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第41話 夏はアイスでしょ!

博人たちと海に行ってから1週間が過ぎた。その間に気温はどんどん上昇していき、ついには蝉まで鳴き始めるようになった。

刹那の家にはクーラーがない。あるとガンガン使って電気料が馬鹿にならないし、夏にしか使わないから、ということでつけていない。あるのは扇風機かうちわくらいだ。だから余計に暑い。それらを使って風を送っても、暑い空気がぬるい空気になっていただけで涼しくない。地球温暖化のバカヤローと叫びたい気分だ。

玲奈が窓に風鈴をつけて少しでも涼もうと試してみたのだが、はっきり言って音だけじゃ全然涼しくならない。・・・・・まぁ風流だな、とは思うが。

そんな中、刹那と里奈は居間のテーブルに突っ伏していた。居間は風通しがよく、この家では一番涼しい場所だ。里奈がいるのにも関わらず、刹那が一緒の部屋にいるのはそのためである。


「・・・・・暑いわね」


「・・・・・暑いですね」





ミーンミーンミーン・・・・・





「・・・・・暑いわね」


「・・・・・暑いですね」





ミーンミーンミーン・・・・・





「・・・・・暑いわ―――」


「同じこと言うの止めません?」


「だって暑いんだもの」


里奈がやる気のない声で刹那に愚痴を言う。さっきから里奈は暑い、暑い、としか言わない。暑いっていうと余計に暑くなるってよく言うが、それは本当だったらしい。ますます暑くなったような気がする。


「殺し屋なんですからこれくらい我慢できるんじゃないんですか?」


「いくら殺し屋でも暑いものは暑いのよ。あんた殺し屋を神様か何かって思ってるわけ?」


「里奈さんを見てれば誰だってそう思いますよ・・・」


「ふ〜ん・・・・・そう・・・・・」


里奈は暑いからなのか、それ以上何も言ってこなかった。何というか・・・・・調子が狂う。いつもならいじめてくるか何かいたずらをするはずなのに、暑くてやる気が出ないのか全くやろうとしない。

まぁいい。刹那だって好きでいじめられているわけではない。いじめられないことに越したことはないのだ。何もされないのならそれでいい。


「ただいま〜」


「玲奈ちゃんだわ!!」


「あんたさっきまでのやる気のなさはどこに行ったんですか?!」


玲奈が帰ってきた途端これだ。例えるものならば、死ぬ寸前に水に戻った魚。干からびる前に雨を浴びたミミズ。トラバサミから脱出した動物。

さっきまでのやる気のなさは跡形もなく消え、里奈は買い物から帰ってきた玲奈にべったりとくっつき出した。こんなに暑いのに、よくやるよ・・・・・。


「お姉ちゃん、暑い・・・・・。離れて・・・・・」


「うぅ・・・・・、本気で嫌な顔しないでよぅ。お姉ちゃん悲しい・・・・・」


当たり前だ。こんなクソ暑いのに抱きつかれて喜ぶやつがどこにいる。

玲奈が心底嫌な顔をしたので、里奈は渋々玲奈を自らの腕から解放した。・・・こんな気温でも抱きつきたがるって、どれだけこの人は玲奈のことが好きなのだろうか?


「お帰り。暑かったろ?」


「うん、とってもね。アイス買ってきたから、みんなで食べよ」


そう言って、玲奈は手に持っていたビニール袋をテーブルに置いた。

袋の中にはカップアイスが2つと棒アイスが入っていた。カップアイスはバニラとチョコで、棒アイスはソーダ味だった。ちなみに刹那はモナカが好きだったりする。


「玲奈はどれが食べたい? 先に選んでいいよ」


「え? いいの!」


ぱっと顔を綻ばせて喜ぶ玲奈。・・・あぁ、可愛い。子供みたいに無邪気な笑顔だ。いいですとも。あなたのその笑顔が見られるのであれば、アイスの1つや2つ、どうぞご自由にお選びくださいませませ。


「それじゃ、私チョコ貰おうかな」


「次里奈さんどうぞ」


「気が利くじゃないの。それじゃアタシはバニラにするわ」


となると、残ったアイスは棒アイスということになる。刹那は棒アイスを手に取ると、袋の中から取り出し、すぐ様口に運んだ。若干溶けかかっているが、それがいい。この少し溶けかかったアイスがまたうまいのだ。ガチガチに冷え切ったアイスよりおいしく感じる。


「♪ おいし」


「玲奈ちゃん、ほっぺにつけても〜。お姉ちゃんが舐め取ってあげる♪」


「や!! 来ないで!!」


「うぅ・・・・・。拒絶しないでよ〜・・・・・」


玲奈は、もう! と少し頬を膨らませてアイスを食べ始めた。


「あ、そうだ。刹那」


「ん? 何だ?」


「買い物の途中にね、博人さんに会ったの。それでね、今夜7時にみんなで学校においでだって」


・・・学校?

それも7時に?

一体何をするのだろうか?

いつもながら、予想できないことをいきなり計画するやつだ。


「・・・何をやるか、聞いてないか?」


「何でも、涼しくなることだって。それ以上はわからないけど・・・・・」


「涼しくなることね〜・・・・・」


溶けかかった棒アイスを口に入れ、刹那は博人が何を企んでいるのかを、腕を組んでうんうん唸りながら考えるのだった。





夜にやるもので、涼しくなるもの。・・・おそらく、皆様はもうわかっていらっしゃるのではないでしょうか?(汗

わからない人は・・・・・見てください(笑

これからも「殺し屋」よろしくお願いします!

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