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第73話 理恵のクラスは?

「えらい目に遭った・・・・・」


ひりひりと痛む、つるつるのすねを撫でながら刹那はぼそっと呟いた。

あの後は・・・・・もう思い出したくもない。ガムテープを貼られては勢いよく引っぺがし、毛のあるところにもう1度貼られて引っぺがされる。つるつるの毛無になるまで、それが永延と続く。・・・・・まさに地獄にふさわしい痛みだった。もう2度とやられたくないベスト3に入るくらいの痛さだ。


ちなみにその原因である博人は、恵利と帰宅中である。これだけ痛い思いをしたのだから、文句でも言ってやろうと思った矢先・・・・・逃げられてしまった。というか、いつの間にかいなくなってしまっていた。『恵利と帰ってるぞ〜』という言葉を残して。


「まぬけじゃん・・・・・」


はぁ、と今一度ため息をつく。・・・・・明日は何か文句言ってやろう。さすがにすねにガムテープは洒落にならない。文句のついでに、博人のすねにもガムテープを貼ってやろう。そして・・・・・思いっきり剥がしてやる。

心の底からそう決意し、自分の鞄を持って帰ろうとした。


「刹那」


「え? あ、理恵さんじゃないですか」


「うん、来ちゃった。今から帰るとこ?」


「そうですけど」


「それじゃ、一緒に帰りましょうか。いいでしょ?」


「いいですけど・・・・・」


口をつぐむ刹那に疑問を覚えたのか、理恵は首をかしげて尋ねた?


「どうしたのよ? 黙っちゃって」


「いえ、その・・・・・いやに積極的だなって思って」


「べ、別に積極的なんかじゃないわよ! その・・・最近日が暮れるのが早いし!! 人で帰ると危ないから送ってもらいたいし!! 1人で帰っても寂しいし!!」


顔を赤くしながら慌てて答える理恵。様子を見る限りではいつもと同じようだが、自分への文句が言われないのがちょっと嬉しかった。いつもだったら、「あんたと帰りたいわけじゃない」とか、「仕方ないから」と言われのに、興はそれがないのが何だかこそばゆかった。


「な、何よ!! その顔は!!」


「いえ、別に。ちょっと嬉しいかなって」


「なッ?! も、もう!! 早く帰るわよ!!」


「あ、ちょっと待ってくださいよ理恵さん!」


赤かった顔がさらに赤くなり、理恵は勢いよく走り去ってしまった。・・・って早い!! もう見えなくなったぞ!!


「さ、さすがは元ソフトボール部キャプテン・・・・」


感心しながら、刹那は理恵の後を追いかけたのだった。









何とか理恵に追いつくことができ、2人は日の落ちかけたやや薄暗い道を会話しながら歩いていた。会話の内容は、文化祭に出し物について。


「メ、メイド喫茶・・・ねぇ」


「お、俺が提案したわけじゃないですよ?!」


「わかってるってば。どうせ博人がやろうって言い出したんでしょ? まったく、恵利に言ってやろうかしら?」


はぁ、とため息をつきながら、何気なく恐ろしいことを言ってのける理恵。・・・・・しかし、あの恵利のことだ。そんなこと百も承知に決まっている。


「意味、ないでしょうね」


「たぶんね。博人君のことだから、って言ってすぐ許しちゃうのよね。そこら辺は徹底しないとだめなのに・・・・」


「ですよね・・・・」


恵利も不憫だ・・・・・。あんな変態が彼氏だなんて・・・・・。


「・・・・そういえば、理恵さんのクラスって何やるんですか?」


「あぁ、アタシたちはお化け屋敷。男子も女子も張り切っちゃってね〜」


文化祭のお化け屋敷。それは夏祭りでやっている金魚すくいのようなものである。つまり、ほぼ確実にやっている。どこの高校でも、たぶんお化け屋敷のない高校はない。それくらいお化け屋敷はありきたりであって、単純なものなのである。


だが、ありきたりであるそのお化け屋敷は非常に人気が高く、競争率が激しい。シンプル・イズ・ベスト、というわけだ。ありきたりであるが故、やりたいというクラスがたくさん候補してくるのだ。


同じ出し物は禁止。この暗黙のルール上、多数あるクラスの中でどうしても取り合いになってしまう。じゃんけんか、くじ引きか、はたまたあみだくじか。決定する方法は多数あるが、結局は1つのクラスが勝ち取る形になる。


そして、戦いとも呼べるお化け屋敷の決定権の争奪戦を勝利したのが、理恵のクラスというわけだ。そんな激しい争奪戦を勝利したのだ、張り切って準備するのもうなずける。


「お化け屋敷か。今年は何クラス候補しました?」


「確か・・・・・8クラス。去年より少なかったから、何とか勝てた感じよ」


「8クラスかぁ。去年は11クラスだったからな〜。理恵さんは何をやるんですか?」


「当日は何もしないわ。アタシは小道具とか作るから。あとメイクとか」


「メイクもするんですか? 今年のお化け屋敷は」


「リアルさを追求よ! 怖がらせるための!」


リアルさか・・・・・。あんまりリアルで小さい子供とか泣かせなきゃいいけど・・・。

それにしても楽しみだ。残るところ、あと3日。何とか時間をもらって全校を回ってみたいものだ。慣れていない1年生の出し物から、すっかり慣れきっている3年生の出し物まで、当日は回りまくってやろう。


「・・・・・あ、あのね」


「? どうしたんですか?」


「と、当日さ。ちょっとだけでいいから、い、一緒に回らない?」


「はい、いいですよ。ただ、当番があるのでいつ抜けれるのかわかりませんけど」


「そ、それでいいわ! ぜひお願い!」


「は、はい。おっけ〜です」


「や、約束だからねッ? 覚えてないとひどいわよ?!」


「大丈夫ですよ。約束は守ります」


「ちゃ、ちゃんと守りなさ、さいよ?! そ、それじゃあアタシこっちだから!! ばいばい!!」


「え? あ、ちょっと! ・・・・・早い」


顔を赤く染め、理恵は走っていってしまった。・・・・話しをしていると、時間が経つのが早い。いつの間にか分かれ道に来てしまった。


こうして、刹那は理恵文化祭を一緒に回るという約束をしたのであった。


もう少しで10月ですね。寒くなってきました。

これからも「殺し屋」よろしくお願いします!

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