10話 サラの秘密③ 生理用ナプキンとトランクスとアイテム・ポーチ
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「あ~これ本当にいいわぁ~…この際グスタフ様を諦めて、使徒様に鞍替えしようかしら…。使徒様なら何でも造って下さるし…ついでに御子も…。エヘヘ…」
転移で戻った荷馬車の2階では、甲冑を脱いだイザベラさんがダラケた態度で[クーラー玉]から出る冷風を浴びていた。
「サラ!サラ!」
2階にサラの姿は見当たらない。
どうやら盗賊の襲撃などを受けた訳では無いらしい。
するとサラは魔物を狩りに外に出たのか?
「…キャッ!…此れはお恥ずかしい処を…使徒様」
俺の出現に気付いたイザベラさんが、居住まいを正して頬を染める。
「イザベラさん!サラは!サラは大丈夫なのですか!」
「はっ?…サラさんならば、先程トイレに向かいましたが…何か御座いましたか?」
「…トイレ???…イザベラさん。サラから”血が止まらない”と[電話玉]を使った連絡があったのです。本当にトイレですか?外で魔物と戦っているんじゃないですか?」
「え~と、少しお待ちください。トイレを見て参ります」
そう告げてイザベラさんが1階に降りる。
俺は❛聖なる地図❜を全開に広げ、サラの位置を確かめる。
Lvの上昇と共に❛聖なる地図❜のLvも上がり、一度識別した者はマーカーに名前が表示されるようになった。
確かにサラは1階にいるようだ。
サラのマーカーの隣にイザベラさんのマーカーも存在する。
「イザベラさん!サラは大丈夫なのですか!」
寝る時と排泄をする時は、一番無防備な時。
トイレで何者かに刺されたという可能性もある。
[電話玉]でイザベラさんに話しかけ、返答を待った。
「…使徒様。命に別状はありませんのでご安心を…ただ、少々お待ち下さい。此れは乙女の一大事」
そう言ってイザベラさんは何処かに駆けて行った。
「何だって!❛聖なる転移❜!」
俺は直ぐに1階のトイレに転移。
便座に座るサラは下半身から血を流し、虚ろな顔をしている。
圧迫して出血を押さえようとしたらしく、両手は血で赤く染まっていた。
「サラ!❛聖なる完全回復❜!」
そのままサラに抱き着き回復魔法を唱える。
便器の中にはまだ血が滴っていた。
どういう事だ!
「ご、ご主人様…申し訳ありません…」
我に返ったサラが声を上げる。
「サラ!大丈夫か?何があったんだ?❛聖なる完❜…「ゴホン、使徒様!乙女の秘密を見てはいけません!」…ぐぇぇっ!」
もう一度サラに❛聖なる完全回復❜を唱えようとしたら、イザベラさんに襟首を持たれて止められたでゴザル。
「もう~使徒様。サラさんは”初経”を迎えただけでございます。…殿方はお退き下さい。…さぁ、サラさん。私が処置をしますからね。心配いりませんよ…」
イザベラさんが優しくサラに声を掛け、ボロ布で両手を拭き始めたのを見て、俺はスゴスゴと2階に戻った。
…初経って…只の生理だったのか…。
いや、無事で良かったんだが…。
ほっと胸を撫で下ろし、二人が戻って来るのを待った。
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「御迷惑をお掛けしました、ご主人様」
その内に二人が2階に戻って来た。
サラは顔を赤くし、空恥ずかしそうな表情で話しかけて来る。
「いや、無事で何よりだよサラ」
「…寝て起きた時から腹がシクシクと痛んだのですが、厠に行っても下痢をする訳でも無く。[クーラー玉]から出る風を受けて、腹が冷えたのかと思っていたのですが…。その…ゴニョゴニョから血が出て止まらなくなり、焦ってご主人様に連絡してしまったのです」
「サラさんは、周りに大人の女性が居なかったらしく、初経の事も良く知らなかったらしいのです。ご無礼は許して差し上げて下さい。使徒様」
「いや、こちらこそイザベラさんにご迷惑をかけました。申し訳ありませんでしたね。サラも気にしなくていいんだ。男の俺には分からない事だからさ、気付いてあげられなくてゴメンね」
「いえ。私の奴隷の紋章の件で激怒され、王国に転移して下さったご主人様を途中で帰すような真似をしてしまい、大変な御迷惑を御掛け致しました。…処でご主人様。その件は如何な様に?」
「ああ、それはね…」
俺はシモンさんに聞いた事を全て説明した。
サラは突然パチン!と胸の前で両掌を合わせ、「では、結婚で御願い致します!」と言い出した。
「…却下」
「何故に!!」
意外だと、驚いたような目付きでにじり寄るサラ。
近い!近いって!
「…結婚は15歳に成らないと出来ないでしょ!…それよりも養女「却下!却下に御座います!」…何でさ!」
「使徒様はグスタフ様と同じ事を言われるのですね。彼女が可哀相です…ぽろりぽろり…」
いや、イザベラさん泣き真似はいいですから。
「じゃあ、やっぱり俺のLvを上げて❛聖なる契約❜のLvを上げよう!うん!これしかない!」
「「え~~~~っ!ブーブー!!」」
ブーブーじゃ無ぇ!
「サラの為にも異論は認めません!…処でイザベラさん。この世界では生理の時、どのような物を使っているのですか?」
「…ふ~っ。使徒様…乙女の秘密を暴くのでご座いますか…」
はい、デリカシーが無い男で済みませんね。かーちゃんゴメンよ!
でも、この世界にタンポンやナプキンがあるとは思えないのよ。
「…気になるじゃないですか…」
「は~~ぁ。分かりました。お教え致します。大概はボロ布を使用して、その都度捨てています。後は手拭いを当て、洗って使う方法です」
成程ね~まあ、そんな方法しかないか。
❛聖なる箱❜を調べるが、生理用品は存在しない。
…俺が男なんだから当たり前っちゃぁ当たり前だが…だったら避妊具が入って無いのは何でなんだぜ!産めよ増やせよってか!
ただ、[脱脂綿(10kg)]というのを見つけた。他に[綿花(10kg)]というのもある…違いが分からん。
これでかーちゃんのナプキンを弄った時の事を思い出しながら…❛聖なる錬金❜。
中央部分をやや硬く、外側を硬めに造る。
嫌な予感はしない。
光が治まり出現したのは…[硬い脱脂綿]だった…。まあ、そう上手くは行かないか。
ナプキンって外側がビニールみたいなので覆ってあったよな。
次は❛聖なる箱❜から[プラスチック塊(10kg)]も取り出す。
プラスチックはビニールのように薄く軟らかく造る。
この二つを用意して”ナプキンに成れ!!”、と願いながら❛聖なる錬金❜を唱える。
光が治まると、長さ20cm・幅10cm・厚さ5mm大の、角の取れた長方形の[生理用ナプキン]が出現した。
よっしゃ~~~!!
「サラ、これを使ってみて」
「………」
「サラ!?」
「ああ、ご主人様。…子供は何人欲しいですか?」
…お前、妄想していて聞いてなかっただろ?
「使徒様、此れは何ですか?」
イザベラさんが興味深そうに尋ねて来る。
「ああ、これは”ナプキン”といって、生理用品です。布を使うと下着が汚れませんか?」
「はい。小忠実に取り換えないと下着が汚れますね…。ですが…使徒様。まず私が使ってみても宜しいですか?丁度生理中ですし…」
いや、その情報は不要です。
「ええ、どうぞ。布と同じように、ただ股間に当てるだけです。使い終わったら焼却して下さい」
だって両面テープが造れないんだもの、仕様が無い。
「有難うご座います」
そういってイザベラさんがナプキンを受け取り、1階のトイレに向かった。
その間に、俺は次のナプキン造りをする。
「ボロ布とは違い、薄くて使い心地は問題ないようです。ただ、パンツでは無いサラさんの”下帯”だと陰部への圧迫が難しいかもしれません」
暫くして戻って来たイザベラさんに言われハッとする。
そういえばサラの装備の下は”ふんどし”だったな。
下帯とパンツの履き心地の違いは分からないけれど、この際パンツも造るかね。
❛聖なる箱❜から[木綿の布(10kg)]と[ゴム塊(10kg)]を取り出す。
頭に浮かべるのは俺の履いているボクサーブリーフ。
❛聖なる錬金❜を唱えると、サラ用のパンツが出現した。
もちろんウエスト部分はゴムを使ってある。
しかし思っていたのとは少し違う…化学繊維じゃないから仕方がないが、[トランクス]に成ってしまった。
まあ、ふんどしよりマシじゃね?
「サラ。この[トランクス]と[生理用ナプキン]をあげるから、トイレに行って付けておいで。イザベラさん、サラにも使い方を教えてあげてくれませんか?」
「畏まりました。サラさん、一緒にトイレに行きましょう。ささ、どうぞ…」
「…はい。ではご主人様、行って参ります」
「ああ。お姉さんに良く教えてもらいなさい」
「それと使徒様。私にも[生理用ナプキン]?と、この[トランクス]?を戴けませんか?」
「分かりました。造っておきますよ」
「有難うご座います。では」
イザベラさんに連れられ、サラが1階のトイレに向かった。
さてと、じゃあ、先ずはイザベラさんとサラの[トランクス]を造るか…。
しかしあれだね、地球で読んでたラノベじゃぁ”物作りチート”モノってもっと凄いもん造ってたよな…。
俺ときたら、”拘束道具”だの”生理用品”だの”トランクス”だの…。
まあ、チートっちゃぁチートだけどさ…。
魔法のLv上げも兼ねて、一つ❛聖なる錬金❜で造っては、❛神の眼❜で確認する作業を続ける。
[トランクス]はイザベラさんに10枚、サラに10枚用意した。
そしてこの時”あっ!”っと閃いたのが、[アイテム・ポーチ]だ。
皆に配った[アイテム・ポーチ]は、横30cm・高さ15cm・幅10cmの大きさで、入れられる物は9種類×9個までの数量のみ。
パンツや生理用品をどこに仕舞うかを考えた時、[アイテム・ポーチ]の中は荷物が一杯に成っているハズで持ちきれない。
…ニヤリ
ここでチートですよ、はい。
まず、最初のと同じ形の[アイテム・ポーチ]を造る。これはあとでアリスにあげる分だ。
そして❛聖なる契約❜で[アイテム・バッグ]に改名する。
うん。これで俺が造った全ての[アイテム・ポーチ]が[アイテム・バッグ]に改名された。
次に、少し小さい横25cm・高さ10cm・幅8cmの[アイテム・ポーチ]を9個造る。
ベルト部分は造っていない。
入れられる物は、やはり9種類×9個までの数量だった。
この、今造った[アイテム・ポーチ]9個を[アイテム・バッグ]に入れてみる。
はい。一種類の枠に9個入れられました~~~!!
凄い!凄い!ドンドンパフパフ~~!!
これって、名前や大きさ、形を変えれば、81種類のモノが入れられるって事じゃね?
まあ、大きさが限られるから微妙だが。
その[アイテム・ポーチ]の中に違う[アイテム・ポーチ]を入れて、またその中に[アイテム・ポーチ]入れると~9×9×9×9………うがぁ~~~~!!
計算出来ないから止めよう。
それに、沢山あっても混乱するしね。
更に[木綿の布(10kg)]を使い、❛聖なる錬金❜で縦15cm・横15cmの[布袋]を造った。
これに[生理用ナプキン]を10個入れて、[アイテム・ポーチ]に仕舞ってみる。
大丈夫。一つのモノとして認識されたようだ。
これで[アイテム・ポーチ]一枠に[布袋]を9個入れれば、[生理用ナプキン]を90個持ち運べる。
多い日も安心だ。
取り敢えずサラとイザベラさん用に[アイテム・ポーチ]を18個造っていたら、二人がやっと帰って来た。
「どうかな?サラ?」
「…はい。有難う御座いますご主人様。初めて使うので[生理用ナプキン]も[トランクス]も違和感が有りますが…」
「ちゃんとトイレの度に取り換えるんだよ?…それと、生理は恥ずかしい事じゃ無い。大っぴらに言う事でも無いが、分からない事があったらお姉さん達に相談するといい。ね、イザベラさん」
「はい、使徒様。サラちゃん、生理の事も子造りの事も、全部教えてあげますよ?」
「有難う御座います!イザベラさん!」
…子造りは要らんて。
だいたいイザベラさんって、し、しょ、処女じゃ無いの!?
「…ゴホン。じゃあ、俺はLv上げも兼ねて[生理用ナプキン]を造るから、イザベラさんは持ち場に戻って下さい。色々出来上がったら差し上げますから今は皆に内密にお願いします。…サラは少し横に成るんだよ?いいね?」
99人分の[生理用ナプキン]造りは、堪忍してつかあさい…。
「「はい」」
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サラと二人で少し遅い昼食を食べ、その後は[生理用ナプキン]を造り続ける。
[プラスチック塊(10kg)]500gと[脱脂綿(10kg)]から、20個の[生理用ナプキン]が造れた。
一つ❛聖なる錬金❜で造っては、❛神の眼❜で確認を行う。
序に横になったサラと自分に❛神の眼❜を唱える。
200個の[生理用ナプキン]を造り終えた処でLvが1つ上がり、思った通り新たな魔法を二つ覚え、❛聖なる錬金❜と❛神の眼❜のLvも上がった。
最後の方は、一つの[生理用ナプキン]を2~3秒で造る事が出来た。
そして、やはりチートだった。
俺は自分で受けた魔法を自分のモノに出来るらしい。
新しい魔法の1つは、❛聖なる催眠❜。
シモンさんから受けた❛催眠❜のお蔭だ。
もう1つは❛聖なる軟化❜。
プラスチック塊をビニールのように薄く軟らかく造ったからだと思う。
二つとも”固有魔法”じゃ無いから、詳細は分からない。使い方は追々覚えて行こう。
だが、サラに❛聖なる催眠❜を掛ける気は無い。
だって催眠術なんて怖いし。
そして本日のメインは、❛神の眼❜のLvアップ。
頑張って[生理用ナプキン]を造り続けた甲斐がある。
自分向けて❛神の眼❜を唱える。
【名前】山田聖人
【年齢】50歳
【種族】人間
【状態】正常 ←new
【職業】無職
Lv:42
HP:10888/10888
MP:10888/10888
【称号】神の使徒
…身体の状態が分かるようになった。
そして、サラを❛神の眼❜で確認した処、驚愕の事実が判明した。
【名前】サラ(サラスティア・イーストランド)
【年齢】12歳
【種族】人間
【状態】隷属・正常(生理中)
【職業】影の従者・元王女・闇の奴隷
Lv:35
HP:1648/1648
MP:134/134
【称号】使徒の従者
…サラは『ブルー・フォレスト国』の元王女だった。
とすると、”影の者”の長も関係者か?
闇の住人は、何故サラを長に渡した?
長は、何故『王都トゥーキング』に来たのだ?
考えられるのは、長も”闇の住人”。
そして”闇の住人”は、元ブルー・フォレスト国の関係者。
しかし何故サラの出自を隠した?
命の危機があったのか?
だったら何故、王都トゥーキングに来たのだ?
そのままサラを生かさせる訳には行かなかったのか?
王都トゥーキングの転覆を図るのなら、死ぬまで働いた長の行動は可笑しい。
楽観的に考えるなら、日の目を見させたいと願い、長がサラを連れて闇の住人を抜けた。
まあ、そんな簡単な理由な訳が無い。
そして職業に”闇の奴隷”とあるのが気に掛かる。
悲観的に考えると、闇の住人が元ブルー・フォレスト国の関係者と仮定して、サラがエルフ・獣人・ドワーフ連合の重鎮に遭遇した時に何かが起こる。
…ダメだ…。俺の灰色の脳細胞じゃ分からんわ。
畜生…誰か名探偵コ○ン君でも呼んで来てくれよ。
サラは獣人のコータとも遊んでいたし、オカフク集落の長、ゼンジさんと会っても何の変化も無かったじゃん。
まあ、俺は自分の出来る事をやるだけだ。
今は未だ誰にも事実を話す訳には行かない。
先ずは魔法のLvを上げよう。
次に上げるのは、❛聖なる契約❜だ。
”闇の奴隷”を解除すれば何とか成るような気がするし!
何かあったらその時は――――――サラ、俺がお前を養女に…「ブーブー」ぅおおお!
なんだ寝言かよ…ビックリさせんな。
口を尖らせて寝ているサラを横目に、ゴロリと仰向けに成って暮れていく夕日を眺めていた。
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