1-31 女神で制覇
いつも読んで頂きありがとうございます。
なにを考えていたのか、だらだらと書いていたら
ただのエロ話になってしまいました。
俺は風呂場で正座をしながら過去の女性経験について語り出した。
忌まわしき黒い歴史の一部。
それは雪が降り積もる、ある夜の出来事だった……
そんなエピソードはない。
「俺、女性と交際したことないんだ。だから、嫁なんているわけないよ。大体にして俺の容姿なんて十人並みだろ?」
クリスだって分かってると思っていたが、なぜか不思議そうな表情をしている。
「風俗……娼館で買った女の子としか女性経験はないんだよ」
俺の初めてを捧げた池袋のルミちゃん、ハタチの誕生日の自分ご褒美は大塚のレナちゃん、錦糸町のエリちゃんは……
みんなとても上手くて簡単に昇天させられた。――それも素敵な想い出だな。
「仕事場でも女性との交流は殆どなかったし……。だから、アルヴァとベアトリスにもイロイロしてるけど、下手だと思われたくなかったの!」
「容姿……は、確かにそれなりですが、そこに何か問題があるのですか?」
――――は? なに言ってるの?
普通の女性はイケメンが好きだろう!
「だ、だから、俺にはモテる要素がないから、せめて他のことで好かれようと……」
「私はあなたを愛しています。それにアルヴァとベアトリスもですわ」
「なんで? 俺、モテたことなんて一度もないよ?」
また、思ったことがそのまま口から出てしまった。
クリスは呆れた表情を見せたが、やはり俺には甘いので説明をしてくれた。
「まったく、あなたは! あなたの世界では違うのかもしれませんが、この世界は男性上位が当たり前なのです。あなたみたいに優しくて、気遣いができて、同じ目線で女性を扱う人などいませんわ! 求愛するときなどは別でしょうけど、あなたは本質的に女性を下に見ていません。そんな方に惹かれない女性などいませんわ! あなたが今までモテなかったのは女性の方に見る目がなかっただけですわ」
クリスさん、それは買いかぶり過ぎです。
「もちろん、あなたが大好きなイヤラシイ修練も悦んでしておりますし満足もしていますわ」
きゃー、クリスさん。恥ずかしいからそんなことをハッキリ言うのはやめてー。
「でも、私ほど出来た女性などあちらの世界にはいないでしょうから、お帰りになって新たな奥様を見つけても期待しない方が宜しいと思いますわ」
……そうだね、俺もそう思うよ。
「大事に思ってないわけじゃなくて、ただ、クリスには不安を感じないというか俺のことをいつも理解してくれるから……」
だから、練習だって一緒にしてくれるんじゃないかな、と思ってしまっていた。
クリスは俺が皆まで言わずとも何が言いたいのか察したようだが、それは意外だったという表情になった。
「あなた、もしかして私を信頼してるのですか?」
「え? してるけど?」
色々と不安はあって信用出来ないことは多々あるが、いつも信頼はしている。もちろん姉妹もだ。
「世界中の誰よりも俺の好みの女の子と言われましたけど……、で、では、私のことを、もしかして……あ、愛しているのですか?」
「は? 結婚するって言ったでしょ」
何をいまさら……
思わず口が滑って、世界中の――――なんて言ってしまったが、それは事実だ。
でも、女性経験レベル1の俺には『愛してる』なんて言うのは無理だった。
「私のカラダだけが好きなのかと思っていましたので、てっきり練習台にされてしまう程度の存在なのかと……」
だから、思わず噛んでしまったらしい。
確かに、俺のご乱行から鑑みたらそう思われていても仕方がない。
――が、未来への希望の架け橋に噛み付くヤツなんてお前ぐらいだ。
マジで痛かったんだからな!
「カラダだけで結婚するわけないだろ、お前みたいな問題児と。結婚したいと思ったからクリスと結婚するんだからね」
「で、では、私を愛していると言って下さい」
面と向かってそんな事を言われても、恥ずかしすぎる!
しかし、同様にクリスも顔を赤くしてモジモジしているが、上目遣いで猛烈に何かを期待している。
なんとか誤魔化して切り抜けたいが、非常に危険な賭けだ。
「クリス……あ、あい……アイスクリーム食べてみたい?」
クリスの身体に電流が走る。それは比喩ではなく雷魔法を使っているのだ。
風呂場であんな電流を流されたら、雷魔法耐性Lv1では防ぎきれない。
「それは氷菓子のようなものですか? でしたら是非食べたいですが、その前にもう一度噛みますわよ、あなた」
「愛しています、クリスのことを!」
冗談ではない。感電しながら噛まれるぐらいなら恥ずかしい方がマシである。
一瞬で正気を取り戻した俺は、正しい答えを導き出した。
女神に戻ったクリスは自分が噛んだ痕がしっかりとついてしまったモノを癒すように舐めてくれた。
それは女神の祝福をその身に受けたような幸福感が与えられたが、そのあとの発言に俺は絶望の淵に追いやられた。
「ごめんなさい、あなた。痛かったでしょう? 2度とこのようなことはしません。もう、口に含むなどしませんから、許して下さいね」
じゃーすたーもーめんと!
今、2度としないと言いました?
2度と言わず、何度でもして下さい!
もちろん噛むのはダメだけど、口に含むという神聖な行為は重要かつ必然なんだ!
「ク、クリス。噛まないならまた口に含んでもいいんだよ? も、もちろん、俺はクリスがしたいと思うならいつでもさせてあげるし」
なぜ、素直にして欲しいと言えないのか自分自身を問い詰めたいが、今の俺にはこれが精一杯だ。
「え? もしかして、して欲しいのですか? そのような行為をしているのを見たことはありますけど、あなたが何も言わないので、てっきりお好きではないのかと思っていましたわ」
クリスほどの美人にそれをされるのを嫌がる男がいたらお会いしたい!
いや、クリスは俺のモノだから誰にもさせないけどね。
「なに言ってるんだよ! クリスがしたいことなら俺はどんなことでも好きに決まっているじゃないか」
しかし、あくまでクリスがしたいからという姿勢は崩さない。
「では、私はしたいので、これから修練に織り交ぜていきますね。姉妹にはしたいかどうか一応確認しますが、二人とも新しい事には興味津々のようですから、やると思います……が、その前に!」
アルヴァとベアトリスもしてくれるの!?
その前にって、もしかして……あれですか?
「昨日の約束を果たして下さいね。私の夫なのですから恥ずかしいところを見せないように、まずはしっかり私で練習しなさい」
そう言うと、クリスは「みんなにもう少し待つように伝えてきます」と言って、そのままの姿でキッチンの方へ向かって行った。
意図が分かったうえで練習させてくれると言ったクリスは、先ほどのことなどすっかり忘れてしまったらしく、なにげに嬉しそうに見えた。
「あなた。これで暫くは練習時間が出来ましたわ」
堂々と全てを晒した姿で戻って来たクリスを見て、やはり羞恥心など産毛が生えた程度しか芽生えていないと思った。
「それと、アルヴァとベアトリスも新しい修練に是非参加したいと言ってました。フローラもやりたいと言っていましたが、ちゃんと14歳になるまで待ちなさいと伝えましたので心配ありませんわ」
得意げに、ちゃんと……とか言っているが、使いどころを間違えている。
「さあ、あなた! 始めて下さい!」
純粋な少女の様に目をキラキラと輝かせながら足を広げられても、さすがにギャップ萌えは発生しなかった。
俺は乏しい知識を再構築してどう攻略するかを考えた。
「クリス、いきなり本丸から攻めたりはしないよ。と、言うか恥じらいもなくいきなりそんな格好をしてはいけません。それはお互いが上級者の場合のみに許された姿だからね」
初心者は慌て者が多いらしく、いきなり本丸ばかり攻める輩がいて、攻略に失敗する冒険者が続出している。だからまずは外堀から攻めるのが常套手段である。
――と、昔読んだ、とある女性写真付きの攻略本に書いてあったから間違ってはいないはずだ。
俺はクリスを座らせると、新たなる冒険の旅に出た。
目指すは黄金の森の奥にあると言う伝説の洞窟だ。
もちろん、今回は発見だけが目的であり、洞窟の中に入る予定はない。
それはまだ伝説の洞窟を攻略するには、俺自身のレベルとスキルが足りていないからだ。
そのレベルを上げるために必要な装備は俺の両手と【ふんわり泡立ちまろやか石鹸】である。
俺は謙虚に遠くから旅に出ていた。
首から肩へ移り、今は両腕を制覇したところだ。
しかし行き止まりだった為、両腕から鎖骨辺りへ引き返すと今度は障害物に突き当たった。
それはチョモランマにも匹敵する巨大な連峰だった。
俺は決死の覚悟で攻略を始めた。
その道は険しく道のりは長かったが俺は諦めなかった。
それは、なぜ?
『そこに山があるから』(Because it is there. )
有名な登山家もそんな名言を遺したが、俺の気分はまさにそんな感じであった。
だが、俺には【ふんわり泡立ちまろやか石鹸】というパートナーがいたお陰で、ぐるぐると遠回りをしながらも登頂することが出来た。
頂上にはさらに聖峰がそびえ立っていた。
聖峰を攻略しようと色々していたら、なぜかクリスが素敵な声を出しながら抱きついてきた。俺はニヤケヅラになりながら仕方ないと思い、背面攻略への旅を始めた。
そこは天界のごとく美しい大地が広がっていた。
磨きぬかれたクリスの素肌はまさに高貴な女性だと思わせる。
庶民の俺には本来触れることさえ許されないモノだと知り、その背徳感でさらなる興奮を覚えた。
しかし、世の中そう優しくはない。
次なるチェックポイントである緩やかな丘の感触を堪能して長いモノの攻略に取り掛かった。
長いモノ。――――それは実際長かった。
脚をまさぐる……洗ってあげる為にクリスを立たせてしまったせいで、バッチリ比較ができてしまったのだ。
クリスは俺よりもかなり小さいが、俺と同じぐらい……いや、俺より長かった。
日本人平均程度の俺はツラい現実を見せつけられて涙が出そうになったが、この長い脚も俺のモノだと割り切ることにした。
さて、無事に正面の旅に戻れた俺は山越えした地点を丹念に洗っていると、小さな罠を発見した。
あまり、巧妙には隠されていないその罠は落とし穴だった。
一人前の冒険者になった俺は、敢えてその罠を調べることにした。
穴自体に大した深さはない。
しかしどんなことにも慎重な俺は、その穴を周りから穴の底まで何回も調べていると異変が起こった。
穴の周りが動き出したのだ!
やはり何かあるとは思ったが、ここまで大仕掛けだとは!
まあ、くすぐったくてクリスが身をよじらせただけなのだが……
旅も終盤に差し掛かり黄金の森へ到着した。
そこは、誰も開拓などしていないハズなのに、まるで整地されているかのように整っている。
しかも森と呼べる様な状態ではなく、金色の稲穂がそよいでいるといった感じだ。
そして、密度は低く面積も小さい。いや、無くはないといった程度であった。
おかげで攻略が難しいと思われていた黄金の森をあっけなく制覇出来た。
その際はパートナーを【つやつやしっとりなめらか特製リンスインシャンプー】と交代している。
そして、伝説の洞窟を目前にしてまた小さな障害物を発見した。
――いや、これは障害物ではない。
今まで以上に丹念かつ丁寧に扱わねばならない、至高の物質だ。――俺の本能がそう囁く。
心臓が爆発しそうなほど早くなった。
小心者の俺は、呆れてないか、嫌がっていないか、と心配になり、気づかれない様にチラチラとクリスの顔色を窺った。
しかしそれは杞憂だった。
なぜならクリスの表情は完全にGОサインと取れるものだったからだ。
しかも目を閉じているので、俺の顔が変態色に染まっているのもバレていない。
こうなると、勇気100倍、カラダの一部も元気100倍である。
その続きの詳しい描写は避けるが、ただ伝説の洞窟は、溢れ出た聖なる泉の中に没した、とだけ言っておこう。




