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第69話 帰り道の商店街

放課後、刹那は1人家路についていた。博人と恵利は2人きりで先に帰ってしまったし、理恵は後輩たちにせがまれて部活に顔を出しているらしい。


たった1人の帰り道。しかし、気分はとても良い。理由はやっぱり、理恵といつも通り接することができたからだろう。朝は本当に仲直りできるかどうか不安ではあったが、今は違う。仲直りしたのだから、もう不安になる必要はない。あとはもう2度と軽はずみな言動をしなければいいだけの話だ。理恵を怒らせてしまった原因も、おそらくそれだろうから。


{しっかり反省しないとな}


自分の中でしっかりと反省し、同じことは絶対に繰り返さない。刹那はそう思ったのだった。


「あ!!」


反省したところで思い出した。今日は刹那のお気に入りの漫画、「Together the future」の最新刊が出る日だ。これは男女2人の恋愛を描いた漫画で、ただいま週刊少年ジャソプにて好評連載中の人気作品である。・・・・・雨に濡れながらも失くしたプレゼントを探し回った後、一体どうなったのだろうか。非常に続きが気になる。刹那はジャソプを買っていないため、単行本でしか続きが読めないのだ。


ポケットから財布を取り出して中身を見てみる。中には1000円札が一枚だけぽつんと入っている。・・・・・十分だ。これだけあれば1冊くらいなら買える。


「よし! 買いに行くか!」


ぐっとコブシを握り締め、刹那はそのまま商店街へと向かったのだった。





+++++





「ありがとうございました〜」


店員に見送られ、手に単行本の入った袋を持った刹那は本屋をあとにした。・・・・・実に続きが楽しみだ。家に帰って夕飯を食べたら早速部屋で読むことにしよう。


わくわくしながら商店街から出ようとする刹那。と、不意に商店街の八百屋から実に見慣れた人物が出てきた。野菜の入ったエコバッグを手から下げ、買い忘れがないかどうか、じ〜っとメモを確認している。時折うんうん、と頷くのが可愛らしい。

手伝ってあげなければ。そう思った刹那はその人物に近づき、声をかけた。


「玲奈、買い物ご苦労様」


「あ、刹那! ? 刹那もお買い物?」


「漫画の最新刊が出てたから、ちょっと買いに来たんだ」


手に持っている袋をひらひらさせながら刹那は言った。


「楽しみにしてたんだよ。続きが気になって気になってしょうがなかったんだ」


「そうなんだ。あ、もしかして部屋に置いてあったあの漫画?」


刹那は漫画が好きなのだが、ほとんどコミックスは持っていない。家に置いてあっても邪魔だし、本屋に行けば立ち読みすることができる。・・・本屋にはちょっと悪いのだが。


だが、ただ1シリーズだけ刹那の部屋に置かれてある。それが今刹那の持っている「Together the future」である。玲奈は刹那の部屋も掃除しているから、部屋に置いてある漫画といえば必然的にそれしか頭に思い浮かばないのだ。


「そうそう。その最新刊が出たんだよ。早く読みたいな〜」


本当に嬉しそうに言う刹那。何だか、遠足を待ちわびる子供のようだった。まだ明日が来ない、まだ明日が来ないと、布団の中でわくわくして眠ることのできない幼い子供。その小さい子みたいな純情さが面白くて、ついつい玲奈はくすっと笑ってしまう。


「? 何で笑うんだ?」


「うぅん、何でもないの。ちょっと、可笑しくて・・・・・ふふ」


刹那は頭に疑問符を浮かべるが、玲奈は笑っているばかりで答えてはくれない。・・・朝、あまり笑ってくれなかったから、今玲奈の笑顔が見れてよかった。うん、相変わらずかわいい。


「・・・よかった。本当に元通りになってたね」


「ん?」


「朝、あんまり元気なかったから、とっても心配してたの。学校で何かあったのかなって」


「・・・・・」


「だからね、刹那が元気になってくれて嬉しいよ。落ち込んで暗くなってる刹那なんて、私見たくないもの」


にっこり笑って、玲奈はそう言った。・・・口には出さなかったものの、やっぱり玲奈は刹那のことを心配してくれていたようだった。昨日からずっと不安がらせてしまったことを反省しなければならない。


「・・・ごめんな、心配させちゃって」


「とってもね。心配で昨日あまり眠れなかったんだから」


「う・・・ご、ごめん」


「冗談だよ。でも本当によかった。今日は夕飯がんばっちゃうから!」


腕まくりをするそぶりを見せて、玲奈は笑った。・・・・・どうやら、今日の夕飯はとても期待できそうだ。ちょうど腹も減ってきたころだし、今から楽しみになってきた。


「ちなみに今日は何?」


「え〜っと・・・・・パスタにしよっか。色んな種類作ってみるから楽しみにしててね」


「もちろん。今日だけじゃなくていっつも楽しみにしてるけどな。あ、荷物俺が持つよ」


「本当? それじゃお願いしようかな」


そう言って玲奈からバッグを渡された。と同時に、あまりの重さに一瞬バッグを落としそうになってしまった。中身がギッシリと詰まっているせいか・・・・・めちゃくちゃな重さだった。玲奈はこんな細い腕で、いつもこんな量の荷物を持っているのだろうか?


「れ、玲奈・・・・・いっつも、こんなに重いのか?」


「うん。あ、でもまとめ買いしてるから、毎日ってわけじゃないよ。お買い物は週に1回くらいだし」


・・・それでもこんな重さのバッグを持つ玲奈はやっぱりすごいと思う。平気そうな顔をしていたから、てっきり軽いとばかり思っていたのに・・・・・。

刹那のつらそうな顔を見て、玲奈は眉を八の字にして聞いてくる。


「大丈夫? やっぱり私が持ったほうがいいかな?」


「いや、大丈夫。・・・その代わり」


「その代わり?」


「夕飯期待してるから、とびっきりの頼む」


「うん! 任せておいて!」


玲奈がそう言い、2人は自宅へ向かって歩き出した。家に帰るまでの時間、2人の会話は途切れることなく続いていったのだった。







ちなみに、夕飯のパスタはどうやら玲奈の得意料理だったらしく、ものすごくおいしかったそうである。


ジャンプ? いいえジャソプです。

これからも「殺し屋」よろしくお願いします!

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