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Second WorldⅡ  作者: ELMOA
第1章
8/28

Silent Forest(7)

「ちょっ! 早く倒して! 魔法には詠唱時間あるんだって!」


「そんなすぐアーツ使えたらあたしも苦労しませんっ……よっと」


高須の前に二体のゴブリンが迫る。

右には棍棒を持ったゴブリン。

左には大きな鉈を持ったゴブリン。


二体とも武器を振りかざし、今にも高須に振り下ろそうとしている。


順調にゴブリン狩りを進めていた高須とナナだが、慣れてきた故の慢心だったのか、足元に転がる岩に躓き高須は尻餅をついてしまった。


そしてこの状況。


「早く!!」


「わかったわよ!!」


ゴブリンたちが武器を振り下ろしたとほぼ同時、ナナが叫ぶ。


「クロスエンドっ!」


突如、シュンッとゴブリンの後ろにナナが姿を現す。


そして。


鉈を持ったゴブリン目掛けて左手のダガーを投げ、手から離れる瞬間に逆手に持った右手のダガーを頭上から叩き落とすように振るう。

キンッ! と金きり音と共に、投げられたダガーは棍棒を持ったゴブリンの首へ飛ぶ。

そのダガーが首に突き刺さるまでに、振り下ろした右手の勢いを殺さず、流れるように右足を一歩踏み出しながら鉈を持ったゴブリンの首へダガーを。


二本のダガーの軌道は、上から見ると『×』を描く。


クロスエンド。


二体のゴブリンに二本のダガーが突き刺さるのは同時。


グゴオオオ! と断末魔を上げながら、二体のゴブリンは粒子となって消えて行った。


「はあ……ありがとう」


「しっかりしてよね。躓いて死に戻りとか、完全に笑い者よ」


クロスエンドの終わりは敵に背を向ける形になる。

だからナナは首だけ高須に振り向き、ふふっと笑う。


「ぐうの音も出ないっす」


高須は自嘲気味に笑うと、立ち上がる。


「あ、レベル上がった。これでやっと10レベルね」


ナナはウィンドウを開き、自身のレベルとスキルのレベルを確認した。


「どうだ? 目ぼしいものは覚えたか?」


「んー、新しいのは覚えてないかな。ただステルスのレベルが上がって効果時間が延びたのと、スリのレベルが上がって気付かれにくくなったみたい。って言っても現時点のレベルでゴブリンくらいなら全く気付かれないで成功してるけどね」


それと、とナナは一息置く。


「盗賊の心得と死の印のレベルも上がってる。けど特に変化はないみたいね」


高須はナナに四つのスキルを取得させた。


一つは『ステルス』。

使用することで自身の姿を一時的に消すことができる。

消えてられる時間はステルスのレベルによって変化。

現時点では約20秒程で、何かに触れられるとステルスが解る。


一つは『スリ』。

人や敵から所持物を盗み取ることができる。

成功率、察知される確率、盗める物のレア度などはスリのレベルで変化。

現時点ではゴブリン程度の敵であれば、問題なく盗めるようだ。


一つは『盗賊の心得』。

盗賊行動に補正がかかる。

盗みやステルスなどもこの盗賊行動に入る。

また、移動速度が上がったり攻撃がアクロバットなものに変化したりと、多くの補正や変化がみられるようだ。

そして盗賊の心得で一番の強みは、『致命の一撃』という初期から装備可能の武器アーツだ。

敵に認識されていない状態で攻撃を当てると、その攻撃が1.5倍になるのだ。


一つは『死の印』。

武器に付与された状態異常効果に補正が入る。

敵に状態異常が入る確率と、状態異常の効果が上がる。

現時点ではどちらも1.2倍程度だ。


これらのスキルを装備した状態で、ゴブリンと戦った。


まず高須の索敵範囲内に敵が現れたら火球を放ち先制。

その間に何度も火球をぶつけて、近づいて来た頃にはゴブリンの残りHPは僅かに。

そこでナナはステルスで姿を消し、素早くゴブリンの背後に回ってまずスリで物を盗み、気付かれなければそのまま致命の一撃を与えて倒し切る。

気付かれたら普通に切りつけて倒し切る。


これでナナの全てのスキルレベルを上げつつ、ナナ自身のレベルも上げつつ、戦闘にも慣れてもらう。


実に効率的だ。


何の為にこのスキル構成にしてひたすらレベルを上げたのかは、まだナナに明かしてはいない。


けど、ある程度は察してそうだ。


「そろそろ行こうと思うんだけど、どうだ?」


ニヤニヤとウィンドウを眺めるナナへ問いかける。


「あ、うん。結構戦いにも慣れてきたし、これなら何がきても最初よりは対応できそう」


「よし、じゃあ行くぞ。……着いたぞ」


「え?」


高須は森の少し先を指さす。


そこには木の立て看板があり、赤のペンキでこう書かれていた。


『この先サイレントフォレスト』

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