を聞けると思いますので、お楽しみにしていてください。




