08話 五属性の魔法師
ステータス表示で数字が沢山出るため、漢字での数字記載を訂正します。
7/10サラに魔法師が付いていなかったのを訂正
浜辺に出て魔物の前に立つ。
❛聖なる防壁❜を覆うように、ネチャネチャと多数の魔物が貼り付いている。
俺達?が現れたからか、ウネウネと触手を動かしてバリアを叩く音が激しくなった。
「最初はマリーからだ」
既に与えてある[陣地玉][身体強化玉][防壁玉]の付いたネックレスに触れて《強化》を唱えた。
マリーのヒップバッグ…[アイテム・バッグ]には[エリクサー]9本・[HPポーション]9個・[MPポーション]9本が入っている。
「俺は剣や拳での戦いは教えられない…代わりに皆に”魔法”と”装備”を与えた。これで皆は強く成れるハズ」
そう告げて、❛神の眼❜でマリーのステータスを確認した。
【名前】マリー・アイアン
【年齢】11歳
【種族】ドワーフ
【状態】正常
【属性】火・風・水・土・光
【職業】ドワーフの王女・鍛冶師
Lv:20 (17)
HP:1222/1222<≒30%↑> (799/799)
MP:75/75<≒30%↑> (49/49)
【称号】なし
…右の( )内が本来のステータス。
聖装でLvが+3され、更に[身体強化玉]で約30%の強化がされているのが確認できた。
それでもマリーのMPは全員の中で一番低い。
HPの割にMPが低いのは、マリーやシオンが近接戦闘タイプ(?)だからだろう。
魔法師としてLvを上げればMPも増強できるハズ。
※<≒30%↑>は分かりやすいように記載しただけです。実際は表示されていません。
「マリー、君も左手の甲の部分で確認してごらん?強化されているのが分かるね?」
「ん(コクリ)」
「敵のHPは572。マリー、魔法の名前は頭に浮かぶはずだ…先ずは一発、❛ファイアー・ブリット❜を放ってごらん?」
「ん。❛ファイアー・ブリット❜」
右掌を魔物に突き出すような形で魔法を唱えるマリー。
掌からソフトボール大の炎の塊が現れ、ドンッ!という音と共に放たれる炎の弾丸。
『ギュオァーーッ!!』
弾丸はバリアに張り付く一匹のテンタコルに命中し、悲鳴を上げさせた。
衝撃で触手が2本千切れ、一瞬身体がバリアから離れるが、激高したように再び貼り付いて触手を動かす。
HPは572から50減って522に成っている。
…一匹倒すのにマリーの❛ファイアー・ブリット❜約12発って事か。
「マリー、左手を見て?MPは幾つに成ってる?」
「ん…65」
「では、安全の為にMPを15は必ず残してね。[アイテム・バッグ]から[MPポーション]を出して飲むんだ。次は6発放ってから[MPポーション]を飲もう」
「ん…ゴクゴク……❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜…ゴクゴク…ふ~っ」
ドン!…ドン!…と❛ファイアー・ブリット❜が魔物の身体に当たり、魔物のHPは222にまで減った。
何本かの触手が千切れ落ち、所々身体に開いた穴からはブスブスと煙が出ている。
あと五発だ。
「マリー、あと5発で倒せる!がんばれ!」
「おー!❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜――倒し…た…??」
『…グギュァー!…ッ…』
バリアから崩れ落ちる様にドサリと剥がれ落ち、肉片を撒き散らして燃え上がる魔物の死骸。
❛聖なる地図❜からは一つのマーカーが消滅した。
実感が湧かないのか、魔法を放った右手を見て呆然としているマリー。
「やったよマリー!魔法で魔物を倒した…君が倒したんだよ!」
パチパチと拍手をしながら声を掛ける。
「おー!おー!…お兄さん…ありがと…」
嬉しそうな笑顔で俺を見上げるマリー。
「「「す、すごいです(や)!」」」
後ろで見ている他の王女達も驚きの声を上げる。
「よし、その調子で行こう!ここにいる魔物のLvは9~11。マリーがさっき倒したのが一番Lvの高いやつだ。…次はアイツを倒してみて。ちゃんと自分のMPを把握しながらやるんだよ?」
最初に倒した魔物の左隣を指して声を掛ける。
隣の魔物が倒されても動きが止まらず、何事も無かったかのようにバリアを叩き続ける魔物達。
こいつ等には畏れとか、仲間意識とかは無いようだ。
「おー!❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜……」
途中で[MPポーション]を飲みながらもう一匹を倒し、その後ジッと左手の甲を見て固まるマリー。
「…どうしたの?」
「…レベル…上がった…」
❛神の眼❜でマリーのステータスを再確認する。
【名前】マリー・アイアン
【年齢】11歳
【種族】ドワーフ
【状態】正常
【属性】火・風・水・土・光
【職業】ドワーフの王女・鍛冶師・魔法師 ←new
Lv:21 (18)
HP:1283/1283<≒30%↑> (846/846)
MP:417/417<≒30%↑> (117/117)
【称号】五属性の魔法師 ←new
…思った通り、職業に魔法師が追加された。
称号は予想外だったが…すごいな、これ。
マリーやシオンなどの所謂”近接戦闘タイプ”は、HPが上がる代わりにMPの上りが低かったハズ。
だが、今回のLvアップではHPと同様にMPもかなり上がっている。
MPは今までが49だったのに、行き成り68アップの117だ。
そりゃ固まるわな。
子供の成長速度って凄いな…いや、俺の所為なんだけどね。
「強く成れるって本当だったでしょ?マリー」
「ん…これは…凄い!」
「「「ちょっとマリー、ステータスを教えてよ!」」」
「ん…これ」
左手を皆に見せるマリー。
「「「はぁ??」」」
「うぞ…マリーのMPが117って…アタイが54しか無いのに…」
「素晴らしいです旦那様。マリーが魔法師に成っています!」
「それに称号が”五属性の魔法師”だなんて…マサト様、これは私達にも付くのでしょうか?」
「…多分…」
いや、分からんてば。
「あ~~~ん!にーさん!次はアタイ!アタイを強くしておくれよ!」
俺の右腕に抱き着き、順番を強請るシオン。
「はいはい」
シオンの頭を撫でて返事をする。
大人っぽい態度を取っていたが、やはりまだまだ子供だね。
「じゃ、マリーはそっちでLv上げをしておいてね?但し、必ずMPを確認しながら行う事!…サラ!…サラはマリーを見ていてあげて」
「おー!」「はい。畏まりました」
[MPポーション]を数十本浜辺に置き、足りなく成ったら使うように説明した。
「では次にシオンのLv上げを行うよ?シオン、左手の甲を良くみてMPを把握しておく事!いいね?」
「はい!」
【名前】シオン・サクラ
【年齢】11歳
【種族】獣人
【属性】火・風・水・土・光
【状態】正常
【職業】ブック・ベア国王女・戦士
Lv:21 (18)
HP:1365/1365<≒30%↑> (900/900)
MP:81/81<≒30%↑> (54/54)
【称号】なし
装備で底上げされてはいるが、マリー同様にMPは低い。
1回に7発…はキツイな。6発だ。残りMP21あれば大丈夫だろう。
「シオン、その魔物に❛ファイアー・ブリット❜を6発放ったら[MPポーション]を飲んで…そしたらまた6発だ」
「はい!❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜…ゴクン…。❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜!…ハァハァ…」
『グギュワーーッ!!』
身体も触手も爆散し、断末魔の声を上げて倒れるテンタコル。
そんなに焦って魔法を使わなくてもよかったのに。
「やった!倒した…アタイ、初めて魔物を倒したよ!しかも一人で!」
そう言ってニコニコしながら俺の腰に抱き着いて喜ぶシオン。
「うんうん、エライエライ」
早くマリーに追いつきたい訳ね。子供心が微笑ましく思え、ついシオンの頭を撫でてしまう。
「じゃ、[MPポーション]を飲んで、もう一匹倒そう。きっとLvが上がるよ?」
マリーが二匹倒してLvが上がったんだし。
「うん!」
「よーし、ゴクン…。❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜……」
二匹目の魔物を倒して左手の甲を見つめるシオン。
次いで、満面の笑みを浮かべて「やったー!にーさん!」と俺に抱き着き左手を見せた。
【名前】シオン・サクラ
【年齢】11歳
【種族】獣人
【属性】火・風・水・土・光
【状態】正常
【職業】ブック・ベア国王女・戦士・魔法師 ←new
Lv:22 (19)
HP:1430/1430<≒30%↑> (950/950)
MP:423/423<≒30%↑> (122/122)
【称号】五属性の魔法師 ←new
…うん。称号も付いたね…予想通り、こちらも行き成りMPが増えた。
しかし戦士+魔法師で”魔法戦士”に成らないのは予想外だったな。
そういう職業自体が無いのか。
「「そこまで!」」
シオンと暫し戯れていると、残りの二人から制止の声が掛かった。
「マサト様!次は私です!」
「旦那様!次は私の番です!」
「「む~~~~っ!!」」
火花を散らす二人の視線。
「え~と、二人は魔力多いから、適当に倒しても…「え~~~っ!!」…あ、はい」
「じゃ、二人一緒に見るよ?」
「「それで結構です…」」
「アリスもセシリアも左手の甲を見てMPを把握しておいてね?」
「「はい!」」
【名前】アリスティア・ミドルランド
【年齢】10歳
【種族】人間
【状態】正常
【属性】火・風・水・土・光
【職業】ミドルランド国王女・巫女
Lv:24 (21)
HP:1496/1496<≒30%↑> (1007/1007)
MP:2997/2997<≒30%↑> (2018/2018)
【称号】神託の巫女
【名前】セシリア・シルフィー
【年齢】11歳
【種族】エルフ
【状態】正常
【属性】火・風・水・土・光
【職業】エルフ国王女・魔法師
Lv:23 (20)
HP:1379/1379<≒30%↑> (923/923)
MP:2130/2130<≒30%↑> (1426/1426)
【称号】なし
…巫女と魔法師の違いが分からん…後、賢者も。
セシリアは元々魔法師だから、称号が付くだけかな?
「テンタコルのHPは530~572だ。二人のMPなら余裕で倒せるよ」
「「はい!」」
二人とも❛ファイアー・ブリット❜が200発は撃てるんだからな。
杖を使えば威力も上がるし、注意するのはMP切れだけだ。
「はい。では、呉呉もMPの残量に注意してね?…始め!」
「「はい!は~っ!!❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜…」」
うんわ~、”汚物は消毒だ~”だ…。
二人で嬉々として魔物を倒す様は、その言葉を連想させる。
ヒャッハー!
・
・
・
俺は皆の後ろで❛神の眼❜を使い、MPの残量に気を配っていた。
Lvが5上がった処で満足したのか、全員が魔法を止めて俺の元に集まって来る。
「もういいの?」
「マサト様…何だか気分が悪く成ってきました…」
「旦那様、私もです」
「にーさん、アタイは疲れたよ」
「ん…私も…」
まあ、慣れないうちは疲れるし気分も悪く成るよね…でも、人型の魔物はもっと”クル”よ?…ミンチ、ミンチ。
【名前】アリスティア・ミドルランド
【年齢】10歳
【種族】人間
【状態】正常
【属性】火・風・水・土・光
【職業】ミドルランド国王女・巫女・魔法師 ←new
Lv:29 (26)
HP:1808/1808<≒30%↑> (1247/1247)
MP:3621/3621<≒30%↑> (2498/2498)
【称号】神託の巫女・五属性の魔法師 ←new
【名前】セシリア・シルフィー
【年齢】11歳
【種族】エルフ
【状態】正常
【属性】火・風・水・土・光
【職業】エルフ国王女・魔法師
Lv:28 (25)
HP:1678/1678<≒30%↑> (1153/1153)
MP:2130/2130<≒30%↑> (1781/1781)
【称号】五属性の魔法師 ←new
【名前】シオン・サクラ
【年齢】11歳
【種族】獣人
【属性】火・風・水・土・光
【状態】正常
【職業】ブック・ベア国王女・戦士・魔法師
Lv:26 (23)
HP:1690/1690<≒30%↑> (1150/1150)
MP:777/777<≒30%↑> (394/394)
【称号】五属性の魔法師
【名前】マリー・アイアン
【年齢】11歳
【種族】ドワーフ
【状態】正常
【属性】火・風・水・土・光
【職業】ドワーフの王女・鍛冶師・魔法師
Lv:25 (22)
HP:1527/1527<≒30%↑> (1034/1034)
MP:770/770<≒30%↑> (389/389)
【称号】五属性の魔法師
単純にLvから計算すると、アリスはLvが1つ上がるとHPが48・MPが96上がり、セシリアはLvが1つ上がるとHPが46・MPが71上がる。
対してシオンは今までLvが1つ上がるとHPが50・MPは3しか上がらなかったものが、魔法師に成ってからはHPの上りは同様でもMPが68上がるように成り、マリーもHPが47・MPが3未満だったものが、MPが68上がるように成った。
――チートだ。
更には、思った通り全員与えていない回復魔法の❛ライト・ヒール❜・❛アクア・ヒール❜・❛ウインド・ヒール❜を覚えたという。
――チートだ。
俺は”改造人間”を生み出してしまった……まあ、良いか。皆喜んでるし。
人間を相手にする時は注意するように後で話しておこう。
普通の人間とケンカしたら、秒殺してしまう強さだろう。
「そっか…残りの魔物は俺が倒すから、皆は座って休んでいていいよ」
「「「「は~い」」」」
さてと、では残りを倒しましょうかねと思った処で「ご主人様、私に御任せ下さい」と、サラが前に出た。
「サラ、俺の広範囲上級魔法❛聖なる業火❜なら、一発で終わるよ??」
眉を顰めながら申し出をするサラを不思議に思って尋ねる。
「…私だけ…付いていません…称号が…」
成程。サラにはバックアップを頼んであったから、まだ戦っていないのね。
そして”五属性の魔法師”が称号に付いて無いと。
だけどLv40あるサラが、残り32匹の魔物を倒してLvが上がるかね?
「そっか。くれぐれもMPの残量には注意してね?」
「御意!…でやぁ~!❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜、❛ファイアー・ブリット❜……」
・
・
・
残りのテンタコルを掃討して、サラはLvが1つ上がった。
❛神の眼❜で確認すると、キチンと称号に”五属性の魔法師”が付いている。
【名前】サラスティア
【年齢】12歳
【種族】人間
【状態】正常
【属性】火・風・水・土・光
【職業】影の従者・元王女・魔法師
Lv:44 (41)
HP:2689/2689<≒30%↑> (1928/1928)
MP:562/562<≒30%↑> (223/223)
【称号】使徒の従者・使徒の寵愛を受けし者・五属性の魔法師 ←new
だが…あ!おいサラ!他の称号を皆に見せんな!
スタスタと歩き、皆の前で得意げに左手を前に突き出すサラ。
「えっ!」「まあ!」「なんで!」「…!!」
あちゃ~っ。
称号に”使徒の従者”が付いてる事は皆に言ってあるが、[鑑定玉]で実際に目にしているのは賢者シモンだけだ。
”使徒の寵愛を受けし者”が付いてるなんて、王女達には言って無い。
「マサト様?…サラをお抱きになったのですか?」
「ブーーーッ!!」
なってないなってない!
思わず吹き出してしまったやんか。
あんた~なんて事を言いだすんや~。
「そうじゃないよアリス。な、サラ?」
「…ポッ」
ポッじゃ無ぇよ!
誤解を与えんなよ!サラ!
「ではどういう事なのですか?旦那様」
「サラねーちゃんだけズルイよ~」
「……」
「後で説明するから取り敢えず荷馬車に入ろう!…マリー、無言で服を脱ごうとしない!」
❛聖なる防壁❜の周りでプスプスと燻る魔物の残骸を尻目にして、全員で荷馬車の中に入って行く。
面倒な一夜に成りそうだ……。
・
・
・




