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そんなこんなで異世界生活~50歳からの異世界転移~  作者: 聖プリ
第二章 神聖ラーナ王国~旅立ちまで
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03話 アマテラス教と世界樹教

魔王を倒してから10日経った。

既に体調は万全だ。


身体が動かない間は、グスタフさんが俺の面倒は見てくれていた。

「他に仕事もあるでしょうに、すみませんね。グスタフさん」

「使徒様、御気になさらず。使徒様が魔王軍を殲滅された御蔭で、第三騎士団も壊滅した街や村の復興の手伝いに出て居ります故。私も今は他の任務が無いので御座います」

「そうですか…しかし、グスタフさん。その”使徒様”と呼ぶのは勘弁してもらえませんかね?」

「ですが貴方様が”使徒様”と判明した以上、他の呼び名などもっての外で御座います」

「…判明という事は知られちゃったんですか…」

こういう事が嫌だから、内緒にしておいたのに。


「はい。使徒様を此処に御運び致した時、意識が御座いませんでした。数人の神官が回復魔法を御掛けしましたが意識は戻らず。失礼とは思いましたが、HPを調べるために、鑑定の宝珠を使用したので御座います。Lvが25。HPが6553。MPが6553。そして、称号が”神の使徒”となっている事が判明致しました。この国は神聖・・ラーナ王国。”神の使徒”様をないがしろにするなどまかり成りません。今は大神官の元に神官達が集まり、使徒様の今後について検討しているそうです」


神の使徒だなんて、アマテラス様が勝手につけただけだし…。

もう大した神の御業が使える訳でもないんだけどね。❛聖なる裁き❜ホーリー・ジャッジメントは使えないし…。

だいたいアマテラス様の御告げを聞けるアリスちゃんの方を、崇めればいいと思うのだが。


それに、俺の今後を俺抜きで検討するなって~の。

まあ、放っておこう…それがいい。

触らぬ(宗教)に祟りなしだ。



今、アリスちゃんとサラちゃんはこの城に居ない。

俺が無事な事が確認できたため、二人は[転移の水晶玉]を使って、王都トゥーキングへ行き来しているのだ。

サラちゃんに[映像の水晶玉]の停止方法を教えていなかった御蔭?で、俺たちの戦闘は[受信の水晶板]により、ミドルランドのお歴々も魔王軍の消滅を確認できた。映像だけでは分からない事を二人が説明して、現在それを書面に残しているのだという。


…Lv・HP・MPは、やはり1/10に減った。

ステータス・ダウンの弊害で、俺の魔法は威力が低下していた。

❛聖なる転移❜ホーリー・トランスポートは、以前は距離など関係なく転移出来たのだが、❛聖なる地図❜(ホーリー・マップ)で確認すると、数1,000km程までしか転移出来ない事がわかった。❛聖なる錬金❜(ホーリー・アルケミー)で、[転移の水晶玉]を造ってみたが、これも1回に数1,000kmしか転移出来ない。込められる魔力量の関係なのだろう。しかも、1回の使用で壊れ、再使用出来ない。水晶ではなく、魔石でも造る事ができたが、[転移の水晶玉]を造るのは封印する。だいたいこんなものが流通すれば、ガイアースの交通手段に悪影響を及ぼす。それにより職を失う者が出るかも知れないし、そんな事になったら、途中の街や店々にも影響がでるハズだ。


❛聖なる箱❜(ホーリー・ボックス)には何も問題がなかった。


元々こちらの魔法では、❛転移❜の魔法は存在せず、❛錬金❜魔法も、例えば薬草を粉末にする位のモノなんだとの事。

❛付与❜魔法も、魔物を倒して得られる”魔石”に属性魔法を付与して、水道やトイレや風呂に使用しているくらい。

身体が動くようになって、初めて水洗トイレを使った時は感動した。


それに比べれば、弱体化したといえ、❛聖なる転移❜ホーリー・トランスポートで転移できたり、薬草と❛聖なる水❜(ホーリー・ウオーター)で出た水に、❛聖なる錬金❜(ホーリー・アルケミー)を唱えれば、簡単にポーション類を造れるのだから、俺の魔法はチートであることに変わりはない。


深夜に❛聖なる転移❜ホーリー・トランスポートで表に出て、エミの村の海岸で各種魔法や身体の具合を確かめた。

なるべく目立たぬよう、魔法の威力は最小限だ。


神聖ラーナ王国で王との対面を求められていた事もあり、王に会うまで俺はのんびりと養生していた。

神アマテラス様から受けた、二つの依頼は終了した。


今後はどうしようか…。

そして20日経過したとき、王と対面が出来る事になった。

王都トゥーキングより、バルドさん率いる30名の近衛騎士団に護衛され、キャサリン・ミドルランド女王も訪れた。


長らく寝泊まりしていた部屋を出る時が来た。

俺の左にはアリスちゃん。右にサラちゃんが立ち。グスタフさんに案内されて玉座の間を目指す。


途中の廊下では神官達が膝を折り、”ああ、使徒様…”、”使徒様、我らを御導き下さい”などとうやうやしく挨拶する。

別に崇められたい訳では無い。

いい加減辟易として、俺は神様じゃないと伝えるが、彼らは態度を改めなかった。



玉座の間に到着し、王と王妃の前に立つ。

❛神の眼❜(ホーリー・アイ)

右の玉座にいる男がダニエル・ウェストランド国王。

黒髪のオールバック。前髪を少し垂らしている。口髭を生やした優男。

何というか、スキップ・ビー○の社長、○ーリィ・宝田に似ている。


【名前】ダニエル・ウェストランド

【種族】人間

【職業】ウェストランド国王・騎士

 Lv:42

 HP:1978/1978

 MP:126/126

【称号】王国の統治者


左の玉座にはシェーラ・ウェストランド王妃。

【名前】シェーラ・ウェストランド王妃

【種族】人間

【職業】ウェストランド国王妃・魔法師

 Lv:38

 HP:1479/1479

 MP:2585/2585

【称号】なし


美女だ…。色白の肌。新緑色の瞳。緑色の長い髪をアップで纏める。

少し垂れた目尻が、穏やかそうな印象を与える。

胸は普通の大きさだが、シルクの様な光沢のドレスが柔らかさを引き立たせる。…さ、触りたい…。

周囲にはキャサリン・ミドルランド女王はじめ、バルドさんやアリスちゃんが佇む。

玉座の前に立つのは俺一人だ。


「ヤマダ殿、いや神の使徒様の方が良いか?お会いするのに復興の対策で時間が掛かってしまった。申し訳なかった。余が神聖ラーナ王国国王、ダニエル・ウェストランドである。隣にいるのが余の妃、シェーラ・ウェストランドだ」

「シェーラ・ウェストランドで御座います。どうぞよしなに」

玉座に座したまま、ウェストランド国王と王妃が俺に話しかける。


「私は平民ですので、ヤマダと呼び捨てで構いません。言葉使いに対しては、どうかご容赦を」

不敬罪で打ち首獄門じゃ適わない。

「よい。ではヤマダ殿と。祖父母や両親とは普通に話していたため、余は我より上の立場の者と話した事が無い。こちらこそご容赦願う」

「構いませんよ」

「うむ。此度の魔王軍討伐、大儀であった。ウェストランドの民に代わり、礼を申す。誠にかたじけない」

そういって黙礼する。

「アマテラス様の頼みでもありましたから。…お役にたてて何よりです」

「…事の経緯はミドルランド女王(義妹)より聞き及んでおる。ヤマダ殿の御力が弱まり、もう向こうの世界ニホンに還れぬ事もな…。して、今後は如何いたす御心算か?」

「はい。折角ですので、色々な場所を見てみたいと考えています」

「そうか。ヤマダ殿さえ良ければ、娘の婿にでもと思っておったのだがな…クリス!」

「父上、此処に」

そう言って前に出てきたのは、髪は黒いが王妃様が子供になったような感じの可愛い少女。


なんで、この世界は美男美女が多いんだ?

言い伝えでは日本人もいたハズだろうに。

俺のように平たい顔の人間は少ないのか?


暦が和風なのに、名前は西洋風だし…どこか、ちぐはぐに感じる。


「お初に御目見え致します。クリス・ウェストランドに御座います。神の使徒様、どうぞよしなに」

ドレスの端をつまみ上げ、深々と優雅にお辞儀をした。

【名前】クリス・ウェストランド

【種族】人間

【職業】ウェストランド国王女・魔法師

 Lv:23

 HP:907/907

 MP:1654/1654

【称号】なし


もう、そういうのお腹いっぱいです。…ほら、アリスちゃんも膨れ面しない!

「初めまして、クリス様。恐れ多いです。それに私はもう50歳ですので、貴女のお相手には相応しくありませんよ?」

アリスちゃんもだけどな!


「まあ、御戯れを…。貴族ではそれほど珍しい年の差では御座いません。私ももう十二歳。あと三年すれば成人で御座います」

そこ!アリスちゃん、ウンウン頷かない!

35歳~40歳くらいなら、大歓迎なんだけどな。

ちょうどいい年代の女性って居ないのかね?…ちょ、キャサリン・ミドルランド女王!俺見てウインクしないで!


「いや、ね、まぁそのぅ~ね?」

「使徒様。あの日、窓から見えたあの眩い光の柱。使徒様の御業と知り、貴方様に御逢いしたくて、矢も盾もたまらず居りました。あのような清浄なる光の魔法を使う御方は、どのような御姿なのかを…。思い描いた通りの優しそうな御顔。使徒様と夫婦になれるのであれば、私はこの上ない幸せ者に御座います。それとも、私ではご不満でしょうか?…後程、お時間を戴けませんでしょうか?私の事を良く知って戴きたく思います」

グイグイくる。

随分、積極的な子だな~

それとも国王に何か言われているのか?


「陛下、私めも話しを致してもよろしいですか?」

そう、話の腰を折ってくれたのが、西洋風の白い神官服を着た老人だ。


「なんだ、大神官。…ヤマダ殿、この男は、我が国の神官を束ねる大神官、ジョセフ・ドゴールと申すもの。宜しいか?」

白髪の老人。眉も髭も白い。サンタのような感じの男だ。サタンじゃ無い。

「ええ」

王女の話しが途絶え、こっちは大助かりだ。


「で、何でしょうか?ジョセフさん」

「はっ!神の使徒様。使徒様には是非、我が国の聖宮せいきゅうで、終生お過ごし戴きたく」

マギで?いや、マジで?

【名前】ジョセフ・ドゴール

【種族】人間

【職業】大神官

 Lv:38

 HP:1486/1486

 MP:2684/2684

【称号】アマテラス教信者



「あの、その聖宮とは何ですか?」

なんでも一つだけ、願い事を叶える力がある部屋な訳じゃ無いよね?


「は。聖宮とは神聖ラーナ王国の神聖たる所以。『旧都トキョーの街』に建つ宮殿に御座います。トキョー城を改築したそれは、全アマテラス教の総本山。有史以来、数名”神託の巫女”は居りましたが、神の御告げを聞くものは居りませんでした。この度、アリスティア・ミドルランド王女様が”神託の巫女”に成られ、アマテラス様の御告げを聞いたと伺いましたが、”神の使徒様”が居られるのならば、信託の巫女の存在は必要ありません。是非とも我らの為、全人類の為、きょを構えて戴きたいのです。神の使徒様は、私たちの心の拠り所なので御座います…」


「…一生ですか?私は何をすれば良いのですか?」

「何もする必要は御座いません。ただ居て下されば良いのです」


あのさ、それ”飼い殺し”ってヤツじゃね?

なんかもうさ、皆、”神の使徒”とか”神託の巫女”とか、名前に拘り過ぎじゃ無いかな?

まあ、俺は日本人で、余り神様仏様に拘らないからよく分からないけどね。

欧米の人は、こんな感じなのだろうか?


「お金も必要ありません。食べ物にも困りません。修道女達(処女)を御手付きにされても構いません。是非に!」

何そのハーレム状態。

う、羨ましくなんか無いんだからね(震え声)


「そんな事はどうでもいいのですが、ちょっと教えて下さい」

「はぁ、何なりと」

「今までも”神託の巫女”の出現は少なかった。居ても御告げを聞く者が無かった。神の使徒など、最初から居なかった…それでも、アマテラス様は、皆の心の拠り所だったんじゃ無いのですか??」

「…それはそうで御座いますが…。最近、異教徒が増えているのです…」

「新興宗教ですか?」

「いえ、違います。使徒様は、この世界の生誕話しを御存知で御座いますか?」

「アマテラス様がこの世界を創造し、人が誕生しないので異世界から~ってヤツですか?」

「はい。最初の人間は二人。男の名は山田太郎やまだたろう。女の名を山田花子やまだはなこです」


何度聞いても違和感ががががが

「二人に最初に育てられた我らが祖先、十二人の日本人の男女。男がテへペロ・ツンデレ・シナモン・バトルロマイ・ピーポー・マストの6名。女がヤブコ・コヤブコ・ハネヨ・アタイ・タダ・マッテーナの6名でした」


え~と、何処かで聞いた事が有るような、無いような…それ、本当に名前なのか?適当につけただけじゃね?

だいたい、山田太郎と花子が付けた名前なの?日本人が日本人の子供に付ける名前じゃ無ぇーな。


ああ!!だから、日本と西洋をごちゃ混ぜにしたような、ちぐはぐさを感じるのか。


「凡そ二千年前、ヤマダ・タロウとハナコが亡くなり、亡骸は世界樹の根元に埋葬されました。その後、人間はイヤマート大陸に、獣人とドワーフはサウスランド大陸に移り、エルフはそのままノースシーロード大陸に残りました。人口が増えすぎてしまった所為もありますが…その頃から、創造神アマテラス様を崇める我ら人間”アマテラス教”と、ヤマダタロウ・ハナコ崇める、エルフ・獣人・ドワーフの”世界樹教せかいじゅきょう”との対立が始まったと言われています」


う~ん。産みの親派と育ての親派って事か。

何なんだろうな~宗教って。

地球でもそれで争いが起こっているし、一概に下らないとは言えない。


「先の戦争で、イーストランド地方『ブルー・フォレスト国』をエルフが、『キアタの街』を獣人が、『ワイテの街』をドワーフが治め、他の『マガタの村』『ヤギーの村』では人間と混血・・が行われています。この地方ではアマテラス教よりも世界樹教の方がになりました」

「…強制的…洗脳などでですか?」

「いえ、そうではありません。国を治めるものが替り、自然に崇める事が変わったのでしょう。民は元々、特に農家などは、日が昇り、田畑を耕し、時折、雨が降り、作物が育ち、収穫し…それが出来ればよいのです。ただ、何かあった時、例えば日照りや凶作の時に、崇める拠り所が必要なのです」

「はぁ。私が居ても居なくても、変わらないんじゃないですかね?」

「そんな事はありません!実際に貴方様は魔王軍を退治されたのですから。あの聖なる光は、他の大陸からも確認されており、使徒様の事は世界中に鳴り響いております。いや、私達がその名を広めました」

それ(魔王軍殲滅)これ(宗教)とは関係ないんじゃ無いですか?」

「貴方様の…”神の使徒様”の御名前で、アマテラス教を主とする者が増える筈です」

「2千年替わらなかったのにですか?」


「…アマテラス教への改宗が、必要な者達が居るのです…約一千。それも緊急にで御座います」

俺の目を注視し、声を落として、剣呑とした雰囲気を漂わせ始めた。

「訳をお聞かせ下さい…」

ゴクリと喉を鳴らしてから、彼に話の続きを促した。






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