第34話 買い物終了!
お、お礼なんて別にいいわよ! と、頬を染めながら言っていた理恵と別れ、刹那はのんびり歩きながら、玲菜たちが水着を選んでいる店まで向かっていた。
結構時間も経っているし、そろそろ玲菜たちも選び終わっているだろう、と思って店の前まで来てみたら、案の定ベンチに2人仲良く座って楽しそうに喋っていた。手には、それぞれの水着が入っているだろうレジ袋が握られていた。・・・一体どのような水着を選んだのだろうか? すっごく気になる。
・・・・・いや、水着の入っている袋だけじゃない。他にもたくさんのレジ袋を持っている。おそらく水着を選び終わった後、自分がいないからといって色々と買い込んだのだろう。
・・・それにしても多すぎる。袋がかなり膨らんでいて、すっごく重そうだ。持ち帰るときが大変そうだ。
やってきた刹那に気がついたのか、玲菜は視線を里奈から刹那に移し、にこっと笑いかけた。
「あ、刹那。選び終わったよ、待たせてごめんね」
「・・・っち」
「ちょっと里奈さん!! 『っち』って何ですか?! 『っち』って?!」
「べっつにぃ〜・・・」
「お姉ちゃん!! 舌打ちしたりしないの!!」
「はぁ〜い・・・」
玲菜に怒られ、しぼんでいく里奈。・・・思ったけど、玲菜のほうがお姉さんっぽいぞ。里奈さん、結構子供っぽいし・・・・・実は姉と妹が逆だったり?
「そんなことないわよ。あたしの方が明らかに年上じゃないの」
「まぁそうですけど、明らかに玲菜のほうがしっかりしてるじゃないですか」
「失礼なやつね〜。まぁ、玲菜ちゃんがしっかりしてるってのは認めるけどね。ね〜、玲菜ちゃん♪」
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん! や、止めてよ!」
・・・・・人間は慣れる動物だというが、読心術を普段から使われることに慣れるほどだったとは、と刹那は思わずにはいられなかった。つくづく、人間の神秘には驚かされる。ひょっとしたら、自分もそのうち読心術とか使えるようになるかも・・・。
「? どうしたの刹那?」
「どうせ玲菜ちゃんの可愛くて大胆な水着姿でも妄想してたんでしょ。ったく、これだから年頃の男の子ってやつは・・・・・」
「あんた人のこと言えないでしょ?!」
「どうだかねぇ〜・・・・・」
慣れるといっても、どうしても里奈からいびられることには慣れない。ってか慣れたくない。慣れたら終わりのような気がする。
「ほら! お姉ちゃん、いつまでも刹那をいじめないの! 刹那、帰ろ。大分時間かかっちゃったね。家に帰ったらすぐ昼飯作るね」
「え? あ、もうそんな時間か」
腕時計を見てみると、12時をとっくに過ぎており、すでに2時を回っていた。・・・通りで腹が減っているわけだ。買い物だけでこんなに時間がかかるなんて思わなかった。
「そ〜れじゃ、帰りましょ。ほらほら、とっとと歩け!」
「何で俺だけに言うんですか?!」
「あ、そうそう。あんた荷物持ちなさい、もちろん全部よ」
「マジかよ!! って、これ全部ですか?!」
「もちろん。こんな重いもの、女の子が持てるわけないでしょ?」
「素手で釘打ち込んでる人が今更何言ってるんですか?!」
「うっさい!! 黙って運べ!!」
「逆切れかよ!!」
「お姉ちゃん!! 刹那に押し付けちゃだめだよ!! 自分のものは自分で持たないと!!」
「あ、いや、俺が持つよ」
色々言ったが、やはり女の子に重い荷物を持たせるのは少し忍びない。ここはやはり、自分が持つべきだろう。
「刹那、無理しなくていいよ? 重いし・・・」
「大丈夫、これくらい平気だよ。持たせてくれ」
「そう? それじゃ、お願いしようかな」
「・・・っち、玲菜ちゃんのときだけ猫かぶりやがって」
「あんたも人のこと言えないでしょ?! ほら、里奈さんのも持ちますから」
「そ、じゃお願いね」
玲菜と里奈から荷物を受け取る。・・・・・意外にもずっしりくる。これはますます女の子には運ばせられない。ここは頑張りどころだ!!
「刹那? 本当に大丈夫?」
「平気だって。ほら、帰ろう。腹も減ったし」
「それじゃ、帰りましょ」
こんな感じで、買い物は終わりましたとさ。
次回から海編に入ります。
思いっきり季節がずれてますね・・・。
これからも「殺し屋」をよろしくお願いします!