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第34話 「痛みの同調(ダメージリンク)」と“核”

ペルセウスが、ザプリェットとアムールの魔法の関係性を「表裏一体」と言っていたのを記したと思いますが、今回はそれを裏付けることを書きたいと思います。

 ザプリェットがアムールと再対峙する。


ザプリェットは前回と同じ轍を踏むまい、という具合で鍛え上げていたのだ。


既存の魔法の使い方はそのままで、発想力を活かした戦い方をするために。


全ては勝つためなのだから。


「『魂の贈与(ソウルギフト)』………『土塊の巨人の創造(クリエイトゴーレム)』!!!」


ザプリェットが魂を地面に投与すると、巨大な、土で出来た魔物が生成された。


「ほう………面白いことを考えついたものだな、ザプリェット………学院で何か吹き込まれたか?」


アムールは薄笑いを浮かべ、魔法をザプリェットと同じように放つ。


すると白くコーティングされた、ザプリェットと同じようなゴーレムが瞬時に創り出された。


「そう来ると思ったよ、父さん………けどこれで………一対一(タイマン)にちゃんと持ち込める!!」


左掌に右拳をガツンと当て、戦闘態勢に移った。


アムールも負けじと応戦する。


ザプリェットが右ストレートを放つと、ゴーレムはディレイド気味に、指示に従うかのようにザプリェットと同じように右ストレートをアムールのゴーレムに放った。


アムールも同じように、右ストレートを放つ。


アムールのゴーレムもまた、同じようにストレートを放つ。


ぶつかったゴーレムの腕に、ザプリェットの腕が軋む。


(クッ………まだ慣れてないから“痛みの同調(ダメージリンク)“が強い………!! でも()()()()()()()()だ、ダメージを与えられるって確信がある!!!)


ザプリェットは怯むことなく左フックを放つ。


アムールも同様に左フックを放つ。


引きフックのように互いに避けながら放ったパンチなので、拳と拳がゴーレム越しに交錯した。




 その後も打ち合っていく2人だったが、何故か両者クリーンヒットが多いにも関わらず、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


ザプリェットはこの違和感にすぐ気付いた。


(おかしい………表裏一体なら父さんにもダメージが入ってもおかしくないのにな………仕方ない、使いたくなかったけど………フローティアの魂で原因を探る!!)


ザプリェットは右踵で「魂の贈与(ソウルギフト)」を繰り出し、アムールに気付かれないようにフローティアの魂を使った。


魂の移動(ソウルコンバーション)」は、使用者の魔法の記憶と魂の魔法の遺志が一致して初めて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


つまり、一時的に「舜天夢双(ピクシードアーツ)」をザプリェットは使えるわけだ。


あくまでも偵察目的だったが、フローティアの生前の魔法を最もよく理解していたのがザプリェットだったため、偵察に行かせることなど容易いことだった。


ミスディレクションの要領で自分のゴーレムに意識を引きつけさせて原因を特定するやり方だった。


「フン………ザプリェット、やはりそんなものか………言っただろう、私には勝てないと。」


アムールは余裕気に「生命の移動(ライフコンバーション)」をゴーレムに注入し、強化を図る。


「父さんに何が分かる………?? 私も、母さんも………国も、何もかも捨てたアンタに!!!」


ザプリェットも負けじと魂を投入し、拳を強化した。


そして右フックから、左アッパーを放ち、顎にクリーンヒットした。


だが、効くどころかアッパーを打ち返してきて、ザプリェットの顎が大きく跳ね上がった。


と、その時。


ザプリェットだけに聞こえる「()()()」が脳に聞こえてきた。


そしてそれを聞き、ザプリェットはアムールのカラクリに気がついた。


(そんなところだろうと思ってた………思えば前に戦った時の『魂喰い(ソウルイート)』を放った時に全く効かなかった時も………魂そのものを喰っている感覚がしなかった………!! 別のところに移していたんだ、“()()()()”を!!!)


ザプリェットはゴーレムに左フックを放った直後、すぐさまゴーレムに「魂喰い(ソウルイート)」を放ち、ただの土へと還した。


予想外の事態に顔色を変えるアムール、だが、構わずザプリェットは銃の形を指で作り、照準を合わせた。


「『魂の放出(ソウルフレア)』………『早撃ち(クイックショット)』!!!」


ザプリェットが魔法を放つと、天井が少し崩れたと同時に、アムールの“核”を掠めた。


アムールの右腕に痺れが走り、アムールはゴーレムを崩して解除する。


「何故気がついた? ()()()()()()()()()()()と………」


「簡単な話だよ………同じように戦って、私だけにダメージが入るもの、そりゃバカでも気付く。」


ザプリェットは口から出た血を拭い、青く澄んだ目でアムールを睨む。


(ここまで勘が鋭い子とは思わなかった………娘だからと侮っていたが、認識を改める必要があるようだ………成長したな、ザプリェット………)


アムールはまた、薄笑いを浮かべ、左腕を構えた。


「ザプリェット、ここからは小細工無用だ。久しぶりに本気で戦うとしよう。」


ザプリェットは一息吐く。


(ありがとう、フローティア………アンタの力がなかったら、先生に教えてもらわなかったらフローティアの力をフルパワーで発揮できなかった………だから勝つ!! フローティアのために!!!)


決意を固め、目を見開いた。


「ずっと独りのままの父さんに負けるわけにはいかない………!! 私には………友の想いがあるんだからね………!!」


そしてこうも言い放つ。


「そりゃあ親子だから………属性は違っていても()()()()()………こっからは親子喧嘩だ、父さん………!!」


「その気なら私も容赦はせん。たとえ娘だろうとな………!!」


史上空前の“親子喧嘩(ころしあい)“は、更にここから熱を帯びていくことになるのである。

次回は決着まで一気に書こうと思います。

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