5 一時解散とゲームシステム
皆と別れて早2時間
鈴の音と共に画面右上のミニマップ下にメッセージ受信のマークが点滅した。
(へぇこんな感じでお知らせしてくれるのね。どれどれ)
速やかに今戦っている尾が2つの狐を仕末して森に戻る。
指によるシステムコマンドでステータス画面を開いた。
「メール、メール、どれだ?」
独り言を溢しながらポチポチいじってメールを探した。
(お、フレンドのところにあるやんけ。)
やっと見つけて開く。
そこにはイッシーから送られてきていた。
[順調? こっちはレベル20超えて時間も時間だから一度ログアウトするわ。もし戻ってきたらまたメッセージ送ります♪]
おそらく同じ内容で使い回しで送られてきたであろうそれを読み俺は速やかに2人にメールを送った。
キッド[イッシー帰ったみたいだけど2人はどうする?俺は夜更かしの予定なんだけど]
2人ともイッシーのメールを合図に休憩していたのか返事はとても早かった。
ノンノン[じゃあ私も落ちる。というか夕飯取ったらもう寝る。どうせ1度町に戻らないとMP回復しないから魔法も使えないし]
ゴンタ[おめえ飯どうする?待っておこうか?]
2人からそれぞれ個人メールが送られてきた。
ノンノンには[おやすみzzz]と送りゴンタに返事を返す。
キッド[ゴンタが食べるなら俺も食べに戻るよ。任せる]
ゴンタ[なら食いに戻るべ。どうせイッシーいないし。]
こうして俺らは森を後にして始まりの街へと帰路に着くのであった。
このゲームでのログアウトは基本街でしか行えない。
正確にはどこでも行えるのだがログイン時の接敵を避けるための警告が表示され街へ帰れと促されるわけだ。
いつか試してみたいものである。
そんなことはさておき街へ戻り何となく噴水へ行くとゴンタがそこにはいた。
「お、やっぱ来ると思ってたぜ!さぁ帰るべ。」
俺らはシステムコマンドでステータス画面を開き設定のところからログアウトを実行した。
目の前の噴水が小さくなるにつれて周りが白く染まっていく
完全に白になった頃振り返るとそこはフルダイブゲームのホーム広場だった。
そして流れるようにホームパネルのディスコネクトのボタンを押し暗転、目が覚めたら部屋の天井が目に映る。
「よぉお帰り。」
俺より少し早く戻ってきたゴンタが声をかけてきた。
「ただいま。さっさと食うか」
「んだな。せっかくだしリビングでゲームのこと話して食おうぜ!」
ゴンタは残り、俺は早速立ち上がり廊下を抜けてリビングへと向かった。
このアパートは1LDKの寮みたいなアパートである。
ダイニングとルームが別々で存在することは喜ぶべきだろうがキッチンとダイニングが完全に合体している。
いや合体というのもおこがましいかもしれない。
廊下を抜け右手に壁が切り抜かれIHと流し台のみのキッチンがダイニングと同化してる点を除けばまぁ暮らしに困ることはない物件ではある。
調理しようにもまな板を置く場所すらないので新たに台を買ったりなどせず素直に自炊は諦めている。
まぁ自炊してる時間あればゲームしたいというのが本音なのだが...
そんなダイニングのど真ん中にある胡座で使うタイプのダイニングテーブルには食パンの残りと延長コードをわざわざ引っ張ってまで設置されたトースターが並んでいた。
ズボラクッキングの時間である。
早いところ再度ログインし直してレベリングに勤しみたい所存である。
マヨネーズやらケチャップやらを取り出しているとゴンタが部屋からでてきた。
「で剛田レベリングとかはどんな感じ?俺はようやく15でスキル振り分けに悩み中」
とりあえず予定していた話し合いを行うべく現状報告含めて話を振った。
「21だな。ほれ!ツリーのデータ早速コピーしてきた。」
剛田は部屋に残って録画データからツリーの画像だけを切り抜きコピーしてきてくれたのだ。
こういう時本当に有能である。
「サンクス、そこおいといて。」
食パンにケチャップを満遍なく塗り広げながら礼をいう。
「あ、ついでに俺のも頼むわ。飲み物取ってくる。」
ダイニング片隅にある冷蔵庫は主に調味料とドリンク入れである。
剛田分のパンにもケチャップを塗りつつ話を進める。
「スキルポイントとステータスポイントどうする?21ってことは39かな?あるってことだろ?」
レベル1上がるごとに2ポイント、5の倍数では5ポイント貰える。
hpは上がりやすくレベル1上がるだけで10上がってくれる
初期値が100なことを考えれば10レベで体力が倍になってくれる
ステータスポイントを振れば更に体力上昇は更に加速する。
これはおそらくこうでもしないとゴンタの犬のような火力系使い魔で消し飛ばされかねないというのを暗に示している。
「体力が300もあるからな。しばらくはステータスは防御と特防に振るかなぁ。キッドは?相棒居ないけどどうすんの?」
そうゴンタはまだ壁役だからそもそもステータス振り分けには困るわけではない。
問題は相棒のいない分DPSをどう補うか検討もつかない俺である。
「攻撃に極振りがいいかなと思ってる。」
率直な感想としてはステータスが倍もしくはバフをジャンジャン盛れたり付与できるスキルみたいなのが来ないと対人戦はほぼ勝てないのである。
というのも盾でよろけさせるのがそもそもプレイヤーには発生しないことは森で既に検証済みである。
というか大半の敵は吹っ飛びすぎて追いつくまでに体勢整ったりそもそもよろけるモーションなかったりで万能ではなかった。
つまり次策の必要性があるというわけだ。
「まぁそれしかないわな。武器どうすっぺ。」
コンビニサラダの野菜をパンの上に乗せつつ返答する。
「まだ最初の武器でも硬いけどやれてるからいいよ。ダンジョンとかいくなら買い替えるけど。」
まだダンジョンは発見されていない。
ダンジョンはこのゲームに用意されているとの前情報はあったのだがチュートリアルでもその辺は聞かなかった。
「あ、そういや森の中にもダンジョンあるってことか。」
ツッコミたい気持ちを抑え聞き返す
「そうなん?」
マヨネーズを野菜の上に絞っていると衝撃的な返答をうけた。
「そうなん?っておいおい。チュートリアルで説明受けたろぉ?ラックにステータスポイント振った後によぉ。
さてはお主、妖精さんのお話聞こうとしてなかったな?」
そもそもステータス振り分け云々聞かされてすら居ないがともかく説明は受けているようである。
「聞く気なかったから教えてくれ。」
知らないは罪である。ちょっとした嘘をついてでも聞く他なかった。
「マップに名称ついてるところ全てに何かしらのダンジョンがあるのだと。
特定条件クリアしないと出現しないとかの差はあれど。
ほれ。さっき狩りしてたところ。斑目の森って書いてあるだろ?」
新たな紙を出された。
それはこのゲームのマップ情報であった。
「これどうしたの?」
行ったこともないところがあったので当然疑問に思い問い返す。
「ん?街ぶらぶらしてる際大きな看板があってよ。それを触ったらマップ全部更新されてな。」
どうやらキャラメイク後の待ち時間での散歩での出来事らしい。
後で行く必要を感じながら話を進める。
片手間でスライスチーズを裂きながら
「思ったより広くはないんだな。せいぜいバトロワのマップくらいか?」
地図を眺めると何とは言わないが空から飛び降りて始まるバトロワのマップくらいのサイズというのがよくわかる。
「そうだな。ひょっとしたら階層みたいな形で追加されたりこのまま拡張されたりってのは大いにありあるけどな。
でこの色々書かれてあるだろ?これら全ての地名のところにダンジョンがあって中には一部のユニークスキルもここで獲得できるんだとよ。」
おそらくチュートリアル情報と思しきそれを聞きながらサラダの乗ったパンにチーズをのせていく。
「じゃああれだな。早いところある程度のレベリング済ませてダンジョン巡りする方が効率いいかもな。」
トースターの蓋を開けてパンをセットしスイッチを押した。
後は勝手に焼いてくれるのでスキルツリーの紙を眺める。
「なぁこれさ第六人格の人格みたいな感じだよな。」
スキルツリーの紙を返して20年ほど前、俺がまだ中学校に通っていた頃の流行ったゲームに例えた。
「あぁ言われてみれば。ってことは俺なら左上か上下かな?」
四方向に分かれるツリーは上ならHpやMPなど耐久面、左なら攻撃力や防御力などの物理面、右なら知力や特殊防御力の特殊面、下なら瞬発力の機動力面を補ってくれる形なのである。
その道中には枝分かれもしてありパッシブスキルなどを獲得できたりもできるというわけである。
「あ、じゃあこれが正規というか普通のパッシブスキル獲得方法でジャイアントキリングは特殊な入手方法ってことか。」
俺は気づきをそのまま口にした。
「かもな。おそらく振り直したら使えないパッシブと違って特殊な入手方法のパッシブは消えることはないかもしれんな。」
剛田の経験則からでた発言には俺も同意した。
「これかなり複雑だから俺が活躍できるようなスキルやら方法が沢山ありそうだな。」
チーズがぷつぷつとし出したのを眺め俺はそうぼやくのであった。




