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第88話 待ち合わせ場所へ

朝食を食べ終わったあとのお茶を飲みながら、刹那はちらっと時計を見て時間を確認した。

現在、時刻は9時。今から家を出れば、10時前には待ち合わせの場所に着ける。

湯飲みに残ったお茶を飲み干すと、刹那は椅子から立ち上がった。


「そろそろ出かけてくるよ」


洗濯籠を両手に持って歩いている玲奈にそう声をかけた。


「あ、うん。いってらっしゃい。気をつけてね」


「・・・事故に遭っちゃえ」


「お姉ちゃん!!」


「ごめんなさぁ〜い・・・」


「ははは・・・それじゃ、いってきます」


それだけ言い残し、刹那は玄関へと向かった。

靴を履き、ドアを開けて、目指すは理恵との待ち合わせ場所。

刹那はマフラーを巻くと、少し薄暗く、雪の積もっている道路を歩いていった。









「あ、そういえば」


「どしたの玲奈ちゃん?」


「刹那、誰と行くのかなって」


「・・・・・」


「お姉ちゃん?」


「刹那と行きたかった? 町に」


「それはまぁ・・・行きたかったけど・・・」


「・・・そ。それじゃ、お姉ちゃんと行く?!」


「行かない」


「ひどっ!! ショックで涙が!!」


「さ、洗濯物干さないと!」


「無視?! お姉ちゃん泣きそう!!」








+++++







12月後半というだけあって、道路にはかなり雪が積もっていた。歩道用の除雪機がなかったら、今頃靴の中にまで雪が入ってびしょ濡れになっていたかもしれない。


「冬なんだなぁ・・・」


道路の脇にちらほらと見える不恰好な雪だるまが、刹那にそう実感させていた。子供たちが一生懸命作ったのだろう。不恰好でも、確かな頑張りが伝わってくる。


ぎゅ、ぎゅ、と再び積もり始めた雪を踏み固めながら歩いていると、待ち合わせ場所が見えた。・・・町の中央にある大きめの噴水。目立つし、誰もが知っているこの場所は、待ち合わせ場所としては結構有名だった。


その噴水の前に、理恵はいた。


「理恵さん!」


刹那は小走りで、首に黄色いマフラーを巻いている理恵の元に駆け寄った。


「理恵さん!」


「あ、刹那。どしたの、そんなに慌てて」


理恵が不思議そうにそう尋ねてくる。

刹那は少しだけ不安気味に理恵に聞いた。


「えっと、遅刻・・・・・してませんよね?」


「え? あ、そういうこと。全然してないよ。だってほら、まだ時間の10分前」


そう言って、理恵は自分の腕時計を見せてくる。時間は・・・9時51分。理恵の言うとおり、確かに約束の時間10分前だった。・・・よかった。理恵が自分より早く来ていたから、てっきり約束の時間を間違えてしまったのかと思った。


「よかったです、ちゃんと時間前に来れて」


「別にちょっとくらい遅れても怒らないわよ。それより、今日は来てくれてありがと」


「いえいえ、理恵さんの頼みとあったらよろこんでですよ!」


「ふふふ、ありがとね」


「?」


気のせいかもしれないが、何だかいつもの理恵じゃないような気がする。別人とかそういうわけじゃなくて、何というか、少し落ち着いてるというか、大人っぽい感じがする。いつもの子供っぽさがない。


「? 何よ、人の顔じっと見て」


「い、いえ、別になんでもないです」


「変なの。あんまりボーっとするんじゃないわよ? 今日は2人っきりなんだから、あんまり面倒かけさせないでよね?」


「は、はい! すいません!」


と、思ったら、またいつもの理恵。さっきの感じたのは、気のせいだったのだろうか?


{ま、いっか}


里奈にも余計なことは考えないで、ただ楽しんで来いといわれたことだ。深くは考えないようにしよう。それをずっと考えていて、今日を楽しめなかったら元も子もない。


{今日は楽しまないと・・・・・ん?}





むにぃ・・・





・・・いつの間にか、口を少し尖らせた理恵に頬を引っ張られていた。そんなに強くつままれてないが、引っ張られているため少しだけ痛い。


「ほ〜ら、言ってるそばからボーっとしてる。もっとシャキッとしなさいよ!」


「ひ、ひゃい、わはりまひた」


「まったく・・・もっとしっかりしてよね!」


そう言って、理恵は刹那の頬から指を話した。・・・つままれた頬が少しだけ痛い。

気を取り直して、理恵はにこっと笑って言った。


「さ、それじゃ行きましょうか。色々行きたいところあるしね」


「はい、じゃあ行きましょう」


笑顔の理恵と刹那は、町へと歩き出していった。


寒いですね、今年も・・・

これからも「殺し屋」よろしくお願いします!

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