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宝者

作者: 楽椎名

 大切な人へ

 元気にしていますか? お腹の具合は如何でしょうか?

 アナタが旅立ってから、もうすぐ一年が経とうとしています。

 最近、兄が結婚しました。 それから二週間後には愛を育んだそうで、僕が叔父になるのも時間の問題です。

 姉は相変わらず仕事の愚痴が絶えません。

 母はいつも通り、平静とした様子で仕事を続けております。

 僕がアナタに最後に打ち明けた夢の話の事は余り進んでおりません。

 ですが少しずつ筆を走らせております。

 アナタと居る筈だった時間は仕事に打ち込んだり、友達と過ごしたりしています。

 でも何故でしょうね? 僕は独りじゃない筈のに心に穴が開いている感覚を覚えてしまうのは。

 きっと、それほどアナタの存在が僕の中で大きかったのでしょう。

 今でもそれがひしひしと伝わってきます。

 何年掛かるか解りませんが、必ずアナタの下へ向かいたいと思います。

 その時には沢山の出来事を話したいと思います。

 それでは、また。

 追伸、僕もアナタを、家族を愛しています。

                      アナタの宝者より


 ―――


 僕は思いを馳せて書いたその手紙を握りしめ、近くの砂浜まで駆け出した。

 そしてポケットから一本のライターを取り出し、その手紙に火を付けた。

 手紙は燃え、灰は生暖かい優しい風と共に空へと舞って行った。

 待ってくれている人に思いが伝わる様に、僕はただ、空へと舞った手紙を眺めた。

 また会いましょう。 僕の、僕たちの大好きな、大切な人。


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