おまけ キャラ設定+没シナリオ
おまけ的な要素で、キャラ設定と没シナリオを入れてみました。
キャラ設定のほうは、初期のほうに「これを基準にしよう」と考えたものですので、
後半とちょっとかち合わないかもしれませんが、ご了承ください。
木下 刹那
性別・男
年齢・17
今回の物語で、恐喝、強盗、殺しの疑いをかけられ、殺し屋に狙われた不幸な青年。本人は知らない、やってないと言っているが、真相のほうはわかっていない。
母親は幼い頃に亡くなり、父親は海外へ出稼ぎ中。
自らを殺しに来た玲菜と以前どこかで会ったような不思議な感覚に陥っている。ちなみに、玲菜も同様。
佐々木 玲菜
性別・女
年齢・17
木下 刹那を殺しに来た張本人。
腕前のほうははっきり言って未熟。A・B・K本社での実力は下の下。実力不足の原因は親である「佐々木 幸一」の配慮からだ。
だが、実力がないといって本社の殺し屋から馬鹿にされているということはない。
むしろ、何でこの世界を知ってしまったのか、という同情の声が大半で、残りは若いのにがんばってるね、という応援の声だ。
刹那を殺すために自宅へと向かったのだが、風邪をこじらせてしまいターゲットである刹那に看病されてから、情報と性格が一致しないことに疑問を覚え、真理を見極めるためにターゲットの刹那と同居を決意する。
家庭的な面を持ち合わせており、料理の腕前はなかなかのもの。得意な料理はパスタ。
ちなみに美少女。誰が見ても文句なしの容貌を持っている。
佐々木 里奈
性別・女
年齢・21
玲菜の姉であり、美女。男の理想を形にしたような美貌の持ち主である。
ただ、ありえないほどのシスコン。玲菜の姿が目に入るたび、強力磁石の如くくっついてしまう。
玲菜が仕事に出かけるときは、必ずと言っていいほど里奈が補助につく。
玲菜が始末したターゲットの「後片付け」も里奈が全て受け持っている。実力不足の玲菜にとって、里奈の補助はありがたいものだった。
殺し屋としての実力は上の上。A・B・K社の中ではトップの実力を持つ。
ちなみに里奈の得意とする殺し方は斬殺。刀で細切れにするのが得意。
佐々木 幸一
性別・男
年齢・34
A・B・K社の社長。35という若さで日本おもちゃ界のトップ業績を叩き出すという、恐ろしい経営力の持ち主。
幸一自身も殺し屋であり、実力は意外と良いほう。ただし、里奈には及ばない。
人柄がよく、人に好かれる傾向にある。思えば、この人柄があってこそこんな大企業を立ち上げられたのかもしれない。
刹那の父親の明とは親友。そのため、刹那を殺すことにはかなりの抵抗がある。
ちなみに未婚。縁談の話は結構出るのだが、玲菜と里奈の2人がいるため今まで断ってきた。
シリス
性別・女
年齢・33
幸一の秘書。手際の良さととっさの判断力は計り知れない。切れ者。
外国人のため、髪の毛の色は金、瞳の色は青。だが、長い間日本で暮らしていたため、日本語はぺらぺらである。
小さい頃、里奈と玲菜の生活面の世話、礼儀作法から殺し屋の基本まで何でも叩き込んだ張本人。そのため、本人も腕利きの殺し屋。実力は里奈と同等。
ちなみに、密かにだが、幸一に好意を寄せている。仕事では遠慮ないのに、どうも幸一のことだけは奥手になってしまう。
木下 明
性別・男
年齢・34
刹那の父親。現在は外国で出稼ぎ中であり、自宅である刹那の家には滅多に帰ってこない。
刹那が産まれたのは明が17の頃。
自分の妻である早苗の妊娠を知った後、周囲の反対を押し切り高校を中退。死ぬ気で働き続ける。
その後、無事に刹那は出産。一番喜んだのは産んだ早苗ではなく明だったらしい。
木下 早苗
性別・女
年齢・故人
刹那の母親。明とは小さい頃からの幼馴染であり、恋人同士。
若さゆえの過ちというか、明と初めて夜を過ごしたと同時に妊娠。それを病院で知った早苗は泣くでもなく、驚くでもなく、ただ純粋に喜んだのだという。
周囲の反対は凄まじいものだったが、早苗自身、愛する人の子供を中絶するなどできるわけがないと猛反発。結果、無事に刹那を出産。
刹那を出産後、家族で買い物へ行った際にトラックとの衝突事故で帰らぬ人となる。
佐藤 博人
性別・男
年齢・17
刹那の親友。小さい頃から一緒に遊んでおり、お互い助け合っている。刹那の父親の事情を知っているので、ちょくちょく刹那を夕食に招いている。
学校ではみんなから好かれる人気者。顔も性格も良しなので女の子からのラブレターが絶えない。まぁ、頭脳明晰、運動神経抜群、容姿端麗、性格良しの男だ。無理もない。
ちなみに彼女持ち。それなのにラブレターが絶えないというのは・・・・・。
今野 恵利
性別・女
年齢・17
博人の彼女さん。眼鏡をかけていて、いつも図書室で本を読んでいる大人しい女の子。博人曰く、そこがいいんだ!!とのこと。
恵利もまんざらではないらしく、博人と仲良くやっている。たまに博人と外へ遊びに出るのだが、いつも本ばかり読んでいため体力が続かず、休憩がほとんど。
それでも博人は楽しいとのこと。恵利も博人と一緒で満足だと思っている。
今野 理恵
性別・女
年齢・18
恵利の姉。刹那とは間接的に知り合い、良い女友達。ちなみに知り合い方は、恵利→博人→刹那という感じ。
性格のほうは恵利とは違い、活発。ソフトボール部に所属しており、エースピッチャーとして活躍している。
活発である理恵だが、非常にわかりやすい性格でもある。例えば嘘など、問い詰めれば一発でわかるほどわかりやすい。
そのため、刹那が好きなことは周りのみんなにばれている。ただし、刹那は全然気がついてはいないらしく、いつも「?」という表情をしている。
黒羽 清十郎
性別・男
年齢・63
刹那の情報を改ざんした張本人であり、刹那の祖父。
黒羽家の頭首であり、才能のないものを嫌う。ゆえに決まった相手としか結婚は認めない。
自分の娘の早苗と明の結婚が気に食わず、血縁を汚した明を抹殺しようと殺し屋を数名派遣している。・・・明が滅多に帰ってこないのもこのためである。
穢れた血である刹那のことも目障りに思っており、A・B・K社に情報を渡している会社に圧力をかけ、刹那の情報を改ざん。間接的に刹那を殺そうと企んだ。
相楽 智之
性別・男
年齢・23
伝説の殺し屋。神出鬼没で居場所を掴むことが非常に困難。
金さえかかるものの、依頼は確実にこなす。清十郎が金で雇い、自ら専属の殺し屋にした。
右側が黒、左側が白という奇妙な仮面をつけ、ボロボロな服を着ている。
ちなみに、刹那と理恵のデートでの昼食の際に訪れたラーメン屋の店主である。
没シナリオ集
その1
「貴様・・・ふざけているのか?」
「なんですって?」
「ふざけているのかと聞いている。貴様の手に持っているものは何だ? 爆弾か? 違うだろう、この世に2つしか存在しない名刀だろう」
「それが、何よッ!!!」
無理矢理上半身をねじり、荒々しく『天上天下』を『唯我独尊』にぶつける。その衝撃で相楽は吹っ飛び、結果的に距離をとる形になる。
だが、距離を置いても相楽は話すのを止めなかった。
「貴様は刀で細切れにするのが好きだと言ったな。だが、そのとき使った刀は『天上天下』ではなかったはずだ。事実、貴様はさっきから俺を斬ろうはせず、刀身から放たれる剣圧だけで戦っている。お前はこの刀を使いこなせていないのだ。だから剣圧しか使わない。いや、使えない。・・・違うか?」
里奈は、さっと血の気が引いたのを感じた。
確かに、相楽の言ったとおりだ。普通の刀なら難なく斬ることができるのだが、この刀、『天上天下』は斬ることができない。斬る前に刀身から放たれる剣圧が先に敵を破壊してしまうのだ。
何とか斬ろうと努力しても無理だった。仕方がないので、剣圧を武器にして戦うということにしたのだが、まさかその剣圧が効かない敵が現れるとは思わなかった。
「あたしはね・・・負けられないの」
自分が負けたら・・・この化け物はまだそう離れていない刹那と玲菜、2人を安全地帯に誘導している明に追いつき、殺すだろう。この3人が殺されたら残酷な清十郎のことだ、はむかったA・B・K社を潰しにかかるだろう。
そのときは全てが終わる。自分はもちろん、今まで育ててきてくれた幸一も、母親のように自分と玲菜に接してくれたシリスも、仲の良い社員がたくさんいるA・B・K社も、全て終わってしまう。全員殺されてしまう。
「あんたは努力と才能が自分を強くしてくれた、って言ったわよね。あたしはね・・・」
お父さん、シリスさん、A・B・K社のみんな、明さん、玲菜ちゃんに、あたしの義弟。そして・・・・・玲菜ちゃんのおなかで一生懸命生きている赤ちゃん。
「あたしはとても重いものを背負ってる。その重さが、あたしを強くしてくれるのよッ!!」
「負けた・・・。貴様の勝ち、だな・・・」
「まぁね。・・・悪いわね、こんな汚い手を使わせてもらって。これくらいやらなきゃ、あんたは倒せなかったから」
「・・・勝負に汚いもなにもない。この世界は勝利こそが全てだ。勝てば何をしても許される。例えそれが咎められることであってもな」
「・・・嫌なこと言うわね、あんた」
キン、と『天上天下』を鞘に収め、里奈はその場に座り込んだ。・・・実は、もうさっきから足がガクガク震えて止まらない。体も同じだ。これはしばらくひどい筋肉痛に悩まされるだろうな、と里奈は笑った。
相楽は目を瞑って自分の死を待っているようだった。勝ったものは生き、負けたものは死ぬ。戦いでの基本中の基本だ。殺し屋ならなおさらそのルールがわかっている。だから、相楽はもう死ぬつもりでいるのだろう。
確かに、戦いで負けたものは死ぬ。命と命のやり取りで負けたのだから、相手に殺されるのは当然のこと。勝ったほうも、自分は自らの命をかけて戦いに勝利したのだから敗北者の命を奪う権利がある。それが戦い。それが殺し合い。
「はぁ・・・。覚悟を決めてるところ悪いんだけどさ。あたし、別にあんたを殺そうなんて考えてないから」
しかし、それは勝利者が命を奪おうとしているときだけの話。里奈は命をかけた戦いに勝ったが、敗北者である相楽の命を奪う気はさらさらない。あったとしても、もう体が動かない。殺すことができない。
確かに、勝利者には命を奪う権利がある。だが、あくまでそれは権利だ。奪わなければならない、という義務ではない。つまり、命を奪ってもいいが、奪わなくともよい、ということ。その選ぶことを権利というのだ。
だから、命を奪うかどうかは里奈が決める。そしてその里奈が殺さないと言った以上、相楽の命は奪われない、死ななくてもよいのだ。
「・・・甘いな、なぜ殺さない?」
「めんどくさいし、体だってもうくたくただし、第一あんたはもう戦えないでしょ? あたしはあんたを足止めできればよかっただけ。殺せってまでは言われてないしね」
そう言うと、里奈は満身創痍の体をパタッと地面に倒し、そのまま目を瞑った。目を瞑ったと言っても眠るわけではない、少しだけ休むだけだ。寝るにしても、こんなところで眠りたくない。
相楽は、ゆっくりと口を開き、凄むような声で里奈に聞いた。
「・・・仮に、俺が動けて、まだ戦える状態だとしたら・・・どうする?」
その声は、はったりだとは思わせないくらいの圧力があって、戦闘前の里奈だったらあまりの圧力に体中の筋肉が固まってしまい、身動きが取れない状態になってしまうほどのものだった。
でも、今はもう違う。だって、もう戦いは終わったから。だから、こう答えた。
「そうね・・・。とりあえず疲れたから、どこかベッドのあるところまであたしを運んでちょうだい。あたし、もう疲れたからとりあえずぐっすり眠りたいわ」
里奈は、相楽が呆れたのがわかった。・・・わかるような気がする。よりによって、ベッドのあるところまで運んでくれ、だ。命懸けの殺し合いのあと、こんな緊張感のないことを言うやつなど、いるわけがない。相楽が呆れ返るのも、無理もない話だった。
「あ、ベッドあるとこって言っても、変な所はだめよ」
「・・・誰がそんなとこに連れ込むか」
ため息をついて、相楽はむくっと起き上がった。やはり、まだ動ける状態だったらしい。右肩に深々と刺さっているナイフを抜き、そのまま立ち上がった。ナイフを抜いたところからは、ごぽっと血が溢れ、相楽の服を赤く染めたが、相楽は別に何ともないような顔をして倒れこんでいる里奈のところに歩み寄った。
「・・・何が貴様の勝ちだ、よ。全然平気じゃないのよ」
「貴様とはくぐってきた修羅場が違うんだ。俺は戦争という大規模な殺し合いにも参加したときがある。そのとき受けた傷に比べれば、なんてことない」
「それは大層なことで。・・・そういえば、何でさっき大人しく殺されようと思ったのよ?」
「・・・別にそういうわけじゃない。近づいたところを殺そうとしただけだ」
「あら、じゃあ今からあたし殺されるわけ?」
「・・・もうそんな気はない。もう、どうでもよくなった」
相楽は里奈の肩と膝の関節に手を入れて、ゆっくりと持ち上げた。・・・お姫様抱っこ、というやつだ。これなら直に触れる面積が少なく、里奈の傷に障ることもない。
「はぁ。こんな年になってお姫様抱っこって・・・。恥ずかしいわね」
「何なら、猫みたいに首筋を掴んで運んでやろうか?」
「・・・このままでいいわ。それより、どこに行くつもり? まさか、本当にホテルとかに連れ込まないわよね?」
「誰がそんなとこに連れ込むか。俺のアジトだ。俺たちの戦いは終わったが、殺し屋同士の抗争はまだ続いている。アジトはここからだと少し遠いが、下手に宿を取ったりするよりずっと安全なはずだ」
「誰も来ないの?」
「アジトの存在を知ってるのは俺1人だ。誰も来やしないし、防音もしっかりしてるから音も外に聞こえない。他の殺し屋たちに感知されたりもしない。安全地帯だ」
「・・・本当に変なことしないでしょうね?」
「・・・・・」
答える気力も失せたのか、相楽はため息をついてそのまま真っ直ぐアジトへと向かった。
↑のは、里奈 対 相良 戦の没です。
里奈と相良の持つ刀に深く突っ込んだやつです。が、なんだか複雑だったのでカットしました。
真ん中のは「思いで人は強くなる」というシナリオの没です。若干の変更を加えています。
里奈が勝つ、という設定でいこうかなと思っていたのですが、それだと予想通りかな? と思って変更しました。
その2
「パパぁ・・・・・行かないでよぉ」
「ぐ・・・・あれ? おかしいな、急に気分が悪くなったぞ? 変だな〜、おかしいな〜。今日は休まないといけないかもしれないなぁ〜」
ちら、っと期待を込めた目で玲奈を見てみる。頼む! 今日だけ! 今日だけだからお願い! と念じて玲奈の目を見る。願いよ・・・・・玲奈に届いてくれ!
そんな刹那の願いが伝わったのか、玲奈はにこっと笑った。・・・よっしゃ! 通じた!喜べ 未来! パパは今日お仕事お休みになったぞ! いやっほ〜い!!
「刹那」
「玲奈・・・・・」
「いってらっしゃい♪」
「・・・・・」
・・・・・あぁ、神よ。なぜですか。なぜ俺の嫁さんは許してくれないのですか。娘が涙目になって、行かないで〜、ってせがんでるのに、うちの嫁さんは仕事を休むのを許してくれません。悲しいです。すごく悲しいです・・・。
「刹那♪ いってらっしゃい♪」
「・・・・・いってきます」
「パパぁ〜・・・・・」
未来が涙を目に浮かべて刹那を呼ぶ。・・・・・あぁ、娘よ。そんな目で俺を見ないでくれ。俺だってつらいんだ。本当なら会社休んでお前と一緒に遊んでやりたいんだ。
・・・でもな、ママが許してくれないんだ。パパは、ママには勝てないんだ・・・。すまん、ごめん。無力なパパを許してくれ。
わしわし、と未来の頭を撫でると、刹那はため息をついて玄関のドアを開けた。
「パパぁ〜〜〜〜」
・・・未来、帰ってきたら絶対遊んでやるからな。
刹那はそう思って我が家を後にしたのだった。
↑のはおまけシナリオ的なやつです。本当はこんなのも書きたかったのですが、いつまでも続けているわけにもいかなかったのでやっぱり没にしました。
その3
「・・・なぁ」
「ん〜?」
後ろから相良の声が聞こえる。
大量の書類を片づけている里奈には振り向く余裕は全くなく、生返事をしてそのまま作業に没頭する。
「なぜ俺がこんなことをしなければならないんだ? 殺し屋として雇われたはずなのだが」
「そりゃ社員の一員だからでしょ。仕事が殺しだけっては限らないし・・・っさ」
ポンっと勢いよくハンコを押しながら、里奈が答える。
はぁ、とため息をつき、相良も諦めたように作業に戻る。・・・ちなみに、相良の作業は今度の社員旅行の会計だ。
「・・・入社するんじゃなかったな」
「まぁまぁ、しちゃったもんはしょうがないでしょ。早く済ませなさいよ」
かつて殺し合った仲の里奈。今では完全に隙だらけ。気を許している、とも言える。
↑のは相良と里奈の日常ですね。このコンビが気に入ったので書こうかな、と思いましたが・・・その2のほうと同じ理由で没に。
幸せな日々が続いていた。
刹那が居て、未来が居て、そして私が居る。
何でもないことでもとても楽しくて、ちょっとしたことでもすぐに笑いが巻き起こる。
平穏で、温かい家庭だった。
足りないものなんてこれっぽっちもない、満ち足りた生活だった。
そんなある日のこと、前触れも何もない普通の日。
私の最愛の夫、刹那が・・・
―――突然姿を消した。
↑のは刹那たち一家に訪れたちょっとした問題。
いつか書こうと思ってそのままお蔵入りに・・・
没シナリオは以上です。
何というか・・・生き残ったのが少ないです。
自分、すぐ消しちゃう人なので・・・。