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第49話 お姉ちゃんはシリスさんが苦手?

とりあえず、刹那はシリスを家の中に入れることにした。こんな暑いところにいるわけにもいかないし、里奈と玲奈の様子を見に来たと言っているのだから入れなければならないだろう。

ここで駄目です! なんていうものならば、とんでもないことが起こる予感がする。里奈が来たときみたいに、壁を破壊して強引に入ってくるかも・・・・・。いや、でも、この人は大丈夫そうだ。里奈さんと違って落ち着きがありそうだし、話が通じる感じがする。うん。


「・・・・・どうやら、里奈お嬢様は刹那様に大分ご迷惑をかけたようですね。本当に申し訳ございません」


「・・・・・」


・・・そういえば、殺し屋は読心術の会得が必須だとか里奈さんが言ってたっけ? あれって本当だったんだ。はぁ・・・・。

何だか、こうも簡単に心を読まれてしまうと落ち込んでしまう。いや、相手はプロの殺し屋だからあっけなく心を読まれてしまうことは仕方ないのだが、何だか悔しい。俺の心・・・実は簡単に読まれやすいとか? ・・・・・あり得る。しょっちゅう里奈さんに心読まれてるし。

って、こんなこと考えてる暇なんてなかった。ここは暑いからな、早く案内しないと。


「里奈さんと玲奈は居間にいますから、どうぞ上がってください」


「それではお邪魔致します」


ぺこり、とお辞儀をするシリスは、何だか礼儀をわきまえている知的な雰囲気があった。なんというか、洗礼されていると言えばいいのだろうか。・・・・・里奈さんもこれくらいしっかりしてくれればいいのに・・・。

居間に入ってきた気配が2人分だったのを怪しく感じたのか、里奈は刹那たちのほうに顔を向けた。すると、やる気のなかった表情が、げっ!! と言わんばかりのものすっごく嫌な顔に一変した。・・・言わなくてもわかるだろうが、シリスを見つけたせいだ。

反応から、里奈はシリスが苦手だということがわかるが、だからと言ってそこまで露骨に嫌な顔をしなくてもいいんじゃないか? シリスさんがかわいそうじゃないか。

シリスは里奈の反応を見てため息をつき、呆れながら言った。


「里奈お嬢様、そんな下品な顔はお止めください。清らかに、美しく、上品に振舞ってくださいといつも言っておりますでしょう?」


「シ、シリスさん?! 何でこんなとこに?!」


「社長からお2人の様子を見てくるよう命令されましたので。・・・それにしても、私の目がないからといって、少々羽目を外しすぎなのでは?」


「う・・・。た、たまにはいいじゃないですか。うん、そうですよ。たまには息抜きも必要必要」


「・・・・・そのだらしなさでは、『たまに』ではなく毎日のような気がしますが?」


「うぐ・・・・・・」


す、すげぇ・・・・・。あの里奈さんが口ごもってる! いっつも俺をいじめてくるあの里奈さんがだぞ?! そんなにシリスさんが苦手なのか。・・・・・シリスさんって、一体・・・・・。


「食器洗い終わったよ・・・・・あ、シリスさん! お久しぶりです!」


「お久しぶりでございます、玲奈お嬢様。お元気そうで何よりです」


「シリスさんこそ、元気そうで安心しました。会社のほうはうまくいってますか?」


「はい。私も微力ながらお手伝いさせていただいておりますので、うまくいっております」


里奈とは違い、食器洗いから戻ってきた玲奈はシリスと仲がいいようだ。その証拠に、シリスと話している玲奈はずっと笑顔でいた。・・・里奈さんと話してるときも笑顔で話してあげればいいのに。


「・・・なぁにが微力よ。あたしよりも強いくせして(ぼそ)」


「何かおっしゃられましたか? 里奈お嬢様?」


「い、いえ・・・・・何も言ってませんわ、おほほほほ」


取り繕うように里奈さんが笑う。・・・・・嘘っぽい笑いだな。

ん〜・・・・・さっきから話しに加われてないところからすると、やっぱり俺は邪魔者かな? しょうがない、部屋に戻るか。久しぶりの再開みたいだし、玲奈たちの邪魔しちゃ悪いからな。

そう思い、自室に戻ろうとした矢先だった。


「刹那様、気を使って頂かなくとも結構です。刹那様のお話も聞かせていただきたいし、改めて自己紹介もしたいので」


「は、はぁ。そうですか・・・」


・・・心を読むのは出来れば止めてもらいたいのだが、はっきり言うわけにもいかないし・・・。でもまぁいいか。里奈さんにいっつもやられてるし、もう慣れっこだ。


「・・・里奈お嬢様、刹那様に読心術を使うのは日常茶飯事みたいですね。刹那様の心がそう言っておられますよ?」


刹那の心を再び読んだシリスが、にっっこりと笑って里奈に尋ねた。


「ふぇ?! いや! あの! その! な、何ていうか! えっと・・・か、勝手に、そう! 勝手に理解しちゃうのよ! うん! いや〜、意識しないで人の心がわかっちゃうんですよ! あはは!」


「・・・ほう、意識しなくとも読心術が使えるようになったとは、たいしたものです。私もそこまでの領域に到っていないというのに、素晴らしいですね。普通、読心術など意識しなければ使えないというのに、一体どういった訓練をしたら自然に使えるようになるのでしょうかね? 是非その訓練方法をご教授願いたいものです。それで・・・・・どういった訓練を行ったのですか? 里奈お嬢様?」


里奈は、ひッ! という心の声が聞こえてくるような、そんな引きつった顔をした。心なしか、シリスの背後にオーラのようなものが見える。顔も笑顔でいるものの、怖い。後ろのドス黒いオーラに似合わない笑顔が、滅茶苦茶怖い!! ・・・・・どうやら里奈さんが嘘をついているのを怒っているようだ。


「・・・・・ご、ごめんなさい。嘘です・・・・、あたしが悪かったです・・・・・」


「わかればよろしいです。これからは刹那様への読心術は控えるように」


「は〜い・・・」


・・・り、里奈さんが謝ってる! すげぇ珍しい光景だ! ビデオにでも撮っておこうか?! きっとネッシーとかUFOとか見るよりも低確率の出来事だぞ!!


「(きッ!!)」


「う、いや、嘘です・・・」


・・・うぅ、控えるって言ったそばからこれだよ。さっき言ったことは嘘だったんですか里奈さん・・・。


「とりあえず、ケーキでも食べながら世間話でも致しませんか?」


「そうだ。私麦茶持ってくるね」


「あ、あたし急に用事を思い出したから部屋に戻っ―――」


「・・・・・里奈お嬢様?」


「う、嘘です・・・。ごめんなさい・・・・・」


・・・何だか、ちょっと不安になってきた。うぅ・・・何でこんな平凡な家に殺し屋が3人も集合するんだよぉ・・・・・。ちくしょー・・・・。


3人がジャンケンみたいな関係になっちゃいましたね。

玲奈は里奈に弱くて、里奈はシリスに弱くて、シリスは玲奈に弱い(?)みたいな感じですね。

シリスの詳細は次回、ということで。

これからも「殺し屋」しろしくお願いします!

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