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2-14 可愛いもかっこいいも正義だ!

本日二話目の投稿になります。

 魔力剣など元となる剣さえ用意すれば自分で作れるからと簡単に思ってしまっていたが、言ってみれば有名な芸術家が何千万の価値を付けられたモノを自分で作れるからと、PONっとくれるようなものだ。


 そりゃあ、ドン引きもするよね。


「あ、エド。えーっと、値段とか価値じゃなくて、それは俺たちに必要なモノだと思って欲しいんだ。エドに怪我なんてして欲しくないけど、危険はあるんだから。俺たちは、ウスターシュさんを抜かせば所詮は経験の浅い初心者冒険者だしね」


 アウルだって商人になるための最低限の知識と経験を得るために冒険者をしていただけだろうし、エルは数ヶ月先まで日中は殆ど一緒にいられないわけだから、そういった意味でもエドを当てにしたいのだ。


「まずは、安全第一で行こう。強くなれば危険なとこに行くかもしれないけど、その時には俺のスキルも上がってるだろうから、もっと良い装備を渡せると思う。前衛の崩壊はパーティーの危機だし、護衛の役柄から考えても良いものを装備していたほうがハクがつく」


 エドはベアトリスに勧められて恐る恐る装備に手をかけて感触を確かめている。


「それと、仲間として扱うと言っておきながら一つ命令させてもらうね」


 契約上逆らう権利を与えているので、敢えて命令としたところで強制力はない。


 余談ではあるが、姉妹とフローラの奴隷契約は【避妊の加護】以外(フローラにはないからね!)はすでに何の制約も掛かっていない。ただ俺が所有者であるというだけになっている。


 エドは俺のこんな発言に驚いた様相を見せたが、それでも聞かなければならないことだと即座に理解して真摯な態度で俺に向き直った。


「装備は所詮は物だから、エド自身やみんなを守るためなら傷つこうが壊れようが構わない。そして自分の命を救うために装備を捨てる必要がある事態に陥ったら躊躇する必要はない。即座に捨てて。いいね? エドが死んで装備が残ったなんてことになったら、俺は絶対にエドを許さないからな」


 死んでしまったら、許すも許さないもないのかもしれない。

 でも、これは気持ちの問題だ。仲間として受け入れたのだから、最後まで一緒に冒険の旅を楽しみたい。 ――みんな一緒にだ。


 エドだって言われなくても俺の気持ちぐらい分かっているだろう。

 しかし、それでも高価な物だからという気持ちが抜けないで、取り返しのつかないことになるぐらいなら言っておくべきだと思った。


「分かりました、旦那。いざというときは、装備投げつけてでもみんなと一緒に逃げると誓います。もちろん装備は命を守る物だから粗末に扱うこともしません。これで、いいですか、旦那?」


 目の端に光るモノを湛えながら問いかけるエドに俺は笑顔で応えた。


 そして、珍しくまともな事を言ったおかげで、ご褒美がもらえた。


「ご主人様! ホント優しくて素敵! 大好きです」


 言うが早いか、若さ溢れる二つの素晴らしいモノを押し当てて、ベアトリスが抱きついてきたのだ。

 さらには先ほどクリスと練習していた上位スキルではないが、今までの通常スキルを発動させてくれたのだ!

 

 そして気が付いた。

 通常スキルは上位スキルに劣るものではなかった!


 美少女との【唇接触(ちゅー)】と美熟女の【大人の唇接触(べろちゅー)

 まさに甲乙つけがたし。いや、そこには優劣などなく、どちらも最高のモノだった。




 このあと、中断していた装備の説明を始めた。

 すでに朝食の後片付けは終わり、全員がテントに集まっている。


「剣はさっき言ったとおりでダマスカス鋼の魔力剣。盾は鋼だけど魔力と結界を付与してある。それで、鎧と籠手と鎧靴は、これも貰い物だけど、軽量化の魔法と魔力が付与されてたから結界だけをさらに張った」


 何着もドレスを炸裂させているので、付与出来る魔力には上限があることは分かっている。金属なども試してみたがそれは変わらないようだ。


 自分で魔力を付与した盾以外は素材の段階から魔力を練りこんで付与しているようで、強度が格段に違う。鉱石からインゴットを作る過程で魔力を付与しておけば耐久値が上がり、それを鍛えた剣などはそこからまた耐久値が上がってさらに魔力を付与出来るということなのだろう。


 エドに渡した鎧は全身鎧ではなく腕の部分がない上半身用である。自分たちは楽な格好をしているのに、エドにはいつも全身鎧を着させるなど、ただの拷問でしかない。冒険者なのだからこのぐらいで最高装備と言えるだろう。


「はぁ。凄すぎてなんと言ったら良いのか分からないんですが…」


「どのくらいの防御力があるか分かってもらう為に説明してるだけだから。まあ、口で説明するより見たほうが早いだろうからあとで森に行ったら見せるよ。――それで、頭なんだけど、鎧兜じゃちょっとごつすぎるかと思って、スタミナ上昇の魔法が付与されているサークレットにしたんだけど防御力はないから気を付けてね」


 このサークレットもクリスの父親からの頂き物である。

 一時的な属性魔法の付与なら今でも出来るが定着させるまでには至っていない。もっとも、この付与魔法(エンチャントマジック)でも、高度な魔法なんだろうけど、クリスも既に出来るのであまり自慢する気にはならない。

 属性魔法ならいずれは定着させることが出来るようになるとは思っている。しかし、このサークレットに付与されているスタミナ上昇効果と同様に、魔力や腕力、知力といったステータスを上昇させる効果が付いているモノも存在するのだ。

 正直、どうやってそれらの効果を付与したのか皆目俺には見当も付いていない。


 ただ、軽量化だけはなんとなく想像がつく。その魔法の取得方法にも思い当たることがあるので、そのうち出来る様になるだろう。


「まあ、兜も用意しとくから必要に応じて使い分けてね。そんな感じかな? 聞きたいこととかある?」


「…いっぱいありますけど、取り敢えず一ついいですかね?」


「もちろん。なに?」


「……なんで全部黒なんですか?」


 エドは全部と言ったが、実際は盾と鎧と籠手と鎧靴とサークレットと鞘だけである。

 武器も黒剣にしたかったのだが、剣には結界を張らないので塗っても削れて剥がれてしまう。

 だから鞘しか塗ってないのだ。

 

「黒い方がかっこいいじゃん。こういうの得意だから綺麗に塗れてるでしょ? 昨日狩りの合間に塗ったんだよ! その上から結界を張ったから剥がれることもないよ!」


「――わざわざ塗ったんですか!?」


「だって、黒い装備がなかったんだもん」


 ストレージにあるお義父様からの頂き物の中にはなかったし、武具店でも置いていなかった。

 だから塗るしかなかったのだ。


 そこまで黒にこだわるのには当然ながら理由がある。


 『黒の剣士』や『黒衣の騎士』などの存在だ。


 男なら誰でも憧れるよね?

 騎士は体型的に無理だが『黒の剣士』はいずれ自分でやってみようと思っている。

 いずれというのは、ダモクレスが片手で扱えるようになったらという意味である。


 じゃないと、二刀流ができないし…


 再度言っておくが、全て実用なのだからコスプレではない!


「ちなみに鎧下はまだないから、今日買ってくるよ」


「いやいやいや、それぐらい自分の使いますよ」


「それじゃダメなんだ。結界を張ってるせいで普通のモノだと破れちゃうんだよ。だから、地厚で良さげなのを買って魔力で強化してから渡すから。あとマントもあるからそれも渡しとくね」


「それも黒なんですよね……俺、そんな装備の似合う騎士様の役なんてこなせるか自信なくなってきたな…」


 引き気味になっていたが、エドは体格もいいし、男前だから大丈夫だと言って押し付けた。多分に自分の願望が混じってるので、無理矢理にでも着せたいぐらいなのだ。


 そして、黒衣の騎士エドアルドが誕生した。

 亡国の王子じゃないけど、仲間と家族を守ってね。




 後片付けが終われば、あとは出ているものをストレージに仕舞うだけなので、すぐに出発をする。

 今日の予定は昨日とほぼ同じで、順番に狩りに行ったり魔法の練習をしたりスキル上げに精を出したり、といった感じだ。


 最初に森へ連れて行ったのは、アルヴァにアウル、フローラ、エド、そしてウスターシュだ。

 アウルとエドは魔法の練習、ウスターシュは先生として。

 フローラもウスターシュに師事して土魔法の練習だ。昨日は暇そうにしてたがフローラがいれば楽しく過ごせるだろう。――当然、例のことも期待している。


 俺とアルヴァは薬草を摘む合間に魔法や剣技の練習を兼ねた魔獣狩りをおこなった。

 つまり、今現在アルヴァとふたりっきりで行動しているわけだが、やはり昨日の件があとを引いてるようだ。――目が合うたびに俯いて頬を赤く染めている。

 

 ちなみに昨日の件とは、意図せずプロポーズをした恥ずかしい逸話のことである。

 それからずっとこんな感じで、ぶっちゃけ可愛すぎて会話すらロクに出来ていないのだ!


 わざとチラチラ見て目を合わせる回数を増やそうとしてしまうのもやむを得ないことであろう。もちろん、狩りの最中は危ないから薬草採取の時だけにしている。


「ねえ、アルヴァ」


「は、はい! ご主人様。ななななんでしょうか」


 この反応だけで、ご飯三杯はいける。


 アルヴァは駆け寄ってくると、俺の見つめながら要件を言うのを待った。

 もちろん、『ちょっと上目遣いで赤くなりながらモジモジする』というオプション付きだ。


 ここで「なんでもない。ただアルヴァの名前を呼びたかっただけ」とか言えたら男として成長できるだろうが、そんなことは無理である。

 仮に出来たとしてそのあとの空気に耐えられるとも思えない。


「今日もいい天気だねー」


 ヘタレと呼んでくれても構わない。

 こんなことしか会話が出来ないほどの緊張が二人を包んでいるのだ。


「はい! お天気が良かったおかげでご主人様と二人で薬草が摘めるので幸せです」


 ぐおおおおお――――――。


 さらにダメージを深めた俺は、数少ない成立しそうな会話である今日の昼食と夕食の献立について話しながら午前中を過ごした。


 お昼はエルを迎えに行って、ストレージに入っている料理で昼食を済ませることにした。

 手抜きをしたわけではなくて、『エルとのしばしのお別れ会(笑)』のときの料理が結構残っているのだ。


 その代わり夕食は手間をかけて豪勢にしようということになっている。


 エルの「今朝あたしたちがしたことを、もうほかの女性と試しただろ?」という文字が張り付いているとしか思えないニヤけた顔を見ないようしながら昼食を済ませて、またギルドへ送ってあげた。


 復習を兼ねてもう一度しっかり【大人の唇接触(べろちゅー)】を指導してもらったあと、エドの服を買うために、握手を交わして別れを告げた同士マニアの洋裁店へと向かった。

 適当な言い訳をして街を出たり入ったりすることになったと伝えると、あっという間の再会ではあったが同士マニアの帰還を心から喜んでくれた。


 武具店じゃないので鎧下は売ってないが、良さげなモノは売っていた。黒い地厚なシャツとズボンというだけだが。


 一枚ずつしかなかったので追加で数着ずつ発注して、ついでにエドの下着と私服になりそうな物を買い揃えた。


 午後はクリスとベアトリス、そしてエドと森へ行く予定だ。

 まずは新装備の耐久テストからである。


 その際クリスには手加減するようにしっかり念を押す必要があるだろう。

 クリスなら突然奥義に目覚めて鎧ごと真っ二つにしてしまう可能性がないとは言い切れないからだ。

 

 当然装備した状態で試すのだから、エドには恐怖の体験ツアーになるだろう。

 だから、今のうちに言っておくよ。

 

 ――――無事を祈る! グッドラック!!


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