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第55話 ドアの向こうには・・・

「っと、こんなもんかな」


ポンっと、博人は浴衣に着替えさせた刹那の背中を叩いた。色は紺。大人っぽい雰囲気が刹那にピッタリだ。たぶん、これも美雪お手製のものだろう。まったくもってすごい。どうしてこんなに上手に縫えるのだろうか?

中学校の家庭科でエプロンを作ったとき、仮縫いだけで手のひらが絆創膏だらけになってしまうくらい不器用な刹那にはさっぱり理解ができなかった。・・・あのときは痛かった。ぎにゃ〜! とかいげぇ〜! とか言って騒いだのは、今となってはいい思い出だが。


「おぉ、すごいな。いい出来だよ」


「まぁな。サイズさえわかれば何とかなる、って言ってたしな」


サイズがわかれば出来る。逆を言えば、サイズがわからないとできない、ということになる。刹那のぶんの浴衣はまだわかる。たまにセーターなどを作ってもらっていたから、サイズは美雪に教えてある。だが、わからないのは玲奈と里奈の浴衣だ。サイズなんて、わかるわけがないはずなのに、どうして作ることができたのだろうか?


「なぁ、何で玲奈と里奈さんの浴衣があるんだ? サイズわからないだろ?」


「あ〜。この前海行ったろ? そのときに見た」


「見た?! あんた見ただけでサイズとかわかるんですか?!」


「大体はな」


「あんたすごいですね!! きっと立派な人間メジャーになれますよ!!」


「ってか、まぁそのために海行ったようなもんだしな」


「全ては計画通りってか?! あんた無計画だったり計画深いところがグダグダだよ!!」


博人が、海に行くぞ、と言い出したのは夏休み入る直前のことだ。ということは、大分前から夏祭りのことを視野に入れていた、ということになる。・・・・・こいつ、計画性があるんだかないんだかわからないな。


「そろそろ理恵さんと恵利が浴衣を着せ終わってる頃だな。行くか」


「着せ終わってるって・・・・・人形じゃないんだからさ」


「細かいことは気にすんな。ほら行くぞ」


・・・・・博人のやつが何だかワクワクしているように見えるのは気のせいだろうか? いや、気のせいじゃないな。絶対気のせいじゃない。

そんなに玲奈と里奈さんの浴衣姿を見るのが楽しみなのかこいつは・・・。まぁ、気持ちはわからないでもないけどさ・・・・。

そう思いながら刹那は博人のあとに続き、2人は玲奈と里奈が着替えている博人の部屋の前までやってきた。・・・もちろんいきなり開けるわけにはいかない。もしまだ着替えているときに開けてしまったら・・・・・とんでもないことになる。この家が消し飛ばされてしまう。ぶるぶる。

さすがの博人も考慮したのか、ドア2回ノックしたあとに部屋の中にいる恵利に話しかけた。


「恵利〜。もう終わったか〜?」


「終わったよ博人君。入ってきていいよ」


着替え終わったことを確認し、改めて博人はドアを開けた。


「おぉ〜・・・・・。これはこれは、なかなかピッタリだな・・・・」


「ですよね。着せた私もちょっとびっくりっていうか・・・・・」


「・・・・・アタシ女なのに、ちょっとドキっとしちゃったんだけど・・・・・」


博人が感嘆の声を上げ、恵利と理恵が2人の浴衣姿の感想を言う。感想を聞く限りでは、2人とも良く似合っているらしい。・・・これは見たい。是非お目にかかりたい。でも、博人が邪魔で見えない。ドアのところからどいてくれないと、せっかくの浴衣姿を見ることができない。


「博人! 俺も見たい!」


「だめ」


「だめってことはないでしょ?! 見せてよ!!」


「ったく・・・・仕方ねぇな。ほらよ」


そう言って渋々博人が体をずらす。

刹那はすかさずその間から顔を覗かせ、玲奈と里奈の浴衣姿を見る。


「うわ・・・・・。似合ってる、2人とも」


博人と同様、刹那は感嘆の声を上げた。私服の姿ではなく、浴衣姿の2人は、何だかいつもと違っていて新鮮で、雰囲気が違って見えた。


「そ、そうかな。ありがと。刹那も似合ってるよ」


玲奈の着ている浴衣は、白と水色の混じった涼しげなものだった。・・・思えば、海に行ったときに玲奈が着た水着も白だった。そういう涼しげな色が、玲奈には似合っているのかもしれない。とても似合っている。うん、すごく可愛い。


「それにしても、すごいわね。サイズピッタリだし、色も好みだし」


玲奈に対して、里奈の着ている浴衣は黒と紫が混じった大人っぽいものだった。・・・正直、里奈にこの色は反則だと思う。ただでさえ大人っぽい里奈に、黒とか紫といった魅惑的な色を着るということは、文字通り、鬼に金棒だ。

美雪の作った浴衣が、誰をも魅了してしまう里奈の持つ色っぽさをさらに加速させる! ・・・今回は何人の男が魅了されるのだろうか? また海のときみたいにならなければいいのだが。


「よしよし。玲奈ちゃんも里奈さんも着替え終わったし、そろそろ行くか!」


パンパン、と博人が手を叩き、2人の浴衣に見とれている刹那は我に返った。

時計はすでに6時を回っている。もう祭りは始まっている頃だ。今から行けばちょうど賑わっているところに混ざることができる。


「そんじゃ行くぞ〜!」


博人を先頭に、一同は祭りの会場へと向かったのだった。




き〜みが〜いたな〜つは〜♪

と、いうわけで、次回夏祭りにゴ〜です!

これからも「殺し屋」よろしくお願いします!

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