第32話 “変えたい”という想い
ザプリェットが正式に生徒会に入る回になります。
さて、そんなこんなでザプリェットはマルケス、アルツール、ソファリアの3人から説明を受ける。
生徒会の序列は生徒会長→副会長→書記が3年生で、2年生が会長補佐→庶務→会計、1年生が全員、生徒会補佐という形になる。
とはいえ、ザプリェットは2年生の生徒会メンバーには会っていないし、もう1人来るとのことだったが今は2年生と一緒にその人物はいるらしい。
ザプリェットは大体は予想がついていたが、ガチャ、と重い荷物を持った生徒会メンバー4人が入ってきた。
「会長、頼まれていたものをお持ちしました______って、あれ? なんでザプリェットが???」
「ラチェーカ………よくわかってない。フロイドに呼ばれたから来ただけで………」
何故かラチェーカがおり、2人は戸惑いを見せた。
「………ま、学年主席は絶対に入るって決まりだからね、ウチでは。」
このやりとりに苦笑いを浮かべながら、長身ショートヘアの女子が話しかける。
「ああ、申し遅れたね、ザプリェット。私は会長補佐の『オリヴィエ・マークスカヤ』だ。よろしく頼むよ。」
「は、はあ………よろしくお願いします。」
2年生は全員女子だったため、重い荷物を持たせるマルケス達は酷なことをするものだ、と田舎者のザプリェットはそう思っていた。
「あ、あの………ザプリェットさん………『シェリフ・ヒュルビス』………と申します………い、一応上級貴族の娘で、ここでは庶務を務めさせてもらってます………」
「………は、はあ………こちらこそ………」
シェリフのオドオドした姿に、ザプリェットは気弱な貴族もいるものだな、そういう風に感じ取っていた。
そして会計には、大きな瓶底メガネを掛けた三つ編みの女子が。
「私は会計の『ヴィルシーナ・ゼレンタイト』です。以後お見知り置きを。」
ヴィルシーナはメガネをグイッと上げ、厳格そうな口調で自己紹介をした。
「………よろしくお願いします。」
胸の紋章はなく、平民出身ということはわかったが、商人の出だろうか、とザプリェットはヴィルシーナを見てそう考察した。
「ザプリェットさん、先に申し上げておきますが………私は貴女と違い、バリエーションのある魔法を使えます。そうでなければ、貴女のような特殊なケースでない限りここに居ることはできませんので。」
「………それはご尤もで、ヴィルシーナ先輩。」
「シーナ、で構いません。言い難いでしょう?」
「………では、シーナ先輩、今後とも宜しくお願いします。」
ザプリェットは改めてヴィルシーナに頭を下げ、ザプリェットは生徒会の一員になることになったのであった。
文化祭が11月にあるというので、その予算会議だったり、催しを生徒会主導で考えなければいけなかったのだが、そこは案外すんなり決まったので、生徒会新入りのザプリェットが、生徒会としての抱負を語ることになった。
「………やることは決まってますよ、この学院に入った時に全部。」
「へぇ………どんな目標だい?」
ザプリェットが自信ありげに不敵に笑うと、マルケスも釣られたかのようにニヤッと笑い、それを聞く。
「………この学院を改革すること、それ即ち………入学試験の段階から変えていくべきだと思うんです。」
「ほう、そう言うと?」
「簡単な話ですよ、属性に囚われず、純粋な魔法値だけで入学できるクラス順位を決めるんですよ、私が会長になったらそれをやりたいと思います。」
これを聞いた生徒会は、呆気に取られていた。
そもそもHクラスが生徒会長になろうものなら前代未聞の事態で、その時点で学校の改革がなされてしまうのだが、学校の顔たる生徒会がそれを主導していいものかが、という空気が溢れていた。
「………やっぱり君を迎え入れてよかったよ、ザプリェット。」
マルケスはドカッと椅子に背もたれをもたれ掛け、腕と脚を組んだ。
「ここの先生達は頭の硬い人が多くってね、僕はそれが嫌だった。事実………先生とのコネだけで入ってくるような能力の低い貴族の子供もいるくらいだ。ここは魔法の強さが全て………だったらその不正入学を失くすためにも、僕の代から抜本的改革をしたいと思っていたところだった、生徒会長として、君の口からそれが出るとは思っていなかった。だから君を迎え入れてよかったと思う。」
「マルケス、なんでウチらに言ってくれなかったん? 言う機会は幾らでもあったやろ?」
「ソファリア、僕の一存だけでは学院は変えられない。先生方に相談するのもアリだけども………問題が山積みでね、一つずつ解決して言うことを聞くように振り向かせないといけない。だから同士がどうしても必要だったんだ。」
マルケスは柔軟な発想を持っていたようで、ザプリェットはただ顔がいいだけの軟派男と、マルケスに抱いていた印象がガラッと変わった。
「会長、お言葉ですけど………それは意思表示をした上で生徒からの信任を得ればいいのでは?」
ラチェーカもある程度賛成だった模様で、署名の力でどうにかできないか、ということを提案した。
「ラチェーカ、それは文化祭の時にでも幾らでもやれるだろうさ。親御さんも来るしね。ただ問題が署名の力を先生達が受け入れてくれるかどうか、そこに懸かっているから成功できる確率は低いんだ。」
「マルケス、とにかくやってみようぜ。やれることを、な。大体よぉ、こんなコネ入学を許してっから国の不正が消えねえんだっての。サダムパテックをもっとつえー国にしていくにはどうしたらいいか______未来を担う俺たちが考えねえといけねえだろうがよ。」
「その通りだ、アル。みんな………このことを受け入れてくれるかい? 僕だってこの国に生まれたからには少しでも良くしたい。だから協力してくれないか?」
「………当たり前やろ? ウチらは仲間やないか。生徒会から変えてかへんとこの学院もいつまであるか分からへんねん。母校が消えるのはウチかて嫌や。ウチはマルケスに着いてくし、ザプリェットちゃんの想いも尊重する。」
ソファリアの言葉に、全員が賛同の意を示した。
ザプリェットは何故マルケス主導になってしまっているのかはさておき、味方が増えてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいになっていた。
「ありがとう………よし、今日は解散!! 明日の昼、また来るように!!」
そういうわけで、生徒会会議は解散となった。
ザプリェットはやらなければいけないことがある、として、アムールを倒すために修練に励むことになるのであった。
次回からVSアムールに移りたいと思いますが、まずは再度対峙するまでを書きたいと思います。




