第42話 肝試しだよ!!
ただいまの時刻は7時ちょうど。刹那と玲奈と里奈は、博人の指示通り学校の前に来ていた。
学校の前にはすでに博人たちが集まっており、何やらわからないが顔を真っ赤にしている理恵を、笑いながら2人がからかっているように見えた。・・・・・でもさすがに内容まではわからない。何を話しているのだろうか?
「ははは。ん? おぉ、来たか来たか!」
「なぁ博人。一体何の用でこんな所に呼び出したんだよ?」
「ふっふっふ・・・・・。刹那、玲奈ちゃんに言っておいたはずだぜ? 涼しくなることをやるってなぁ・・・・・」
だから、それがわからないから聞いているというのに・・・・・。
そんな刹那の考えが表情に出ていたのか、博人はビシィッ!! と刹那に人差し指を突き出した。
「今の季節は夏!! そして今は夜!! こんな状況下の中!! 涼しくなるためにやることって言ったら1つしかねぇだろう!!」
「? 何だよ? かき氷でも食べるのか?」
「ちっが〜う!! そんなもん夜じゃなくても食えるだろ!! 夜にしかできないことっていったらぁ〜〜・・・・・」
そこで息をすぅ〜っと吸い込み、博人は大声で言った。・・・・・そう、周りのことも考えず、腹の底から。
「『肝試し』しかねぇだろうがよ!!!!!」
「うるさいよ?! 今何時だと思ってんの?! もう少し近所のこととか考えようね?!」
「わかったわかった。そんじゃ、詳しい説明するぞ〜」
「全然わかってませんよねぇ!?」
抗議する刹那はさておき、博人は肝試しの説明を始めた。
まず最初に、あらかじめ準備しておいたクジを引いて2人組みを作る。全員で6人いるから、3グループ作られることになる。
次に行く順番を決めて夜の学校へ赴き、どこかの教室にあるゴムボールを取ってくる。なお、ゴムボールはどこの教室にあるのかはわからないため、一階から3階まで全ての教室を回らなければならないとのこと。音楽室かもしれないし、理科室かもしれない。あついは体育館、ということもありえる。しらみつぶしに探さなければならない。
ただし、このイベントの主催者であり、ボールを置いた本人の博人はわかっているため、博人の組は強制的に一番最後ということになる。前の2グループが3つのうちの2つのゴムボールをとるので、結果的に3分の1の確立になるから、これで少しは公平になる。・・・それでも、場所を知っている博人の組は有利なのだが。
それから、校内の電気は絶対に点けないこと。誰もいないはずの夜の学校に明かりが点いていたら、誰だって不審に思うはずだ。いくらなんでもそんなことをすれば先生にばれて大目玉を食らってしまう。そのため、今日は懐中電灯も持ってこなかった。そういうわずかな光も、今回は漏らしてはならない。
幸い、今日は月がとっても明るい。これだけ明るければ、いくら夜でもボールの1つくらいは見つけられるはずだ。
あとは普通の肝試しと同じだ、と言って、博人は説明を終えた。
「そんなわけだけど、何か質問は?」
すっと刹那が手を上げた。
「何だ刹那?」
「とりあえず聞きたいことがある。何でこんな時間に学校が開いているのかってことと、いつの間にゴムボールを準備したのかってことだ」
「学校の鍵は職員室に忍び込んで盗んだ。準備は夏休みに入る前にあらかじめ準備しておいた」
「ゴムボールはいいとして、職員室に忍び込んで盗ったってのはおかしいですよね?!」
「細かいことは気にすんな。金品を狙う泥棒に盗られなかっただけよしとしてこうぜ」
「もう滅茶苦茶ですね!!」
「はっはっは! そんじゃ、組を決めるか。言っとくけど、完全なランダムだからどんな組み合わせになるかわからんぞ」
「? そんなの当たり前じゃないの?」
頭に疑問符を浮かべながら理恵が博人に尋ねた。
「まぁ、俺と恵利が一緒になるように仕組んでるなんてことはないってことを言ってるだけですから。それじゃ、引いてけ」
博人は6本の割り箸の先をつかむと、みんなの方へと差し出した。全員は一本ずつ割り箸を取っていき、博人が握っていた部分の番号を確認した。その結果・・・・・。
1、博人、玲奈
2、刹那、理恵
3、里奈、恵利
という感じになった。博人の言ったとおり、本当にランダムだということに驚いてしまった。博人のことだから、絶対仕組んでるなって思ってたのに・・・・・。
「あちゃちゃ、見事に離れちまったか」
「博人君・・・・・。浮気しちゃだめですよ?」
「大丈夫! 俺の目には、もうお前しか映らない!」
「あ〜あ、玲奈ちゃんと離れちゃった〜・・・。怖いよ〜って言って抱きついちゃおうと思ったのに・・・・・」
「そんなことしないの! 恵利さんにはそういうことしないでね!!」
「{せ、刹那と同じ!! ど、どど、どうしよう!! どうしよう!!!}」
「り、理恵さん?顔真っ赤ですけど、大丈夫ですか?」
「だ、だだだだ、大丈夫よ!! 別に心配してくれなくてもいいわよ!!」
各自、組み合わせの相手がわかったところで、博人が話しを進める。
「それじゃ、行く順番は・・・・・里奈さんと恵利からにするか。ゴムボールは教卓の上に置いてるからすぐ見つかるはずだ。」
「わかったわ」
「わかりました」
こうして、ドキドキ(?)の肝試しが始まったのだった。
と、いうわけで正解は『肝試し』でした!
これからも「殺し屋」よろしくお願いします!