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保健室

続き書けました……!

たった1件のブクマですが私にはすごく嬉しいブクマですありがとうございます!


前作少し加筆修正しましたので良ければ読み返してやってください



昨日の雨からうって変わり、夏らしい晴天が広がる。教室の窓から眺める青い空と白い雲ってなんでこんなに「青春」って言葉が似合うのだろう。

そんなことを考えながら俺は授業に集中──は出来ずにいた。

原因は昨日のあれもある。思いがけず出会った同級生がまさか一年間密かに争っていたやつだとは思わなかった。

それに想像以上のイケメンだったし。

はぁ、と小さくため息をついてノートに目を落とす。

少し頭を動かしただけでぐわんと世界が回るようだった。

「……」

授業に集中できない理由は昨日の彼だけではなく、朝からあった熱っぽさとだるさのせいでもある。

多分、昨日全身びしょ濡れになるほど雨を浴びたのが良くなかった。その上冷房にまで当たってしまったおかげで見事に体調を崩した。

頭痛薬を買うために雨に当たって、次の日に風邪を引いてるなんてかっこ悪すぎる。

自己嫌悪と体調不良でまた目眩がした。

次の時間は保健室に行こう。

早退はなるべくしたくないから、いれるだけ保健室にいて、良くなったら教室に戻ろう。

暑そうな外と悪寒に震える自分の状況が合わなくて、なんだかおかしかった。

適当に外を見て時間が経つのを待てば、体感時間はそう長くない頃にチャイムが鳴った。

ガタガタと椅子を引く音が頭に響く。

形式的な挨拶を終えると直ぐに隣の人に保健室に行くことを伝えてフラフラと教室を出た。



□□


「少し熱があるみたいだし、とりあえず少し休もっか」

「はい、ありがとうございます」

ほとんど話したことの無い養護教諭の先生にちょっと緊張しつつもなんとか体温を測ってベットに案内される。

学校のベットで寝るなんて何年ぶりだろうか。

エアコンで整えられた程よい気温と硬い枕、無機質な匂いが心地いい。さっき熱を測って分かったけれど、思ったよりこじらせたかもしれない。

しゃっとカーテンが閉まる音に安堵のため息を吐く。

火照る体から熱を逃すようにネクタイを引き抜いてボタンを二つほど外した。

もうほとんど起きている気力がなくて、とろりと溶けるように意識を落とした。


△△


多分、夢を見ていた。

誰かが頭を撫でる夢。

自分が熱いせいか、少し冷たいその人の手のひらの温度が心地よくて、誰か確かめたいのに意識が浮いたり沈んだり。

とにかく離れたくなくて、夢の中でそのひとを引き止めた。

高校生にもなって、なんて自分の声が聞こえた気がしたけれど、夢なのだから、別にいいだろう。

現実には、甘える人もいないのだから。

久しぶりに感じる人肌はぬるくて、泣きたくなるほど優しい。

どうせ夢で消えてしまうのなら、あと少しだけ。



△△



心地よい眠りから目を覚ますと最初に見えたのはオレンジ色の天井。

寝ぼけた頭はまだ覚醒し切っていなくて、ぱちぱちと瞬きをして見覚えのない天井とカーテンレールに目がいった。

ここはどこだろう。なんで寝てたんだっけ。

そこまで考えが至ったところでがばりと身体を起こした。

「……!?」

ここは学校だ。確か四限から体調悪くなって保健室に行って……。それより今何時だ。

混乱する頭のままとりあえずベットを降りようと手をついたところでぎょっとして身を引いた。

「えっ……??」

誰かが寝ている。

ベットサイドに椅子を置いてベットに突っ伏する形で。

髪の長さと制服から男子のようだ。

これは起こすべきなのか?

でも一応保健室だし体調不良かも。

いやそれなら尚更起こすべきなのか?

というかそもそも誰だよ。

起きてから混乱しかしてない頭で導き出した答えは「とりあえず起こす」。

それで体調不良ならベットを譲ればいい。

寝ている人を起こすことなんてほとんどなくてちょっと緊張しながら肩を叩いた。

「あの、大丈夫、ですか」

とんとん、と叩いても唸るだけで起きない。

仕方なく肩を掴んでなるべく優しく揺すった。

「あの、起きてください。寝るならベットで……」

そこまで言ったところでそのひとが伏せていた顔を上げる。

「ん……?」

そう言って眠そうに目を瞬かせる顔には見覚えがあった。

一度見たら忘れられそうにない顔だ。

高い鼻に綺麗な瞳とそれを囲う長いまつ毛。

「……ゆ、きむら?」

思わず口から零れた名前にそのひとは緩慢な仕草で頷く。

まだ眠たそうで、どこか幼く見えた。



次も恐らく保健室の話です。

次の更新がいつになるか分かりませんが気に入ってくださった方がいれば気長にお待ちいただけたら嬉しいです。

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