第29話 発想の転換
今回はザプリェットが真実を告げられると共に、ペルセウスからの助言を受け、成長を見せる回です。
そのカギは「魂の贈与」(ソウルギフト)。
ザプリェットはアムールが実の父親であることを知り、唖然とした表情を見せた。
当然、困惑の色も隠すことができていなかった。
「え………ちょ、ちょっと待ってください、先生………アムールが………私の父??? ど、どういうことですか………??」
「どういうことも何も、お前の生まれ故郷、リムペに9年前までいた記録が残ってんだよ。あと、これがテメエの戸籍だ、よく見とけ。」
ペルセウスは証拠と言わんばかりにコピーされたザプリェットの家族の戸籍を渡した。
「………やっと合点がいきました………どうりで私のことを知ってると思ったら………」
「………俺も知った時は驚いた。国が指定している超級指名手配犯だからな、アムール・トカシェフという男は。まさかお前の親父がアムールとは、俺も予想がつかなかった。」
悔しさを滲ませ、用紙をグシャッと握り潰すザプリェットに、ペルセウスが説明をする。
「アムールは元々、この国の少佐まで上り詰めた軍人だったんだ。だがな、国の体制に異を唱えていてな、上層部や上流貴族との衝突が激しかったんだ。そんなこともあり、9年前に退役し、以降消息が不明だったんだが………実は2年前からワクスモで頻繁にテロを引き起こしたりしていて、元軍人ということもあって超級指名手配犯になったんだ。しかも厄介なのが………サダムパテックと対立している『アルベーニャ王国』の支援を受けている。まあ、お前がほぼ壊滅させたに等しいが、体勢を立て直しに来られたらサダムパテックの脅威になりかねない。」
「………じゃあその前に叩けばいい、と………」
「それが理想だがな。しかし………今のウチでまともにアムールと張り合えるのは理事長くらいのものだ、ザプリェットも今の魔法値は16万を行っているのは事実、だがそれでもアムールは53万………圧倒的に戦力が足りていねえ。」
ザプリェットは現実を突きつけられ、顔を顰める。
ザプリェットとしてはリベンジを果たさなければいけない相手であり、アムールは父とて娘であるザプリェットにも一切の容赦はなかった。
強くなっていたとはいえ、その差があるのは歴然としていたし、このまま再戦しても敗北は確実であった。
「だがな、よく聞け、ザプリェット。お前の魔法値の最大値は………アムールの5倍だ。つまりまだ発展途上にある。」
「!? 本当ですか!?」
「ああ、補償する。アムールの53万はアイツの最大値だ、つまりアイツは魔法を極めきっている、ザプリェット次第だが勝算はゼロじゃあねえさ。そこで、だ。」
と、ペルセウスはそう言って、成長プランを纏めた資料をザプリェットに提示する。
資料をザプリェットが捲っていくと、事細やかに記されていたのは、アムールに勝つためのものがズラリと。
「………ま、そういうことだ。ザプリェット、それを見て覚えた前提で話す。アイツに勝ちてえんだろ?」
「ハイ。」
「………だったらよ、発想を変えてみねえか? ………お前よぉ、アムールと戦ってみてどうだった?」
「……なんていうか………木の床だったり箱だったりが自分の手足のように動いていて………」
「そう、それだ。アムールもザプリェットも、本質的には表裏一体だ、つまり………ザプリェットはそのポルターガイストのような技術を身に付ける必要がある。」
「………『魂の贈与』で、ですか?」
「察しがいいな。お前、今までそれは人間にしか使えていなかっただろ? だがな、物には魂が宿る、つまりそこに………生物の魂をぶち込んだらどうだ?」
「魂を………入れて…………………あっッッッ!!!!!」
気づいたようにテーブルをバンッ!! とザプリェットは叩く。
「分かったか? 例えば、だが………人体模型が俺の研究室にはあるんだが、ソイツになんでもいい、魂を入れてみろ。」
「………ハイ………」
ザプリェットは「魂の贈与」を人体模型に向かって放ち、吸収させる。
すると、人体模型は意思を持ったかのように動き出した。
「スゴい…………!! これが新しい私………!!」
「理屈は分かったか? ………それじゃ、今夜俺に着いてこい。お前に叩き込んでおかねえといけねえことが山のようにあるからな。今日から修行だ、お前が『最強の魔法師』になるために、な。」
「ハイ!!」
ザプリェットの目に光がスッと入ってきていた。
どうやら勝てるビジョンが湧いてきたかのような、そんな綺麗な瞳だった。
そしてその夜。
校門で待っていたペルセウスと合流したザプリェットは、徒歩でとあるダンジョンへと向かっていくのであった。
次回は特訓回。
ザプリェットが進化し続けていきますが、ぶっちゃけただの無双物ではないので、まあ上手いことバランスは取れているのではないでしょうかwww




