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第71話 夕食の場で

「はぁ? あんたそんなの本気でやるわけ?」


夕食のあと、里奈に文化祭のことを話した結果・・・・・刹那は信じられない、と言わんばかりの冷たい視線を浴びる羽目になった。


「そんなこと言ったって・・・・・仕方ないじゃないですか。博人が全部決めちゃったんですから」


「博人ちゃんが? ・・・・・確かにやりかねないけど」


「真っ先に手を上げて、脅迫まがいの説得で強引に決めさせてましたよ」


「はぁ・・・・・あの子ったら・・・・・」


里奈は、はぁ、とため息をつき、頭をぽりぽり、と掻いた。


「それで、あんたは何やるの?」


「たぶん、裏方のほうでのんびりやりますよ。メイド服着てるわけですから、接客とかなんて絶対ごめんだし・・・・・」


メイド服は全員強制的に着させられることになる。今さら嫌だ!! などとわがままを言うつもりは毛頭ない。


ならば、せめて恥ずかしい思いをしないよう、裏方に回るのが一番だ。裏方ならば見られるだけだ。ひょっとしたら話しかけられる、などということはほとんどない。あるとしたら、それはやっぱり接客のほうだからだ。


「・・・・・それだと、何だかつまんないわね」


「は?」


「せっかく見に行くんだからそれだとつまんないって言ってんのよ。あんた接客しなさい」


・・・・・イ キ ナ リ ナ ニ ヲ イ ッ テ ル ノ コ ノ ヒ ト ハ 。


「って、冗談じゃないですよ!! 何言ってるんですか!! 来なくていいですよ!!!」


「別にいいでしょ。家にいても暇なのよ」


「仕事しなさいよ!! あんた家事すらもやってないんだから完全なニートでしょ?!」


「うるさい黙れ!! ニート予備軍のくせに!!!」


「現在進行形のあんたに言われたくないよ!!」


「こうなったら絶対行ってやるわよ!! あんたのその恥ずかしい格好カメラ、いやビデオに収めてやるからね!!」


「うえ、それは・・・・・その」


「もう謝ったって遅いわよ。撮ったビデオ近所に配って回るから!」


「うぅ・・・・・」


「編集とかしちゃってさらに恥ずかしくもしちゃうから!」


「ぐぅ・・・・・」


ひどい・・・・。この人には容赦というものがない。やると言ったら絶対やる人だ。

大の高校生がメイド服を着て、いらっしゃいませご主人様〜なんて言ってるところをビデオに納められ、さらにそれを面白おかしく編集され、完成された品を近所に配られる。・・・・・・何の拷問ですか、これ。


「いや、あの・・・・・」


「楽しみねぇ。今からビデオとか買っておかないとねぇ・・・・・」


・・・駄目だ、目が本気だ。絶対に撮られる・・・・。

あぁ・・・・・さようなら俺の人生。こんにちわ変態というレッテルを貼られた俺の人生。


「お姉ちゃん!! 刹那にそんなことしちゃだめ!!」


「だってぇ・・・・・こいつニートって言ってくるんだもん」


「本当のことでしょ!! 悔しかったら働きなさい!!」


「うぅ・・・・・心に響く、実に重い言葉・・・・・」


「返事は?!」


「はぁ〜い・・・・・」


お茶を運んできた玲奈に怒られ、しゅん、とうなだれる里奈。・・・・・それにしても、玲奈って本当に里奈さんに対して容赦ないな。言いたいことはずばずば言うし。さすがは妹だけのことはある。


「それで、2人は何の話をしてたの?」


「あぁ、文化祭の話だよ」


なるべく『メイド喫茶』のことには触れないよう、できるだけ大雑把に説明する。・・・・・ここで、何をやるのって聞かれたら非常に困るからだ。

玲奈、あまり詳しく聞いてくれないでくれ・・・! 頼むから!!


「そっか、もうそういう季節なんだね。この家に来てからそんなに時間が経っちゃったか」


しみじみと、刹那の家にやってきたときのことを思い出しながらお茶をすする玲奈。・・・・・よかった、メイド喫茶のことは何とか知られずに済みそうだ。玲奈に知れたら何て思われるか・・・。


「玲奈ちゃん聞いて!! こいつメイド喫茶やるんだって!! こいつ、メイド服着るんだって!!」


こ、この人は何てことを――――――!!! せっかく知られずに済みそうだったのにぃ!!

玲奈は、え? と呆気に取られたような顔をして刹那に尋ねた。


「刹那、本当?」


・・・屈託のない、本当に純粋な質問だった。嘘といいたいが、こんな顔をして聞かれたら本当のことを言わざるを得まい・・・。


「ほ、本当です・・・・・」


あぁ・・・言ってしまった・・・。言いたくはなかったが言ってしまった・・・。

男がメイド服を着るなんてどう考えてもおかしい。ってか変態だ。変態以外の何者でもない。当然の如く変な目で見られるんだろうな・・・・と、覚悟しながら恐る恐る玲奈を見てみる。


「へぇ、面白そう! 見に行ってもいい?」


めちゃくちゃ乗り気だった!!


「え、あ、その・・・・・」


「楽しみだな! 私、そういうイベント行きたかったの!」


「えっと、だから・・・・」


「それで、刹那のクラスは何組? 何階? それで、文化祭の日付は?」


「さ、3組で、2階・・・・・日付は、10月4日の土曜日・・・」


・・・言ってしまった。あぁ、言ってしまった・・・・・。


「そっか。それじゃあと1週間くらいなんだね。今から楽しみだよ!」


・・・でも仕方ない。こんな興味津々、好奇心旺盛な子供のようなキラキラとした目で聞いてくる玲奈に、来ないでくれだなんて言えるはずがない。言った瞬間、落ち込みまくるのは目に見えている。そんなことはできない。できるはずもない。・・・・・恥はかくことになったがいささか仕方ない。


「・・・・・玲奈ちゃんに甘いのね、あんたは」


冷ややかな視線を刹那に向けてくる里奈。刹那はすぅ、と息を吸い、叫んだ。


「あんたに言われたかないよ!!!」



今年中に終わるのかなぁ・・・・・。

これからも「殺し屋」よろしくお願いします!

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