第13話 「魔闘演舞」(ヴァルプルギス)最終調整
新章開幕です。
とはいってもそんなガッツリやらないので、本戦前のザプリェットとラチェーカの心境をお送りします。
9月になり、「魔闘演舞」の期間が間近に迫っていた。
「魔闘演舞」の期間は9月6日から9月9日の4日間。
2、3年生の個人戦が初日、団体戦が2日目、新人戦個人部門が3日目、団体戦が最終日となっている。
新人部門の個人戦は、各クラスで5名が選出されるので、40人のトーナメント方式となっている。
しかし団体戦は各クラス1ペアのみ。
H組はクラスのエースであるザプリェットが個人戦と団体戦に出場することになった。
ザプリェットのパートナーは、無論のことフローティア。
圧倒的な火力のザプリェットに加え、堅実な防御を持つフローティアは、クラスの他のペアの中でも圧倒的なバランスと実力を持っていたが故、満場一致で選出されたのであった。
2人はその想定練習で、ペルセウスを練習相手に選んで特訓を開始した。
ペルセウスは光魔法だけでなく、回復魔法も使えるため、回復魔法を使う守備側を想定した練習でザプリェットはいつでも「魂の放出」を放てるようにするためにペルセウスの光魔法をフローティアにキッチリとガードをさせ、反撃で連続して無属性の魔法弾を放っていく。
ペルセウスもこれを避けながら反撃を試みるも、フローティアの舜天夢双がこれを受け止めるが、フローティアの魔法とて「虎の威を借る者」で「魂の放出」で見せたような、自身の痛覚をリンクして放っているので無限には繰り出せない。
その限界点をザプリェットが知っているからこそ、速攻で決めること、ザプリェット達がカギを握っているのは実はフローティアだったりしている。
約1時間、ザプリェット、フローティアチームとペルセウスは魔法を放ち続けた。
ビーーーーーッ、という音が研究室内に鳴り響き、特訓を終了した。
タオルで汗を拭う2人。
ペルセウスは2人に近寄って話した。
「まあ……お前ら、この短期間ですごくいい連携が取れているな。トーナメントを見たが……ラチェーカは個人戦、フロイドが団体戦で出るそうだ。」
「………フロイドくんが……ですか?」
フローティアが少し驚いたかのようにペルセウスに質問をする。
「ああ。フロイド本人がな、個人戦には出ねえって話だ。自分の魔法は団体戦にこそ向く、ってな。」
フロイドは、Aクラス内ではラチェーカと実力を二分するほどの実力者ではあるが、個人戦に出ないのはそれなりの理由があるものかと思っていたザプリェットは、少し拍子抜けた顔になった。
「そんな理由で、ですか?」
「そういう理由だ。まあ……アイツは貴族としてのプライドがあるヤツだが……個人としての欲が貴族では珍しく少ねえヤツだ。俺も試験で見させてもらったが……2つの属性魔法を同時に操れる、所謂“秀才型”だ。1発1発が強力で、且つ多彩なラチェーカと違って……的を絞らせないから戦略的な面ではフロイドが上手だ。正直教師の会議でも首席をどっちにするかで揉めたくらいだ。気をつけたほうがいい。」
「ご忠告ありがとうございます……ただ……私たちはやるべきことをやる、それだけです。それに……個人との二冠、取るためには警戒しないといけない相手ですしね。」
ザプリェットの漲っている自信を見たペルセウスはフッ、と笑った。
「そう来なくちゃあ、世界最強になんざなれやしねえ。ザプリェット、目指すんだろ? 最強をよぉ?」
「当然ですよ。そのために突破しなくちゃいけない壁ですからね、決勝まで行くことが。」
「……分かってんじゃねえか。なら、心配は要らなそうだな。」
ザプリェットは本番を前にして、リラックスをした顔でそう答えていたのであった。
一方、ラチェーカは。
放課後にフロイドを相手に模擬決戦をしていた。
バチバチにぶつかり合う中、ラチェーカが勝利をもぎ取った。
「仕上がりがいいね、ラチェーカ。これなら個人戦、いけるんじゃない?」
フロイドがラチェーカに水筒を渡しながら労った。
「……まだまだね……アイツの魔法はよく知らないけど……運が良くザプリェットが逆山だった……ザプリェットに勝つためだけに夏休みから鍛えてたんだ、これくらいじゃ足りない。」
ラチェーカの目には静かに、しかし確かに闘志が溢れている。
早く戦いたくてウズウズしているかのように、だ。
フロイドはこれを見て、ラチェーカにアドバイスを送った。
「ザプリェットは確かに強いよ。僕がこの目で見たからそう言える。けれど……僕は今回はラチェーカの努力を信じるよ。だから気負いすぎないようにね? 足掬われたら元も子もないしね?」
「………分かってるわよ、フロイド……負けるわけにはいかないんだ、こんなところで……躓いてなんていられないわ。」
ラチェーカも戦闘態勢はしっかりと整えていた。
多少気負いすぎている感は否めないのではあったが。
こうして「魔闘演舞」の日を迎えた。
会場は学生や観客の貴族で大盛り上がりであった。
だがしかし、この時は全員気が付いていなかった。
新たなる脅威が彼らに迫っていた、ということに。
次回から本戦に入ります。
ただ、2話くらいは前座的な感じなので、軽めにやりたいと思っております。




