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第37話 王立魔法学院の文化祭

今回は幕間で、文化祭編をやろうと思います。

 さて、アムールをザプリェットが倒してから数週間が経過した頃。


サダムパテック王立魔法学院では、文化祭に向けての準備が取り行われており、生徒会が主導となってしていくものだ。


しかし、マルケスが出すものは、なかなかハードルが高いものであり………。


「………会長、予算オーバーでは?」


ヴィルシーナが苦言を呈するほどで、それは常軌を逸しているといっても過言ではなかった。


「問題ないさ。ここは国が運営、管轄をしているんだ、足りない分はそこで補填すればいい。」


「ですから! 学校がたった1日のイベントのためにこのような莫大な予算を出すとお思いで!?!?」


「だーいじょうぶだって。学校から許可は頂いてる。あとはスポンサーを見つけるだけだ。というわけでフロイド………」


「は、ハイ………」


「そんなわけで………明日、シーナと僕と君とで右大臣殿と交渉にいく。財政の管理をしているのは右大臣だろう? 壮大なプロジェクトを提示した上で必要な分を補ってもらう。今年の文化祭を成功させるためなら………どんな手だって使うさ。」


「マルケス、そのためにフロイドくんのコネを使うわけやな?」


「そう。流石に我儘は言えないだろうしね、幾ら右大臣殿とはいえ。あとは僕に任せといて、まずみんなはやれることをやろう。いいね?」


と、マルケスの一声で全員が準備に取り掛かる。


演劇などもやるのにはやるのではあるが、とにかくマルケスは派手に事をやるようである。


ザプリェットは準備のため、ペルセウスの研究室へと足を運んでいくのであった。





 室内に入ると、無事に孵化させて育った4頭ものワイバーンの仔たちが、ペルセウスに餌付けをされていた。


「おう、ザプリェットか。コイツらは順調だぞ。上手くいきゃあ、2年後の騎乗体験授業には使えそうなくれえだぞ?」


「それはそれは。あと先生、この子たちのお披露目の相談に来たんですけど………文化祭での。」


「へえ………コイツを使うってのか。ちょうど昨日あたりに飛び始めたくれえだからな、文化祭には間に合うぞ。で、何に使う気だ?」


「どうやらショーをやるらしくって。この子たちを使って………サーカスみたいなこと、やるということを言われてましてね。それで調教を付けたくてきたんですけど………」


「ほー?? 普通ならライオンやらトラやら使うモンなんだがな。それをちっせえワイバーンを使うとはな。まあ、破天荒なマルケスらしいぜ。んで………予算はあんのか?」


「………足りないみたいで、明日右大臣殿と交渉に行くようです………」


「………だろうな………で、お前よ………今後ワイバーンに乗るのか? 今の軍備なら、戦車なんかもあるんだ、最近導入されたとはいえ、ワイバーンライダーはそんな使えねえぞ? 機械化が進んでいるから廃れるのも早えだろうしな。」


「うーん………まあ、私たちが持って帰ったタマゴなんで、1匹貰おうかなー………って、卒業後には思ってるくらいですね。けれどなんか分かんないですけど………乗れる自信はありますよ?」


そう言って、ザプリェットは肌が黒いワイバーンの喉を撫でる。


「なんだかんだでお前は………いつも来てるもんな。そりゃ慣れるのも無理はねえ。お前なら乗りこなせるかもな。あと、一番気難しいの、その黒いのだぜ?」


馬でも言えることなのだが、ワイバーンにも個性はあるので、当然気性難なワイバーンだっている。


暴れ馬ならぬ暴れ竜だ。


ただ、ザプリェットも大概気性難なので、なんだかんだで気が合うようではあった。


「先生、手伝いだけしてもらえますか? 正直素人がやっても、失敗に終わる可能性が高いんで………」


「任せとけ。」


そういうわけで、ザプリェットはワイバーンのショーを成功させるため、ペルセウスと調教をしていくのであった。




 そして当日。


外部の人間や、生徒の親族も続々と来たりもするのがこの文化祭の特色である。


そして事前にアムールを始末していたことで、テロの心配はほぼないようなものだった。


ザプリェットは見回りをしながらも、なんだかんだで文化祭を楽しんでいたようであった。


………とはいえ、魔法の特性上、不審者を取り押さえるには苦労するのだが、そこはアルツールの専売特許なのでなんだかんだで生徒会のメンバーを頼っているのは現実である。


ショーの時間もあるので、早めに戻ろうとしたその時、フロイドに声をかけられた。


「ザプリェット? ショーは大丈夫?」


「ん? あー………まあ、そろそろ行くよ。そういうフロイドは?」


「僕のはもう終わったからね。できたら僕も手伝っていいかい?」


「別にいいけど………大丈夫? ぶっつけ本番でしょ?」


「いやいや、点火の部分をね。僕の魔法の方が速いだろうしね?」


「まー………それならいいよ、お願い。」


というわけで、フロイドのアシスタントもあって、生徒会が企画したサーカスショーは成功したのであった。




 そして片付けが終わり、午後8時。


フロイドとザプリェットは星を見上げ、芝に座り込む。


「いやー………疲れたね。まさかこんな動くなんて思いもしなかったよ………」


「そうだね、フロイド………でもやりがいはあった。ショーも上手くいったしね。」


ザプリェットの傍らには、何故か懐いた黒いワイバーンの子が。


「ホント、そのワイバーン………ザプリェットのこと、気に入ってるよね。」


「そうかな? まあ、私がタマゴ持って帰ったからさ、そりゃ慣れるよ。」


「名前とか付けないの?」


「………付けるものなの?」


「だってさ、大事な“相棒”になるでしょ、絶対。だったら付ける方がいいよ。」


そっかー………とザプリェットは呟き、黒いワイバーンを見る。


「じゃあ…………“ラグ”にしよ。」


「ラグ、ねえ………ま、いいんじゃない? ザプリェットっぽい、素朴な名前でいいと思うよ?」


「そう? ありがと、フロイド。」


「ところで………ザプリェット、頼みがあるんだ。」


「………なに?」


フロイドにお願いされるようなことがあるのか、とザプリェットは思ったが、一応話を聞いてみる。


「父上から聞いたんだ、ここから遥か東にある島____『シャファリム』にある軍基地が襲撃を受けたみたいでさ………粘ってはいるんだけど戦況が良くないって話なんだ。」


「それで……?」


「君と僕と………あと、ラチェーカも誘うから、僕らで叩き潰したいんだ。」


「………へえ………?? 面白い提案だね? 乗るよ、その申し出。でもラグはまだ私を乗せれるくらいにはなってないからさ、先生に預けとくよ。」


「うん………国の一大事だけど、陛下や左大臣には通していないみたいなんだ。真実を報告するがてら、僕らで国を救おう!!」


というわけで、ザプリェットはフロイドとラチェーカと共に、シャファリムへと向かうことになるのであった。


そして恐ろしい事実を、3人は知ることになるのである。

次回から新章「シャファリム編」です。

苛烈な戦争模様を書いていこうと思いますので、ひりつくような描写を目指して頑張ろうと思います。

というわけで、よろしくお願いします。

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