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第4話 ワクスモで見た不穏な空気

この回は日常回ですが、シリアスな面も出てきます。

ザプリェットは勘が結構鋭いんで、悪意は見抜けます。

 さて、ワクスモの街に出たザプリェットとフローティア。


お互い服を買いたい、という思惑が一致しているとはいえ、予算自体は限られている。


特にザプリェット。


第一ザプリェットは大食いなので、食費が嵩んでしまうのが現実なので、ザプリェットは寮の朝食を大量に食べて備えたくらいである。


「さ! 回ろう、ザプちゃん!!」


フローティアはニコニコしながら、えい、えい、オー! と言わんばかりに張り切っていた。


「……そうだね。何かあったら私が守るよ。」


「助かるよー!! それじゃ、行こう!?」


2人は休日で賑わうワクスモの街を回っていくことになったのであった。




 ある程度服を買っていく中で、ブティック屋を訪れた2人。


フローティアがカチューシャを見たいと言ったのでザプリェットも付き添いで訪れた。


「うーん……どれが似合うかな? ザプちゃん。」


「……田舎者の私に聞かれても困るんだけど……うーん……フローティアは髪黒いしなぁ……」


色とりどりのカチューシャが並ぶ中、フローティアの髪色に合いそうなカチューシャを選ぶためにザプリェットは長考をした。


「なんだったらさ、ザプちゃんの分も買おうか?」


「いやー……私はいいかなー……なんか、圧迫される感じが嫌でさー……」


「オシャレなんだからさ、もっと可愛く見せたいじゃん? 私、実家にいた頃からお母様に買ってもらってたから……思い入れはあるんだ。」


「……まあ、似合いそうだよね。うん……決めた。これにしよう。」


ザプリェットは赤のカチューシャを手に取り、会計に向かっていった。


さて、会計を終え、外に出た2人。


この後食事を挟みながらも、充実した入学式後初休みを満喫していったのであった。





「いやー、買った買った!! ザプちゃん、ありがとね! お買い物に付き合ってくれて!!」


「いーよ、これくらい。いつでも言って。」


ザプリェットとフローティアは無事に買い物を終え、フローティアは満足げな顔を見せた。


ザプリェットもなんだかんだで服や腕輪のメンテナンス用の魔法具を買ったりもしていたので、それなりに満喫したようだった。


「……しっかし、都会ってホントすごいね……色んなのが所狭しとあってさ……田舎じゃ、ちょっと考えられないよ……」


「ホント、賑やかだよねー、私も何回も来てるけど未だにそう思うもん、ザプちゃんと同じこと。それに……さ? ザプちゃんと一緒に回れた、ってだけでも楽しかったな……」


「そう? それならこっちも嬉しいかな。」


「アハハ、ありがと、ザプちゃん。今日は純粋に楽しかったよ? 楽しかったけど、それ以上にさ……私、第五側室の娘だから……立場がそんな良くなくってさ、あんまりお外に出られない家でもあったから……()()()()()()()がザプちゃんでよかったなー、って改めて思ったよ。」


ニコッ、と柔らかい笑顔を見せるフローティア。


巨乳がたゆん、と微かに揺れ、ほんわかした雰囲気と相まってフレッシュな感じなのに何処か気品と優しさも感じたザプリェットであった。


「……そりゃどーも。」


ザプリェットもフッ、と笑って礼を返した。


と、ザプリェットは右をチラッと見た時に怪しい動きをしている男を見かけた。


(……? あの男……キョロキョロしながら麻袋を持っている……?? 買い物に行くわけでも無さそうだし……)


怪しげに動く男が気になっていたザプリェットだったが、フローティアが声を掛けた。


「……ザプちゃん? どうしたの、そんなジロジロ見て。」


「ん? ああ、なんでもない。帰ろうか、フローティア。」


まあ、気のせいだよな……ザプリェットはそう思って寮へと帰宅していったのであった。





 2日後。


学校の掲示板に「依頼書(クエストシート)」が貼られていた。


難易度に応じて星マークが多く付けられていた。


その中で()()()()()()()()()()()、ザプリェットはハッ、とした。


ランクは星5。


酷く痩せこけた頬に冷たい眼光、鷲鼻など、()()()()()()()()()()()()()()()()からだ。


その男の名は「ネイウッド・フォリンスキー」。


強姦致死、婦女暴行、違法薬物販売、窃盗数十件など、余罪が豊富な男だった。


(………やっぱりアレは……ただ買い物に来ていたわけじゃなかった、ってわけだ……違和感の正体が分かった……ちょっと先生に相談してみるか……いくら怪しいとは思っていても単独で仕留めるのはいくらなんでも限度があるし……)


授業後、ザプリェットはペルセウスに相談をすることにした。




 ネイウッドのことを調べたい、そう言ったザプリェットだったが、ペルセウスは訝しげな顔を浮かべた。


「ザプリェット、お前……面倒くせえ奴を相手取ろうとしてんな……確かに前科二犯を犯している奴で、今も違法薬物でシノギを削っている奴だからな……だがな、軍や警察でも捕まえるのには一苦労した程だ。」


「……違法薬物、ってどういうものなんですか……?」


「違法薬物、か……ちょっと待ってろ、原物を見せてやる。」


と言って、ペルセウスは髑髏のマークが貼られている金庫を開けた。


「これが『大麻』だ。ああ、心配すんな。これは医療用の大麻でな……俺は上級生の『魔法薬学』も担当しているからな。ちゃんと国指定の免許を取って取り扱っているから安心していい。基本は麻酔用で使うんだが……何せ毒性が強え。本当に少量でいいんだ。神経系の動きを止めて病原体を取り出す。癌なんかは回復魔法じゃ治せないからこういった劇薬が必要なんだよ。だがな、俺は違法な大麻はよく知っている。」


「……これと同じ種類なんですか?」


「……まあ、栽培方法が違法な奴は特殊でな。殆ど人工的な環境で育つからより毒性が強くなる。大麻は乾燥させると依存作用が強く出てくる。それをタバコの煙管……その先っぽに大麻を入れて火ィ付けて吸うんだ。気分が落ち着く、とはいっても一瞬だ、切れたらまたすぐに欲しくなる……それは脳神経系を刺激しちまうからな、気づいたら脳が溶けていたなんてこともよくある話だ。」


大麻についてを解説していくペルセウスに、ザプリェットは頷きながら聞いていた。


「まあ……ネイウッドは星5が着いているが、()()()()()()()だ。上手いこと隠れてるから見つけづれえから国でも対策がしにくい犯罪組織に属している。実際此処だけじゃねえ、他の地方の高校もコイツらの毒牙にかかったりしているんだ。甘い言葉で誘って、な。」


ペルセウスは警告をした。


危険だから近寄らない方がいい、と。


「……その組織の名前は?」


「そうだな……『虎の威を借る者(ペルシャザール)』と名乗っているからな……逃げ足が早え厄介な奴だからな、見かけたらすぐ逃げろ、ってのは生徒には言い聞かせてんだが……止め切れていねえこともまた事実だ。ザプリェット、今は無理に外に出るなよ? 遭遇する確率が高い。」


「……わかりました。ありがとうございます。」


ザプリェットはペルセウスに一礼をし、考えながら寮へと帰っていった。


(うーん……裏がある、か……先生が言うくらいだから危険な相手なのは間違い無いけど……いや……やるか、特訓の成果を試す腕試しでもあるんだ、そうなると……夜だな……フローティアに相談してみるか……)


と、ザプリェットが誰かの肩とぶつかった。


「あ……ごめん、って………フロイド? なんでここに??」


女子のような童顔赤髪の男子生徒・フロイドだった。


「ああ、ザプリェット?? いや、こっちこそごめん。荷物が重いからさ、周りをちゃんと見れてなかったよ。で……どうしたの?? ザプリェットはなんか、考え事をしてるように見えたんだけど……」


「……フロイド、手伝おうか? それ。」


フロイドが持っていた石の箱を指差したザプリェット。


2個が重なって積み重なっていたので、片方を持とうというのである。


「あ……うん、助かるよ、ザプリェット。これ魔法石だから慎重にやらないと割れちゃうから……」


フロイドがザプリェットに感謝を述べ、ザプリェットは箱を片方、持つことになるのであった。


場所はA組の担任である、「魔法式」の女性教師・『ロエリー』の研究室へと向かっていった。




 運び終えた後、フロイドはザプリェットに感謝を述べた後、件のことを聞かれた。


ネイウッドのことをザプリェットは正直に話した。


2日前にワクスモでチラッと見かけた男が、とんでもない犯罪者であったことを。


「あー……父上も面倒だ、って嘆いていた奴か……そりゃあなんとしても捕らえたいよね……」


「そーそー。だからとっ捕まえて偏見ヤロー共の鼻を明かしてやろうかな、って思っててさ? なんかいい案がないかな?」


「うーん……そうだな……麻薬販売、ってことはさ、人目が多い夜にすることが多いじゃん? つまりは……生徒が被害に遭う礼が夜遊びしてもらってきたものをそのまま吸う、ってパターン。それも()()()()()()()()()()()()()らしくってね。そのネイウッドって奴は。」


「女の子……か……でもそれ言うんだったらフロイドも狙われるんじゃない? アンタ、()()()()()()()()()()()()()。」


「だから僕は男だ!!」


もはや女から男への流れは2人の間で定番になっていた。


と、ザプリェットは、なにかを閃いたかのように目を見開いて横拳を右手に乗せた。


「……あ、思いついた、今ので。明日の放課後さ……食堂で待ち合わせ。いい?」


「????? うん、わかった。約束だよ?」


フロイドはザプリェットの言葉に謎に思いながら、男子寮へと帰っていったのであった。





 寮の部屋に戻ったザプリェットは、フローティアにこの事を話し、フローティアは最初は危険だと渋っていたものの、ザプリェットの特訓の成果を見せたい、という想いに感化されて、これを承諾した。


ザプリェットは、ネイウッド及び『虎の威を借る者(ペルシャザール)』を一網打尽にすべく、行動を開始していくのであった。

次回はザプリェット、フローティア、フロイドが行動を開始します。

結構カオスになりますが、よろしくお願いします。


さて、登場人物紹介、今回はフローティアです。



フローティア・ルカシェンコ

王立サダムパテック魔法学院1年H組

15歳

ワクスモの隣町・アレフト出身

中流貴族・ルカシェンコ家第五側室の娘(三女)

12月26日生まれ

A型

使用魔法「精霊魔法『舜天夢双(ピクシードアーツ)』」

151センチ 3サイズB91(Hカップ)W61H87

好きな食べ物:甘いもの全般

趣味:編み物を編むこと、カチューシャ収集、毛糸収集



本作のサブヒロイン。

寮ではザプリェットとルームメイト。

ザプリェットにのみ、極端な内弁慶な性格で、ザプリェット以外には内気で引っ込み思案な性格。

ザプリェットには積極的で社交的、且つ明るい性格になる。

トラブルには滅法弱く、ザプリェットとラチェーカが小競り合いを起こした際は近くにいながらオドオドして声を掛けられなかったほど。

基本的には優しい性格で、巨乳とほんわかした笑顔と黒髪で一部男子からは人気を集めている。

魔法は防御や偵察専門な魔法になっている。

魔法値は25000ほどで、ザプリェットと違い、ほぼ最大値。

ペルセウスの進言で、攻撃特化のザプリェットと「魔闘演舞」の団体戦でパートナーにもなっている。

運動神経は良くも悪くも中の中。



次回はフロイドの紹介です。

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