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第14話 殺し屋ってすごいね!

サ、サ、サ、サ、サ。


「ふぅ、あとちょっとか」


大体は片付いたが、まだ木片やらが転がっている。箒で掃き終わったら雑巾がけをして終了だ。

玲菜はそろそろ夕飯だ、ということで20分ほど前にキッチンへ向かった。時間も時間だ、そろそろ腹も減ってきた。・・・今日の夕飯はなんだろうか? 楽しみだ。

夕飯のおかずを考えると自然と作業が早くなる。それほど玲菜の料理はおいしい。金を払ったって惜しくないくらいだ。それが毎日ただで口にできるのだから、今自分は結構幸せなんじゃないか? と思ってみたりもする。


サ、サ、サ、サ、サ。


「よし、後は雑巾がけだけだ」


雑巾はキッチンのほうにあったはずだ。取りに行かないと・・・。あ、それと一階に下りるついでに片付けたゴミも持っていくか。

ゴミ袋の口のほうを手で握って、刹那はそのまま階段を下りキッチンに向かった。

キッチンに行くには居間を通らなければならない。居間のドアを開けて中に入ると、里奈がクッションを抱きながらテレビを見て笑っていた。・・・人が頑張ってるのに、何やってんだこの人は!?


「あははは!! ・・・あら、掃除終わったの?」


「雑巾がけしたらもう終わりですよ。ってか手伝ってくださいよ、里奈さんの部屋でしょ?」


「や〜よ。めんどくさいもの」


「あんたの部屋だって言ってんでしょ?!」


「ほらほら、さっさと終わらせなさいよ。あんたが終わったらご飯なんだから」


・・・うっわ〜、何だこの人。人にやらせといて晩飯のことしか考えてねぇのかよ。ここって俺の家だぞ? 何でその俺よりも偉そうの何だこの人。


「そりゃあんたの命はあたし達が握ってるからね」


!?


「今驚いたでしょ。殺し屋は読心術必須だから、下手なことは考えないことね。全部わかっちゃうから」


・・・殺し屋ってすげぇな、おい。

下手なことを思い浮かべることもできなくなった刹那に残された道は、大人しく里奈の部屋の掃除を終わらせることだけだった。・・・理不尽な気もするが仕方ない。逆らったら・・・・ぶるぶる、恐ろしい。・・・とっとと掃除を終わらせよう。刹那は雑巾を取りにキッチンに入っていった。

キッチンの中はジュー、というフライパンで焼く音と、香ばしい匂いであふれていた。この匂いは・・・ハンバーグだ。懐かしいなぁ。小さい頃大好きだったけど、作り方がめんどうで作らなくなったっけ。


「あ、刹那。掃除終わった? もうすぐでできるんだけど」


「もう少しかかりそうだよ。あとは雑巾がけをすればいいだけだから、そんなに時間はかからないと思う」


「わかった。ごめんね、1人で任せちゃって」


眉を八の字にして謝る玲菜。く、くそ。可愛いじゃねぇか。これじゃ怒るに怒れない。・・・いや、怒る気は最初からないけどさ。


「いや、気にしなくていいよ。それじゃ、終わらせてくるよ」


裏口の近くに干してある雑巾を手に取り、刹那は最後の仕上げとして物置へと向かおうとした。


「本当にごめんね。終わったらすぐ食べれるように準備しておくから」


「あぁ、頼むよ」


終われば玲菜のおいしい料理が待っている。・・・やる気が出てきた。さ、頑張るか!




気合を入れて掃除に取り掛かってから5分後。物置はすっかり片付き、すっかり新しい「部屋」として機能するようになっていた。もちろん家具などはないが、今夜里奈が1人寝るに分には問題ないはずだ。家具なら後でまた博人に貰いに行けばいい。里奈さんが欲しいって言ってたぞ、って言ってやれば喜んで自作の家具と里奈さんに似合いそうなメガネを差し出すだろう。・・・ってか、メガネのどこがいいんだ? 今の俺には理解できない・・・。

この部屋の押入れには使わなくなった布団がしまってある。刹那は敷布団と毛布を取り出して敷き、枕をポンッとその上に置いた。


「あ〜!! 終わったぁ!!」


ぐぅ〜、と声と同時に腹が盛大に鳴った。あれだけの掃除を1人でこなしたのだ。そりゃ腹だって減る。一階からは香ばしいハンバーグの匂いが・・・。・・うぉ、やべ! よだれが・・・。夕飯がこんなに楽しみなのは初めてだ。うぅ〜! たまらねぇぜ! 早く行くか!!

刹那は物置改め、里奈の部屋のスイッチを消すと、おいしいおいしい夕飯の待つ居間へと降りていった。

居間のテーブルにはもうすでに3人分の夕飯が用意しており、玲菜と里奈が他愛のない世間話をしていた。


「やぁっと来たわね。遅いったらありゃしない」


こ、この人は・・・・・。


「お姉ちゃん! そういうこと言わないの! 刹那はお姉ちゃんの部屋を掃除してくれてたんだよ!」


「は〜い・・・」


しゅん、と小さくうなだれる里奈。・・・へへ、人に仕事押し付けてるからそういうことになるんだよ。あ〜、すっきりした。


「・・・あんた、あとで覚えときなさいよ。殺し屋は読心術必須だって言ったわよね?」


「しまったぁあああああああああああ!!!!」


忘れてたぁああ!! 里奈さんは心が読めるんだったぁあ!! うぉおおおお!!! 夕飯の後ぶっ殺されるぅううう!! まずは腕からね♪ とか言ってあの日本刀で吹き飛ばすに違いない!! ぐっば〜い!! 俺の腕!! 下手なこと考えなきゃよかったぁああ!!!


「せ、刹那? お姉ちゃんはそんなことしないよ?」


「って、あんたも心を読めるんですか?!」


「うん、殺し屋は必須だから」


「俺の心に自由はないんですか?!」


「夕飯の後が楽しみね。・・・うふふふふ」


「ぎゃぁあああああああ!!」




・・・そんなこんなでとっても賑やかな食卓でしたとさ。




ちなみに夕飯の後のこと、里奈はうふふ、とか笑いながら日本刀を手にしたが、冷蔵庫に入っていた刹那の大好物であるチョコモナカを発見してすっかり機嫌が良くなったそうな。・・・チョコモナカ1つで助かった刹那の命って一体・・・・・。









次回はなんと・・・・・。

気になった方は次回も来てくださいね(笑

これからも「殺し屋」よろしくお願いします!

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