第23話 我を忘れるほどに
第二章もあと2話になります。
復讐のままに殺戮をしていくザプリェットと、冷静に諭すフロイドの対比を書ければいいかなー、と思っております。
ザプリェットは尚もテロリストを殺害するために進軍をしていった。
見つけ次第、手当たり次第で魂を奪い取り、絶命させていくという方向で。
その姿をペルセウスが捉えた。
「オイ、ザプリェット、テメエ!! 何やって______」
制止を試みたペルセウスだったが、ザプリェットの表情を見て止めることは今は不可能だということを勘付いた。
(あのバカ………!! 我を忘れてやがるな、怒りで……!! 何があったかは知らねえが、下手に手を出しゃ俺も巻き込まれかねねえ……頼もしいが、同時に危なっかしいな、相変わらずよぉ……)
今は手出しをせず、ペルセウスはH組の他の生徒に撤収を命じた。
ザプリェットに任せておいていいと言わんばかりに。
一方のザプリェットは唸り声を挙げながら次々と魂を奪っていった。
しかし、ペルセウスの予想通りといってもいいのか、明らかに冷静さを欠いている。
逃げ惑うテロリストにも容赦なく魔法を繰り出していき、自らの糧にしていった。
(クソッ……!! ボスらしきボスもいない……!! あの手の奴らは絶対いるはずなのに!!)
ザプリェットはボスを見つけられず、苛立ちもさらに加速していく。
約300人ものテロリストをたった1人で壊滅状態まで持っていったのではあるが、肝心のボスを倒さなければこの戦いは終わらない。
おおよそ壊滅をした時、ザプリェットはフロイドとバッタリと鉢合わせになった。
「ザ、ザプリェット!? なんでここに……!?」
フロイドが声をかけたが、ザプリェットは意にも介さない。
暴走は尚も続き、フロイドの問いかけにも無視して殺しを敢行して行っていた。
このままではマズイ、とフロイドは判断し、決死の覚悟でザプリェットを抑えに行った。
「ザプリェット!! 落ち着いて!! 暴れてる場合じゃないでしょ!?」
ザプリェットの脇の下から両腕を伸ばし、ガッチリとホールドをしてザプリェットを抑えるフロイド。
だがしかし、ザプリェットは「うるさい!!」という叫びと共に左エルボーをフロイドの顔面に放った。
脳が少し揺れ、フロイドは後ずさった。
そしてザプリェットはこう言った。
「………邪魔すんだったらアンタも殺す……!!」
怒りが煮えたぎっているような目をしていたザプリェット、フロイドはそれを見て戦慄を憶えた。
これ以上は本当に殺されかねない、と。
しかしフロイドには友の暴走を抑える責任があった。
だからこそ一歩も引かないし、引くわけにもいかなかった。
その想いも手伝ったのか、フロイドはザプリェットにこう諭した。
「………ボスを探してるんだろ!? だったら知ってそうなやつを1人だけ残して情報を得る方がいい!! 僕を殺したかったらその後でいい、だから僕の提案を聞いてくれ!!」
フロイドの真剣な眼差しを見たザプリェットは、表情は怒髪天そのものだったが、呼吸は少し落ち着いたようで、こう返した。
「………わかった……ちょっと、熱くなりすぎてた……。」
そう言ってザプリェットは振り返り、逃げるテロリストの中の1人を捕まえて地面に叩き伏せた。
そして近くの木の幹に男の身体をぶつけ、尋問にかかった。
「ヒィィィィィィィィィィィィィィ!!! お願いします、命だけはァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
………これだけ聞いても明らかに恐れ慄いているようであった、ザプリェットに対して。
ザプリェットは据わった目で、据わった声で男に問いかけた。
「ひとつ聞くぞ………お前らのボスはどこにいる? ………聞かれたことだけを答えろ、じゃないと……他の奴ら共々、お前の命の補償はないと思え………」
男は震えた唇を、なんとか喋ろうと動かした。
ザプリェットのこの尋問が、急展開を迎えることになるのだが、それはまだ誰も知る由もないことである。
次話ではザプリェットがボスのいるアジトまで乗り込みます。
で、終章という形にしたいと思います。




