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知らない人の音楽リストを聴きながら小説を書いていたころを思い出す

作者: 円山丈亮

この前、中古のソニーのウォークマンを買った。

買ったままカバンの中に放り込んでいたのだけど、ふと取り出して電源を入れてみた。

何の曲も入っていないと思っていたら、たくさんの曲が入っていた。僕の聴きそうにない古い曲ばかりだ。

アグネスチャン、カルメンマキ、研ナオコ、郷ひろみ、小柳ルミ子...。

僕がかろうじて知っていたのは、ユニコーンとYUKIくらいだった。

そんなわけで僕はYUKIのJOYを聴きながら、久しぶりに文章を書いている。


文章を書くというのは僕にとって楽しい作業だ。

唯一の楽しい作業といっていいい。

でも僕は久しく文章を書いていない。

いつからか文章を書く環境がなくなってしまったのだ。

大学生のころは自分のパソコンに向かってたくさんの文章を書いていた。

毎日の日記と、文芸サークルにはいっていたので小説も書いたりしていた。

でも会社に入って、結婚して、子供ができて。今では自分の机もなくなってしまった。

(僕はいまマンガ喫茶でこの文章を書いている)

もう何年も日記も書いていない。その日の予定を少し手帳に書くくらいだ。

僕の文章を書くという習慣は失われてしまったのだ。


そして、気が付くと僕の毎日は一瞬で過ぎていくようになってしまった。

同じことの繰り返しだ。

なぜだろうと思う。本当に。

もちろん、まったくの同じことが繰り返されるわけではない。

でも、最適化された日常のルーティンが大半を占めて、一瞬で日々が消費されていく。


僕は変わりたいと思う。切に。

新しいことをしたいと思う。

このままでは、死んでいるのと同じなのだ。


そんなわけで僕は、小説を書こうと思う。

誰にも書けない僕だけの小説を僕のために書こうと思う。

誰も読んでくれなくてもかまわない。

僕が生きる返るために、僕は小説を書きたいのだ。


誰かの音楽リストに入っていたメランコリニスタを聴きながら、そんなことを思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] この文章から、既に詩情を感じます。 是非、文章を書く生活を取り戻して欲しいと思います。
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