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第86話 どうして?

こちらは木下家の食卓。もうとっくに夕飯は食べ終わっており、刹那は里奈と2人きりで玲奈の淹れてくれたお茶をすすりながらテレビを見ている。・・・ちなみに今日のメニューは玲奈手作りのミートコロッケだった。柔らかでボリュームのある肉が特においしかった。


「そういえばあんたさ」


玲奈が食器を洗いにキッチンへ向かい、刹那と2人きりになったところを見計らって、里奈が口を開いた。


「何ですか?」


「あんた、イヴの日どうすんの? どこか行くの?」


「? なんでそんなこと訊くんですか?」


「いいから、とっとと答えなさい。行くの? 行かないの?」


里奈に尋ねられて話そうか若干悩んだが、別に話すとまずいことがあるわけでもない。むしろ、話さないとまた里奈にいじめられるかもしれない。・・・ここは大人しく話しておいたほうがいいかもしれない。


「町に遊びに行きますけど・・・・・」


「誰とよ」


「・・・そこまで言わなきゃ―――」


「だめよ、言いなさい」


言わなきゃだめですか? と言おうとする前に先に言われてしまった。

何だか、警察署で自白を迫られている犯罪者の気分だ。居心地の悪い威圧感に、一言一言に込められている圧倒的な雰囲気。・・・これで言わないわけにはいかないだろう。首根っこを掴まれて振り回されかねない。


「・・・理恵さんとですけど。それがどうかしたんですか?」


「理恵ちゃんと? 博人ちゃんと恵利ちゃんは一緒じゃないの?」


「そうだったら里奈さんと玲奈にも誘いがきてますって。今回は2人だけです」


「・・・・・」


「里奈さん?」


刹那がそう言った途端、里奈は珍しく真剣な表情で黙り込んでしまった。・・・いつもやる気のかけらも見せない里奈さんがこんな顔をしてるのも何だかおかしいような気がする。何か問題があるのだろうか?


「どうかしたんですか?」


「・・・別に何でもないわよ。それより、そのこと玲奈ちゃんに話してないでしょうね?」


「まだ話してませんけど・・・」


「そ。ならそのことは玲奈ちゃんに喋らないほうがいいわ。つい口が滑ってそのこと喋っちゃったらまたけんかになるから。覚えときなさい」


「ど、どうしてですか?」


「それは言えないわ。自分で考えなさい・・・って言っても、あんたじゃそこまで頭回らないだろうからね。とりあえずあたしの言うこと聞いときなさい」


「・・・・・」


「へ・ん・じ・は?」


「は、はい!」


「よろしい」


それだけ言うと、里奈はいつものようにテーブルに突っ伏し始めた。


・・・イヴの日、理恵と2人きりになるということを、どうして玲奈に話してはいけないのだろうか。別にいたずらをするわけでもないのに、だ。


ズズズーっとお茶をすすりながら考えてみるが、これといって玲奈に黙っていなければならない理由が浮かんでこない。


逆に、玲奈に出かけることを言わなければならない理由なら挙がってくる。心配させてしまう、とか、夕飯はいらないこと、とか色々。


{・・・ん〜}


腕を組んでしばらく考えてみても、一向に結果は出ない。どうしてそれを伝えただけで玲奈が怒るのか、皆目検討もつかない。


だからといって、そのことを伝えたせいで玲奈が怒ってしまっては元も子もない。またあの気まずい空気を味わうのは2度とごめんだ。


{里奈さんの言うこと・・・聞いておくか}


ここは大人しく里奈の言うことを聞いておいたほうがいいように思えた。ここで忠告を無視して怒らせてしまっては元も子もない。玲奈のことを一番よくわかっているのは里奈なのだ。その里奈が言うことに、間違いなどあるはずもない。


キッチンで食器を慣れた手つきで洗っている玲奈を見てみる。何が楽しいのか、鼻歌交じりにじゃぶじゃぶ洗っていた。・・・そんな玲奈を見ていると、イヴの日に理恵と2人きりで出かけることが、何か悪いことのような気がしてならなかった。


最初に・・・すみませんでした!

実は・・・1話分飛ばして投稿してしまいました! すみません!

そういうことでして、第83話 ・・・怒ってる? の内容に1話分追加しておきましたので、読み直していただけるとありがたいです。

このたびは、私の不始末で皆様に多大なご迷惑をおかけしてしまったことを、心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。



これからも「殺し屋」よろしくお願いします!

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