第30話 土塊のクリエイト
今回は修行する回です。
発想能力を鍛えるのは、ぶっちゃけ自然環境の方が案外良かったりしますしね。
さて、ペルセウスに連れられて、ダンジョンへと向かっていったザプリェットは、発光キノコが壁にビッシリと生えている洞窟に入っていった。
「先生、ここは………」
「ここはかなり難しいダンジョンでな………本来は軍人クラスじゃねえと入るのは危険と言われている場所だ。『飛竜の巣』、軍人でも訓練の段階で年に何人も死人を出しているくらいだ。だが、今のお前の修行には最適な場所、俺はそう判断して連れてきた。」
「確かに………ヒリつきますね………魂の奔流が蠢いている感じが………」
「分かるのか?」
「そうですね、自然の多い田舎で育ったもので。狩にも役立つんで、私はそういうところは敏感ですよ?」
「………なら心配なさそうだな。っと、早速お出ましか。『人喰いリザード』が。お前に与える課題は分かっているな? 側にある土塊で何かを創り出し、打ち倒すこと。しっかりとイメージをして、臨め。」
ペルセウスの言われた通り、ザプリェットは人喰いリザードが襲ってきたタイミングで「魂の贈与」を地面に放ち、「ゴーレム」を創り出した。
そしてそのゴーレムは、拳を握ったと同時に人喰いリザードを殴り潰したのであった。
「こ………こんな、感じですか………!?」
ザプリェットは興奮気味でペルセウスにそう訴える。
「そんな感じだ。あと、俺の研究の材料にもなるからな、ドラゴン系統のモンスターは。お前には素材集めの意味合いも込めて連れてきた。」
「………要は雑用、ってわけですか………」
「半分修行、半分俺の雑用だ。お前のためにもなって、且つ俺のためにもなる、互いに得になるだろうがよ。」
「………まあ、そうですけど………」
一気に白け倒されたことをペルセウスに言われ、ザプリェットはゲンナリとした顔を見せたのであった。
さて、このまま順調に素材集め、そして魔法の修行を重ねていく2人だったが、ここで何故か屋外に繋がる穴から抜けていった。
風が吹き荒れ、一見すると開けた場所だったが、危険な匂いが漂っていた。
「ねえ、先生………ここは………?」
「………まあ、じきに分かるさ。この洞窟で一番危険なモンスターがいる場所だ。」
「え、それって________」
すると上空から、緑色の肌をした、巨大な飛翔生物が飛来してきた。
「なっ………え!? わ、飛竜………!?」
「そうだ。この洞窟で一番危険なモンスター、それが『飛竜』。コイツは秋が繁殖期でな、気性が元々荒いが更に荒くなっているぜ?」
「いきなりハードモードですって、先生!! ってうわっ!!!」
飛竜は縄張りを荒らされたのが気に食わないのか、はたまた温めている卵を守るためなのか、容赦なくザプリェットに襲い掛かってきた。
上空に滑空したと思えば、噛みつき攻撃に炎のブレスを吐き出し、ザプリェットに猛攻を仕掛けた。
ペルセウスの方をチラッと見たザプリェットだが、ペルセウスはただ洞窟の縁で見守っているだけだった。
自分でやるしかない、と覚悟を決めたザプリェットは、まず使えそうなものがないかを視認で確認し、大きく抉れ、崩れ落ちた岩の破片を目にした。
だが、それをただ飛ばすだけではダメージはたかが知れている。
しかし、「魂の贈与」の応用的使い方にだいぶ慣れてきたザプリェットは、まず岩の破片に「魂の贈与」を300個ほど、一個ずつに放ち、宙に浮かせた。
そして右腕に「魂の放出」を纏わせ、更に「魂喰い」で岩の破片をまるで磁石のように引き寄せる。
すると、ザプリェットの右腕が瞬く間に巨大な拳に変化した。
飛竜が突進してきたと同時にジャンプで避け、大きく振りかぶったと同時に岩の重みを利用して、飛竜の脳天に拳を直撃させ、頭部を叩き潰したのであった。
ザプリェットが魔法を解除すると、バラバラバラッ………と岩の破片がその場に崩れ落ちた。
「やるじゃねえかよ………まさか殴りを武器にするとは思わなかった。それはテメエの発想か? ザプリェット。」
「………そうですね、何でもやれるって自信が付いたので………行けると思いました。」
「そりゃあよかった。さて………コイツの肉は持ち帰って食うか。それと………」
と、ペルセウスはチラッと上の方を見遣った。
「あそこに巣があるだろ? あの卵も回収する。」
「………何に使うんです?」
「ウチの軍でもな、『飛竜騎士』ってわかるか? それを取り入れようとしているんだ。研究がてら、飼育または軍用でも使えるように、な。馬だけの機動力だと、広い大地を駆けるのにはどうしても限界が出てきちまうからな。」
「なるほど………わかりました。」
ザプリェットは了解して返事をすると、岩肌をスイスイとロッククライムしていき、卵の入った巣を難なく回収した。
「おそらくコイツの生んだモンだろうからな………コイツの供養がてら、何かしらに使ってやるのが使命じゃねえか?」
「ですけど………こんな暴れん坊をどうにかできるものなんですか?」
「案外人に慣れれば従順になるモンスターだからな。ガキの頃から人間に慣れさせてやれれば、軍竜としても使えるようになるさ。」
ザプリェットは納得したように頷き、ペルセウスと2人で学校まで帰還していったのであった。
次回、学院パートです。
ザプリェットが〇〇される展開ですので、お楽しみくださいませ。




