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第93話 アクセサリーショップへ!

店の中は最初に行った雑貨屋よりもずいぶん狭かったが、その分掃除が行き届いているのか清潔感があり、アクセサリーも白い光に当てられて輝いて見えた。


「いらっしゃいませ」


若い女性の店員が笑顔で挨拶をしてきた。物腰も何だか上品で、とても接客に慣れている。たったそれだけのことなのに、高級感といえばいいのか、そんな雰囲気が感じられた。・・・本当にこんな店に入ってしまっていいのだろうか? 何だか場違いのような気も・・・。


「どうしたの? 何か考え込んじゃって」


「あ、いえ、その、何だかちょっと入りづらそうなところだな〜って」


「だよね、アタシも初めてこんなところ来たし・・・」


あはは、と笑いながら理恵はそう言った。・・・? あれ? 理恵さん、ここって入ったことないのか? てっきり入ったことあるとばかり思っていたのに。


「えっと、やっぱりほら、1人じゃこういう所入りにくくってね」


思ったことが顔に出ていたのか、そう答えてくれた。


「でも大丈夫! 今回は刹那も一緒だから!」


「ははは、道連れってやつですか」


「その通りよ! ほら、見るわよ。色々あってかわいい」


言うなり、理恵はは店内に置いてあるアクセサリーをじ〜っと見始めた。その様子は、何だか子供がどのおもちゃを買ってもらおうか悩んでいるように見えて、少しおかしかった。


{それにしても本当に色々あるな}


改めて店内を見回してみると、本当にたくさんのアクセサリーが置いてある。ネックレス、指輪、ピアス。その他にもたくさんのものが置いてある。・・・やはり、専門店は違う。これだけの種類、普通の店ではまずお目にかかれない。


{理恵さん、どんなの見てるんだろ?}


気になって、理恵が夢中になって見ているアクセサリーを覗き込む。


「・・・・・わ! な、何?!」


「ネックレスですか」


理恵が見ていたのは、羽の形をしたアクセサリーがついたネックレスだった。チェーンの真ん中に羽がついていて、両端にホックが付いているといったシンプルなデザインだ。・・・確かに結構可愛いかもしれない。羽がいい具合に曲っていて、柔らかい雰囲気が出ている。


「可愛いですね、このネックレス」


「そうね。でも、アタシにはちょっと似合わないかな。羽って感じじゃないし、アタシ」


「いえ、そうでもないですよ」


「そうかな?」


「ええ、ちょっと付けてみましょうか。すみませーん」


そう声を上げて、刹那は店員を呼んだ。


「はい、どうなされましたか?」」


「えっと、このネックレス、付けてみてもいいですか?」


「ええ、もちろん構いませんよ」


店員がにっこりと笑顔を浮かべたのを確認すると、刹那は理恵の見ていた羽のネックレスを手に取った。


「えっとね、べ、別にいいから! ど、どうせ似合わないし! いいから!」


「そんなことないですってば。ほら、大人しくしててくださいよ」


嫌がる理恵に、刹那はアクセサリーを首に回した。そのままチェーンを後ろでひっかける。

付け終わった後、刹那はちょっと離れて理恵の姿を見た。


「ほら、やっぱり似合ってるじゃないですか」


「・・・そ、そう?」


刹那の言葉を確認するかのように、理恵は鏡の前に立って自分を見ていた。・・・鏡を見ている最中、そわそわと何だか落ち着かない様子が可愛かった。


「ほ、本当に似合ってる? 怒らないからはっきり言って」


自分の目では不十分だったのか、理恵は刹那に確認を求めた。おそらく不安なのだろう。本当は似合ってなどおらず、自分が1人で舞い上がっているだけではないのかと。

そんな理恵に刹那は笑って言った。


「本当のこと言いますよ?」


「う、うん」


「・・・似合ってますよ、本当に」


「そ、そう。よかった・・・」


心の底から安心したのか、理恵はまるで風船から空気が抜けたかのように脱力してしまった。


「そんなに不安がらなくいてもいいじゃないですか」


「そんなこと言われても不安なものは不安だから仕方ないじゃないの」


「ははは。店員さん、それでこれの値段は?」


「1500円なります」


店員が値段を告げると、刹那はポケットから財布を取り出して言われた金額を支払った。


「はい、ちょうどになります。ありがとうございます」


「ちょ、ちょっと刹那! な、何してるのよ!」


「プレゼントです。イヴですしね」


「で、でもそんなの悪いわよ・・・」


「いえいえ、気にしないでください。それに」


「それに?」





「やっぱり似合ってますから。似合ってたから、プレゼントしたいなって、そう思ったんです」





■■■■■





似合ってる。その一言で、私は改めて実感しました。・・・やっぱり、この人のことが好きなんだ。ただの先輩じゃなくて、1人の女として私を見てくれている、と。

嬉しかったです。自分の想っている人にそう言われるのは、これ以上ないくらい嬉しかったです。

―――言おうと、思いました。自分の気持ちを言葉に変えてこの人に伝えたいと、そう思いました。


「刹那」


自然と、言葉が出ていました。


「? なんですか理恵さん」


「えっとね、次、行きたい所あるんだけど・・・いい?」


「いいですよ、行きましょう」


自然と、この人をあの場所へといざなう言葉が出ていました。


遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

今年も「殺し屋」よろしくお願いします!



*総アクセス数50万越えました。これも皆様のおかげです。ありがとうございます!

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