日常
バシャッ!
バケツがひっくり返され、俺の顔に水がかかった。
「起きる!起きるからそういう起こしかたはやめてくれ!」
ベッドがびしょびしょになる。
いつも通りの朝だ。
この世界に来てから既に十数日がたった。
そろそろこの世界にも慣れてきたと思う。
俺は岩塚静哉、16歳。
コンビニ帰りにトラックに轢かれて死亡。この世界に転生してきた。
今はこの世界でなんでも屋をしている。
それから俺を起こしたのが、リリナ。
ロリっ子。まあそんな感じ。
なんでも屋に住み込みで働いている。
「朝食の準備が出来ました。早く来てください」
リリナは俺の身の回りの世話までしてくれている。
別に頼んではないんだけど。
「今行くよ!」
と返事をした。
いつも通り朝食を食べる。
普通に美味しい。
「今日は依頼があるといいですね」
「そうだな。最近は依頼なくて金欠だし」
そう。最近は依頼がなくて困っている。
今日は依頼があるといいけど。
「もっとなんでも屋のことを皆が知ってくれればいいのにな」
「そのためにギルドに張り紙をしているのでしょう?」
「そうだけどさ」
なんとかしてなんでも屋のことを知ってもらいたいんだけど。
このままじゃ金がなくなる。
「なんとかなりますよ」
「そんなに簡単に言うなよ」
「安心してください。私がついてます」
どこからそんな自信が湧いてくるのやら。
「「ごちそうさま」」
朝食を食べ終わった俺達は、店の扉にかかっている札をひっくり返した。開店。
今日も客は来なかった。
「あ~今日も暇だった。」
「そうですね。退屈でした。」
ここ数日全く客が来てない。
というより、まだ客は一人しか来たことがない。
銭湯に行く金なんてない俺達は夕食を食べた後すぐに寝た。
(明日は依頼ありますように…)