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2-26 なんか楽しくなりそうな予感がする!

いつもお読み頂きありがとうございます


直しての再投稿です。

今後は気をつけます( ;∀;)

 巧妙な話術により彼氏がいないと知られたギーゼラ。

 俺の真意も知らずに質問攻め(誘導尋問)が終わったことに安堵の様相を見せている。


 もっとも、知られたところでギーゼラには何の問題もない。――なので、これはただの自己満足である。


 彼女としては主人の夫となる俺の話を途中で切るなど出来ない。

 だから本題であるアウルからの言付けを告げられることに、ホッとした姿を見せるのは仕方のないことだと思う。


「それで今後の予定ですが、本日は夕餐をご家族でご一緒されるとのことで夕刻には屋敷の方へお連れするように仰せつかっております。それまでは王都をご案内致しますので行きたい場所がありましたらご遠慮なくお申し付けください」


「はあ、ついにこの時がきてしまった…」


 思わず言葉に出てしまった。

 

 出来るだけ引き伸ばした人生初の嫁の親へのご挨拶。

 しかし、済ませない事にはクリスと結婚ができないのだからもう覚悟を決めるしかない。


「――意外でした。ヨウスケ様は公爵様へご挨拶に行かれるので緊張なさっていたのですね」


 ため息混じりの発言を聞いてギーゼラが俺の心情を察する。


「意外でもなんでもないよ。お義父さんから悪い心象は受けてないとアウルから聞いてても人生最大の難関には違いないからね」


「はあ、悪い心象ですか…。公爵様を始めとしてご家族の皆様はクリス様のご結婚に大変なお喜びの姿を見せています。しかもお相手があの世界最強の男の後継者ともなれば…。あ、いや、実は私はヨウスケ様がゴンジュウロウ様の後継者と既に伺っているもので。もちろん、他の使用人にはヨウスケ様の素性は知らされていませんが、気さくに私ども使用人にも接して下さるクリス様のご結婚には誰もが喜び、屋敷内は既にお祭り騒ぎとなっているものですから。まさか、当のヨウスケ様が緊張されていたなど夢にも思わず…」


 口調を少し和らげたギーゼラはそんな感想を述べた。


 図書館へ行く際には別の通訳を手配するとのことで、今日は夕刻まで軽く王都を案内するようにと指示されているらしい。ほかにも行きたい場所があれば明日以降順番に連れて行ってくれるそうだ。


「外で朝食にしようかと思ってたけど、じゃあここでサンドイッチでも食べよう。そのあとは、別の部屋を取るからギーゼラさんは昼ぐらいまで寝てて。その間、俺たちは散歩でもしてるから」


「え? あの、私は…」


「ブー、聞こえません。ギーゼラさんは徹夜でしょ? こんな美人が寝不足で肌荒れでも起こしたらこの世界の損失だから。それ以前に寝てないギーゼラさんを連れ回したらクリスに俺が怒られるよ」


 何に驚いたのか分からないが、ちっちゃいお口を開けて俺の顔を見つめていたが、突如クスクスと笑い出した。


「あ、申し訳ございません。――そうですね。ヨウスケ様がクリス様に怒られては大変なのでお言葉に甘えさせて頂きますね」



 フロントでもう一部屋頼んで、ギーゼラを見送ったあと俺たちは街へと繰り出した。

 街行く人はそれなりに身なりの良い人ばかりだが、まだ朝早い時間なので人通りは少ない。この辺は高級宿があるぐらいなので二の段にも近く、職人や冒険者などは見かけない。なので、恐らく商業区の方へ行けばこの時間でももう少し人は多いと思われる。


 緑も所々に見られ、宿の他にオープンカフェや宝石、高級な服などを扱う店が多く、ここは上流階級が足繁く通う場所らしい。


 そういった場所では予想に反して開いている店は一軒もなかったので、宿で朝食を済ませて正解だったようだ。


「街を見ながらお茶でも飲もうかと思ってたけどお店やってないねー。買いたい物はいっぱいあるから商業区も行きたいけど、ギーゼラさんと一緒に行った方が良さそうだし。とりあえずどこ行く?」


 どちらにというわけでもなく問いかける。


「そうですねー…お店などはギーゼラさんが良いところを知ってるかもしれないですから。あ、じゃあ、冒険者ギルドを見に行ってみませんか? 王都にあるのがこの国の本部らしいですよ。ギルドなら24時間開いてるから中も見れますよ」


 本部は各国にもそれぞれ置かれているらしいが、自国の威信がかかっているのだから建物だけでも一見の価値があるだろう。


「おー、いいね! エドは王都の冒険者ギルドへ行ったことある?」


「ああ。昔はよく世話になってたが最近は行ってない…というか、行く必要がなくなったから行ってないな」


「どゆこと??」


 エドが王都へ来ていたのは護衛の依頼が理由で、基本的に護衛依頼は片道と往復の二種類がある。

 ただ、片道の護衛を受けてしまうと帰りの路銀は自腹となってしまう。


 根無し草のように依頼の目的地から、さらに適当な依頼を受けて次の目的地へ行くような冒険者なら兎も角、拠点がある者はそうはいかない。


 そのため昔は数名の仲間とパーティーを組んでいたエドも片道依頼を受けてしまうと戻るためにモノケロス行きの依頼を探す必要があった。


 しかし、王都のような都会へ向かうなら依頼も多いが、目的地がモノケロスではそうはいかない。

 依頼が出るまで別の短期で終わる依頼を受けながら宿代を稼ぐしかない。


 王都のギルドへ行く必要がなくなった理由というのは、最近では顧客が付いて指名で往復依頼を受けていたからだ。


 商人側としてもエドに頼むメリットはある。

 護衛依頼をギルドへ出したとしても希望する人数が集まるまで出発ができない。それに加えて臨時の混成チームなってしまうので纏まりもない。


 俺が余計な事をしてエドが自分のチームを抜ける前はメンバーが女の子を含め10名程になっており、ほかの依頼が入っていない限りすぐに出発できる上に見知らぬ者同士の混成チームではないから信頼も出来る。


 もちろん往復の依頼であるから王都で戻りの依頼待ちをする必要もない。


「そんな訳で最近は行ってなかったが、まあ、王都の依頼は偏りがあるから新米かCランク以上のベテラン連中ばかりだぞ」


「ん? DやEランクがいないってこと?」


「いないって言うのは言い過ぎだが、王都の依頼は雑用みたいな仕事と商隊の護衛が多いんだ。あとは、高レベル魔獣の素材や希少な植物の採取といった高ランク用だ。魔獣や獣の討伐系や薬草の採取などの依頼は旦那が興味津々だった迷宮都市に出されてるから、ここで雑用依頼をこなしてランクを上げたら迷宮都市へ行き、迷宮に入るか森での依頼を受ける」


 Cランクになれる頃には年齢が30を越えている者が多く、家庭を持つ者も少なくない。

 それに40歳に差し掛かっている者だと肉体的にどうしてもキツくなってくる。


 そのため王都に戻ってくる冒険者が出てくる。Cランクともなれば割の良い仕事も増えるからだ。

 森での狩りなど、獲物に出会えなければ実入りはゼロだし、迷宮で稼ぐなら安くない入場料を払っているのだから何日も潜ることがある。


 護衛の依頼であれば散発的な争いは起こるだろうが、常に命の危険にさらされて戦闘を繰り返すことはない。それにしっかり依頼をこなしていけば指名の依頼の受けられるようになるだろうし、運が良ければ貴族などから雇用される可能性もある。


「そういう感じだから王都のギルドは依頼にも冒険者にも偏りがあるんだ。だから、ベアトリス姐が一緒に行っても、旦那に絡むような連中はいないだろう。…たぶん」


 以前、自ら率先して俺に絡んだことを思い出して苦笑している。


「まあ、今回はクリスがいないから罰金を払うようなことにはならないよ」


 俺はいつも謙虚なのだが、なぜかすぐ絡まれるトラブル体質ということを忘れてはいない。

 ここは絡まれるのが前提として、あとは出来るだけ穏便に済ますことを考えておこう。



 MAPで位置を確認しながら歩く。

 冒険者ギルドは宿から1時間ほどの距離だったが、街を見ながら歩いていたので2時間近くかかった。


「うわー…すごいな!」


 語彙が乏しく表現力に欠けている俺にはこんな感想しか出てこない。


 敷地はかなり広く建物は7階建て。歴史を感じるその建物は恐らく当時の技術の粋を集めて建てられたと思われる。


 エドの説明によるとこの建物は復興当時に建築されたらしく、今なお顕在しているのは魔法による強化素材などが使われているからなのだそうだ。


 復興時に急務だったはずの食料、資材、そしてエネルギー源としての魔珠の確保。それを(おこな)うのにはたくさんの冒険者を集める必要がある。


 そのため建物には華美にならない程度の意匠も施されていて、多くの若者の憧れの対象となっている。そのほかにも最上階は王都が一望出来る展望フロアになっており、そこに出入り出来るのはAランク以上の冒険者のみ。そしてSランクの冒険者には6階の作られた個室が与えられる。


 王城を除けば冒険者ギルドの建物以外は最高でも5階建て。事実上王都で最高の高さに部屋を持てる夢を持って若者は集まる。

 この話には裏もあって、国家級戦力となるSランク冒険者を他国に取られないための縛りにもなっている。以前聞いたエルの話ではSランク冒険者など、どの国も数人程度しかおらず、そのレベルは100前後らしい。


 70~80ぐらいのレベル帯のAランク冒険者も滅多にいない。

 それぐらいになると既に誰かに召抱えられているか国に仕えていることが多く、Sランクなどはおいそれと目指せるものでもない。


 そうなると、普段からギルドに居そうな冒険者はBランク以下になるが、Bランクともなれば指名の依頼や専属も多いだろうからこんな朝早くに居るとも思えない。


 ということは、今この中に居るのはレベル40以下のCランク及び駆け出しのFランクのみ。


 ――つまり何があっても実力で排せる!


 そうと分かれば話は別だ。

 なにか楽しいテンプレが起きないかと逆に期待してしまう。


 今までの教訓を全く活かすことのできない俺は、所詮小さい男なのだ!!


次話は明日投稿します。


今後とも宜しくお願いします。

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